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皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


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第15話 救出戦―信頼

屋上から階段を降りる。

ユーリとセリナが、静かに進む。


廊下は暗い。


「……」


二人は無言のまま、足音を殺して進む。

その時――


ガシャン。


前方の隔壁が閉まった。


「……!」


ユーリが足を止める。


「隔壁が……?」


セリナが小さく呟いた。


「別のルートで行くぞ」


ユーリが右へ進もうとした――が。


ガシャン。


また隔壁が閉まる。


「……っ」


「左は?」


セリナが問う。


「行ってみるか」


左へ曲がると、そこだけ隔壁が開いていた。


「……」


ユーリの警戒が、さらに強まる。


「俺たちの潜入は、もうバレてるな」


至る所に、よく見ないとわからないほど小型の監視カメラが設置されている。


「ちっ、屋上からの奇襲も意味なかったか」


「そうなんだ……?

 せっかく、あんな想いして屋上まで飛んだのに?」


その一言で、ユーリがむっとした顔になる。


「……あんな想い?

 嫌だったのか?」


「え? あ、その……」


セリナの顔が、赤く染まる。


「嫌ってわけじゃないけど……」


セリナが照れてモジモジしている姿を見て

ユーリの不機嫌さが、すっと消えた。


「そうか。

 まぁバレている以上、仕方ない。

 このまま進むぞ」


ユーリが歩き出す。

セリナは、その背中を見つめる。


(さっきのって……

 ユーリ……絶対わざと喜んでやってたってことよね。

 最初から二つ用意したらいいのに。

 ……べ、別に本当に嫌だったわけじゃないけどさ……)


誘導されるように進み、二人は広い倉庫に入った。


荷物が雑然と積まれている。


「……」


ユーリが周囲を警戒した、その瞬間――


ピッ。


赤いレーザーポインタが、ユーリの額に当たった。


「……!」


ユーリは咄嗟にセリナを抱き寄せ、物陰へ飛び込む。


ピシュン!


レーザーが、さっきまでユーリがいた場所を撃ち抜き、壁が焼け焦げた。


「え!?」


セリナが息を呑む。


同時に――


ガシャン。


入ってきた扉が閉まり、施錠音が響いた。


「閉じ込められた!?」


ユーリが扉へ向かおうとした瞬間――


ピシュン!


レーザーが顔先を掠め、壁を焦がす。


「……!」


ユーリが足を止める。


「銃使いがいる。油断するな」


棚の影に身を隠すユーリ。

セリナも同じ棚へ滑り込む。


ユーリは棚にあった木片を拾い、そっと外へ放った。


ピシュン。


一瞬で木片が焼き切れ、灰となって落ちる。


「……腕は相当良さそうだ。

 閉じ込められたのが痛いな」


その時、セリナの端末が鳴った。


ピロン。


画面を見る。


『お嬢様、扉は短時間なら制御可能です。そこから逃げてください』

差出人:ソフィ


「ソフィ!?」


セリナが驚く。


「レオンが救出したのね!?」


「セリナ、ソフィに繋げ」


「はい!」


通話が繋がると、ソフィの声が響いた。


「お嬢様!」


「ソフィ! 無事なの!?」


「はい! レオンさんが助けてくれました!」


ユーリが小声で割って入る。


「ソフィ、この工場のシステムを支配してる奴がいる」


「はい、承知しています」


ソフィの声は、落ち着いていた。


「今、そいつと私がバチバチやり合ってますよ」


「は? どういうことだ?」


ユーリが困惑すると、


「私、ハッカーなんです」


「……えっ!?」


セリナが目を見開く。


「ソフィ、あれ冗談じゃなかったの?」


「まぁ、はい……。

 ハッカーなんて言ったら、お嬢様に嫌われそうで……」


「ソフィ……」


セリナは苦笑する。

ユーリは、真剣な声で言った。


「ソフィ、良い誤算だ。

 この戦いは、お前にかかってる」


「……はい」


「システムを支配してる奴を倒す。

 セリナを、そこまで誘導してくれ」


「お嬢様を?」


「俺は、ここでガンマンを迎え撃つ」


ユーリがレーザーガンを構える。


「追われながらじゃ、厳しいからな」


そして、セリナを見る。


「敵のハッカーは――お前達に任せる」


「でも、ユーリ……」


セリナが言いかけた、その瞬間――

ユーリの指が、セリナの唇に触れた。


「……!」


セリナの思考が、止まる。


(ユーリの……指……)


柔らかく、確かに触れている。

距離が近い。

ユーリの瞳が、すぐ目の前にあった。


「余計なことは言うな」


静かな声。


「俺の腕を、信じてないのか?」


その声音は、優しい。


「……ごめん」


セリナは小さく頷く。

ユーリの指が離れる。


それでも、唇には感触が残っていた。


「ここ、任せていい?」


「ああ。それでいい」


ユーリが微笑む。

セリナは端末へ向かって言った。


「ソフィ、ハッカーは任せて!誘導して!」


「お嬢様……!」


ソフィの声が、明るく弾む。


「頼んだぞ。ソフィもな」


「はい!」


ユーリは、セリナを見る。


「俺が敵ガンマンを牽制する。

 その隙に、この部屋から出ろ」


「分かった」


ユーリが――

セリナの頭を、軽く叩いた。


「行け。お前ならやり切れる。信じてる」


「……うん」


セリナが扉へ構える。


ユーリが飛び出し、レーザーを連射した。


ピシュン! ピシュン!


ユーリの腕も確かだ。

一瞬で敵の位置を把握し、そこへ連射する。

敵は、顔を出せなくなった。


その隙に、ソフィが扉を開ける。


「今だ! セリナ、行け!」


セリナが全速力で走る。


敵が撃とうとした瞬間、ユーリが再射撃。


ピシュン!


敵の銃を狙い、撃たせない。


その間に、セリナが扉を通過した。


「ユーリ!」


振り返るセリナに、


「行け! 俺のことは心配するな!」


ユーリが、笑顔で叫ぶ。


扉が閉まる。


ガシャン。


セリナは一人、廊下に立った。


「……ユーリ……」


その時、端末にソフィからのメッセージ。


『お嬢様、隔壁が開いた方向へ!

 メインコントロールルームへ誘導します!』


セリナは地図を確認し、頷く。


「……分かった。行く」


(ユーリ……私、頑張るから……

 だから、無事でいて……)


セリナは走り出した。


メインコントロールルームへ。

みんながみんな戦う、仲間を信じて。 いいですよね!


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