【後日談:慶吾の独白】
【後日談:慶吾の独白】
桜が散った夜、俺は一人でその桜並木を歩いていた。
管理局を辞めた。正確には、辞めさせてもらった。副長官は「わかった」と言った。驚くほどあっさりしていた。「もともと、お前には向いていなかったのかもしれない」と言ったから、「そうかもしれません」と答えた。
嘘はついていない。
シュノを設計したこと。支配域を使って彼女を九条くんの元に送ったこと。それは、今でも正しかったとは言えない。
だが、結果として——シュノは人になった。
人になる、というのが何を意味するのか、俺には最初わからなかった。
でも九条くんと四人が城崎荘で過ごすのを外から見ていて、少しずつわかった。
選択できること。感情を持つこと。傷つきながら、それでも誰かの傍にいることを選ぶこと。
俺は設計したのかもしれないけれど——完成させたのは、あの四人だ。
俺に何ができるかは、まだわかっていない。
でも一つだけ決めていることがある。
次に何かを選ぶ時は——管理局のためでも、計画のためでもなく、自分が正しいと思ったことのために動く。
その基準を教わったのは——意外なことに、俺が設計したはずの少女からだった。
「自分の選択をしてください」
シュノは笑顔でそう言った。
あの笑顔に、嘘はなかった。
俺には能力がないからわからないけれど——わかる気がした。
桜が一枚、肩に落ちた。
俺は払わずに、そのまま歩き続けた。
了
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包帯少女は嘘を識る
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