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皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


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第14話 救出戦―交戦開始

屋上。


ユーリとセリナが、下の広場を見下ろしていた。


工場内では、カイルとハーピーの追跡戦が繰り広げられている。

エアバイクのエンジン音が、建物全体に響き渡る。


「ユーリ」


セリナが小さく呼びかけた。


「ん?」


「どうします?」


ユーリは視線を巡らせ、下の様子を観察する。


コードネーム――マスク。

彼女が部下に指示を出していた。

それに従い、オラクルがコントロールルームへと走る。


「……あの女だ」


ユーリがマスクを指差す。


「あの女が、奴らのリーダーだ」


セリナもマスクを見る。

ソフィを騙した女。


「俺たちは、カイルが暴れてくれている間に――

 あちこちで騒ぎを起こしながら……

 あのリーダーを狙うぞ!」


ユーリはセリナを振り返る。


「その間に、レオンがソフィを助けてくれるはずだ!」


「……はい」


セリナが静かに頷いた。


二人は真剣な眼差しで、短く見つめ合う。


「行くぞ」


「はい!」


ユーリとセリナは、屋上階段から工場内部へと走り込んだ。


裏口。


レオンが、音もなく工場内へ侵入する。


暗い廊下。

足音を殺し、慎重に進む。


曲がり角では壁に背をつけ、ゆっくりと顔を出して先を確認する。


――誰もいない。いける。


(ソフィ……)


レオンの目が鋭く光る。


(必ず、助ける……)


広場へ向かって走る。

再び曲がり角を越え――


広場が見えた。


崩れかけた柱に、ソフィが縛られている。


(ソフィ!)


レオンが駆け出そうとした、その瞬間――


「……!」


強烈な殺気。

レオンは咄嗟に身を翻す。


ヒュンッ!


レーザーブレードが、さっきまでレオンがいた空間を薙いだ。


空気が切り裂かれる音。


着地したレオンは、斬り下ろされた位置を睨む。


影の中から男が現れた。

黒い服、フード。

両手には――二本のレーザーブレード。


無言で、レオンを見据える。


「……俺の名はカタラス。

 お前を屠る者の名だ。

 誰に殺されたか知らぬまま逝くのは辛かろう」


レオンが冷たく言い放つ。


「ふん、くだらん。

 これから倒す相手の名など、興味はない」


男がフードを外す。

短い黒髪。鋭い目つき。傷だらけの顔。


「少しは腕が立つようだが、

 上には上がいると知れ」


「別に、俺が頂点だと驕ってはいない。

 だが――お前よりは強い」


レオンが二刀を構える。

そして、静かに問いかけた。


「念のため聞く。退く気はないな?

 今、俺には時間がない。

 退く相手は追わない」


「俺はお前たちを殺すために来た。

 退く理由が、どこにある?」


カタラスが嗤う。


「交渉決裂だ。ならば――倒す」


二人は同時に、二刀を構えた。


(ユーリは戦うなと言っていた……)


(だが――)


視線だけを、ソフィへ向ける。


(ここで、引き下がれるわけがない……!)


レオンの目が、強い決意に燃える。


(判断は任せるとも言っていた。

 こいつを倒して……ソフィを救う!)


レオンが低く構える。


「行くぞ」


「来い」


同時に、踏み込む。


ビシィッ!


レーザーブレード同士が激突し、光が散った。


双方の右の斬撃がぶつかり合い、

左の突きは弾かれる。


――高速の応酬。


(速い……!)


カタラスは、予想以上だった。

すべてを受け止め、隙を突いてくる。


ヒュン!


首を狙った、正確な突き。

レオンは紙一重で防いだ。


直後、閃光で視界が揺らぐ。

だが、間髪入れず次の突き。


レオンはバク宙で距離を取る。


「なかなかやるな」


カタラスが余裕の笑みを浮かべる。


「だが――」


着地地点へ、高速の連撃。


レオンは横薙ぎで体勢を立て直すが、

肩にブレードが触れ、シールドが大きく揺れた。


(くっ……押されてる……!)


後退しながら受けるのが、精一杯。


顔面への突き。

髪先が焼け溶ける。


さらに距離を取ろうとするが、追撃が止まらない。


突き合いになる。

レオンの突きはかわされ、

逆にカタラスの一撃がシールドを削る。


「まだまだぁ!!」


レオンがギアを上げる。

それに合わせ、カタラスも速度を上げた。


「思ったより、やるな」


「うるさい!」


剣技には、明確な差があった。


(こいつ……俺より強い……!)


レオンは強い。

だが、そのレオンよりも二刀流として格上。

今まで、出会ったことのない相手。


カタラスが楽しそうに笑う。


「どうだ?

 お前では、到底勝てなさそうだな」


攻撃が、さらに加速する。


揺らいでいたシールドが――ついに消えた。


「どうしたどうした?

 シールドが切れたぞ?

 大丈夫か? あはは!」


「うるさいっ!

 ここから本気だ!」


上段からの斬撃を受け止めた、その瞬間――


カタラスの蹴り。


「……!」


腹に完璧に決まり、

レオンは吹き飛ばされ、壁に激突した。


膝をつくレオンに、カタラスが歩み寄る。


「終わりだ」


レオンは剣を、強く握り直す。


(まだ……終わらない……)


立ち上がる。


(ソフィを救うまで……倒れられない……!)


目が燃え上がる。


「ここまで差を見せても、折れないか」


「ああ。俺は――倒れられない」


ソフィを見る。

そして、再び突撃。


「いいだろう。

 お前の覚悟、受けて立つ」


二人が激突する。


渾身の突き。

過去一番の速さ。


カタラスは真剣な眼差しで見つめ――

紙一重で回避。


その体勢のまま剣を振るい、

レオンの左手のブレードの柄を真っ二つにした。


爆ぜるブレード。

レオンは即座に手を離す。


残った一本を構える。


「……!」


「一本になったな。

 降参するか?

 苦しませずに殺してやるが?」


「ふざけるな!」


レオンが突撃。


カタラスは、いやらしい笑みで首を狙う。


レオンは、最後の力を振り絞った。


「はああっ!」


渾身の一撃。今までで最も速く、そして鋭い。


――しかし。


「遅い」


カタラスは体を捻って回避し、

ほぼ同時にブレードを突き立てる。


その反撃が、レオンの左肩を貫いた。

そしてすぐに引き抜く。

傷口は熱せられて血は出ないが完全に左手の自由は奪われた。


「ぐあぁぁぁっ!」


苦痛で、肺の空気をすべて吐き出す。

レオンは膝をつき、武器を取り落とした。


「終わりだ」


カタラスが、首を狙う。


レオンは、ソフィを見る。


(ソフィ……すまない……)


剣が、振り下ろされ――


「レオン、動かないで!

 私がその男を、背中から撃ち抜く!!」


ソフィの声。


カタラスが反応する。


背後を見る――

ソフィは縛られたまま。

銃もない。


(ブラフ……!?)


「しまった!」


向き直るが、遅い。


レオンが落ちていたブレードを拾い、

全速力で振るう。


「うおおおっ!」


ビシッ!


カタラスの右手の剣の柄が断ち切られる。

爆ぜるブレード。


さらに左手の柄も斬り裂き、

そちらも小さく爆発して飛び散った。


両手を火傷し、武器を失うカタラス。


迫るレオンに気づき、逃げようとした瞬間――


レオンの柄打ちが、首筋に直撃。


ドンッ!


カタラスは白目を剥き、崩れ落ちた。


レオンは荒い息を吐き続ける。

肩の焼けた傷口から痛々しい。


それでも――勝った。


「……やった……」


ソフィが、涙を浮かべて笑っていた。


レオンはふらつきながら立ち上がり、

カタラスをオートロープ装置で拘束する。


一瞬で、胸から足先まで縛り上げた。

さらに手錠で廊下の手すりへ固定し、完全に自由を奪う。


「……俺の勝ちだ」


カタラスが気を失っていることを確認し、ソフィのもとへ向かう。

肩を押さえながらも――


(ソフィを……助ける……)


レーザーブレードで縄を焼き切る。


ソフィが、自由になった。


「レオンさん……ありがとう……!」


ソフィが言いかけた、その瞬間。


レオンは無言で――

片腕で、ソフィを抱きしめた。


「……!」


震える腕。


「レオン……さん……?」


言葉はない。

ただ、二度と離さないと誓うように、強く抱きしめる。


ソフィの胸が、熱くなる。


(レオンさん……)


ソフィも、そっと抱き返した。


「ありがとうございます……」


レオンの腕に、力がこもる。


耳元で、小さく。


「……もう、二度と……失わない……

 絶対に……離さない」


ソフィの涙が、溢れ落ちた。


「……はい」


静かな時間が――終わる。


レオンの体が、崩れ落ちた。


「レオンさん!?」


ソフィが支える。


気を失っていた。


ソフィは医療キットで応急処置し、

ナノパッチを傷口に当てる。


ナノマシンが代謝を促進し、

治療が素早く進んでいく。


その後、レオンを背負って脱出を試みるが、

出口への隔壁が閉まり始めた。


「誰かが……システムを支配してる……!」


一度、レオンを横に寝かせ、端末を取り出す。


端末操作。

高速入力。


『ACCESS GRANTED』


「よし……!」


工場内のシステム制御画面が表示された。

――だが、すぐに対抗される。


『INTRUSION DETECTED』

『COUNTER MEASURE ACTIVATED』


「……!」


オラクルの妨害。


『YOU CANNOT ESCAPE ― ORACLE ―』


「挑戦状ね……負けない!」


開いた隔壁は、再び閉じられ、

アラートが鳴り響く。


(仕掛けてきた……!

 負けるわけにはいかない!

 これが、私の戦い方っ!)


ソフィとオラクルの情報戦が――始まった。

レオンとソフィの協力勝ち。そしてシームレスにソフィとオラクルの情報戦が始まる。

気を休める暇もないですね……。


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