名前を食べる街
最終エピソード掲載日:2025/12/23
街の入口には、秤が置いてある。
人が入る前に、必ず名前を量られる。
音の重さ。
意味の深さ。
呼ばれた回数の多さ。
重い名前ほど、街で生きやすい。
イオが秤の前に立つと、係の男は一瞬、言葉を失った。
「……減ってない」
「はい?」
「君の名前だ。一文字も、削れていない」
周囲がざわめく。
名前は生きていれば必ず摩耗する。
呼ばれ、使われ、忘れられ、削れていくものだからだ。
「気をつけろよ、少年」
男は低い声で言った。
「この街は、綺麗な名前から先に食う」
その夜。
イオは路地裏で、少女に出会う。
「あなたの名前、すごくうるさいね」
「……うるさい?」
「生きたいって音がする」
彼女は笑った。
名を呼ばれたことのない人間の、笑い方だった。
人が入る前に、必ず名前を量られる。
音の重さ。
意味の深さ。
呼ばれた回数の多さ。
重い名前ほど、街で生きやすい。
イオが秤の前に立つと、係の男は一瞬、言葉を失った。
「……減ってない」
「はい?」
「君の名前だ。一文字も、削れていない」
周囲がざわめく。
名前は生きていれば必ず摩耗する。
呼ばれ、使われ、忘れられ、削れていくものだからだ。
「気をつけろよ、少年」
男は低い声で言った。
「この街は、綺麗な名前から先に食う」
その夜。
イオは路地裏で、少女に出会う。
「あなたの名前、すごくうるさいね」
「……うるさい?」
「生きたいって音がする」
彼女は笑った。
名を呼ばれたことのない人間の、笑い方だった。
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