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皇太子妃に返り咲き ~冤罪令嬢、謎のイケメンに溺愛されて大逆転~  作者: ひろの


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第13話 救出戦―突入

船内。

ユーリとセリナがいる。


「ユーリ! セリナ!」


レオンが飛び込んでくる。


「どうした?」


ユーリが立ち上がる。


「ソフィが……!」


レオンが端末を差し出す。


「……!?」


ユーリの表情が強張った。


「セリナ。

 お前、さっきレオンたちと一緒に外へ出たか?」


「いえ。ずっと船にいました」


セリナは真剣な面持ちで答える。


「なら……」


ユーリは、すぐに理解した。


「ソフィは、誰かに騙されてついていった」


「くそ……!」


レオンが拳を握り締める。


その時。

セリナの端末が鳴った。


ピロン。


画面を確認する。


『ソフィは預かった。

 セリナ一人で、座標XXXXの廃工場に来い。

 一人で来なかった場合、ソフィの命はない。

 制限時間は3時間。

 ――黒曜の五影――』


「黒曜の五影……」


ユーリが低く呟く。


「……聞いたことがある」


顔が険しくなる。


「ヴィオラ公爵家の……暗殺組織だ」


「ヴィオラ……!」


セリナの声に怒りが滲む。

それを見て、ユーリの表情にも怒りが浮かんだ。


「あの女……!」


「行きます」


セリナが立ち上がる。


「私を狙っているなら、私が行けば――」


「ダメだ」


ユーリが即座に止める。


「罠だ。

 お前が行けば、お前もソフィも殺される」


「でも……!」


セリナがユーリを見つめる。


「ソフィは、私の大切な人です!

 私のせいで……

 私のせいで、ソフィが……!」


目に涙が滲む。


ユーリは、強くその肩を掴んだ。


「聞け、セリナ」


真剣な目で言う。


「俺たちで助ける」


「でも……“私一人で来い”と……」


「カイル」


ユーリが振り向く。


「お前は小柄で、すばしっこい。

 桃髪のウィッグをつけて、お前が行け。

 逃げ続けて、時間を稼げ!」


「はぁ!? いやだよ!

 女装しろってか!?」


「そうだ。カイルは女装で確定だ」


「おい! 勝手に話を進めるな!

 しかも一番危険な役じゃねーか!」


完全にスルーされる。

カイルは首を振ってため息を吐き、すぐに真剣な表情へ変わった。


「レオン。

 お前は裏口から潜入しろ。必ずソフィを救出しろ!」


「了解した」


「俺が屋上から敵を陽動する。

 隙を作りつつ、黒曜のリーダーを仕留める!」


「待って、ユーリ! 私も一緒に!」


「ダメだ。お前は船に残れ!」


「絶対にいや!

 どうしても残れというなら、私一人で勝手にソフィを助けに行く!」


「……っ」


ユーリが歯噛みする。


「分からず屋め!

 お前を危険な場所に向かわせたくないという

 俺の気持ちが、分からんのか!?

 どれほど心配していると思っているっ!」


「……」


「くそっ……分かった……。

 こうなったら、お前は言うことを聞かん!

 俺の傍を離れるな。

 “今度こそ”絶対に、お前を守り切る!」


肩を掴んだまま、強く言い切る。


「……はい」


セリナが頷いた。


ユーリの手が、わずかに震えている。


(ユーリ……)


セリナは、その手に自分の手を重ねた。


「私は、何も心配していません。

 だって、ユーリと一緒ですから。

 信じています」


「……ああ」


ユーリが、強く握り返す。


「当然だ。

 俺がお前に、傷一つ付けさせん」


「レオン、カイル」


二人を見る。


「作戦を確認する」


端末に地図を表示する。

廃工場の内部構造。


「正面入口から、カイルが囮として侵入。

 セリナに変装してな」


「…………わーったよ!

 やりゃいいんだろ、やりゃ!」


カイルが髪をガシガシとかきむしる。

猫耳がピンと立ち、恐怖と心配を隠しきれていない。


「レオン。

 お前は裏口から潜入しろ。

 ソフィを見つけたら即撤退だ。

 敵と遭遇した場合は……判断は任せる!」


「了解」


レオンが真剣に頷く。


「俺とセリナは、半重力凧カイトで屋上から侵入する。

 敵が攪乱しつつ、油断した瞬間を狙う」


地図を指す。


「敵は黒曜の五影。

 おそらく五人だ」


「……」


全員が、息を詰める。


「油断するな。

 特にレオン――」


レオンを見る。


「ソフィを見つけたら、すぐに撤退しろ。

 なるべく戦うな。逃げろ」


「……分かった」


渋々ながら頷く。

その目には、強い決意が宿っていた。


(ソフィ……

 必ず助ける……)


「カイル」


ユーリが桃色のウィッグを差し出す。


「……どこから持ってきた、これ」


「さっき商店街で買った」


「は!?」


「お前、まさか最初から俺を女装させる気だったのか!?」


「いや、セリナの予備用だ。

 変装で髪型を変えるかもしれないと思ってな」


「……そうか。

 ん? お前……

 さてはロングの時のセリナが好みだったのか!?」


ユーリが目を見開く。

セリナも自分の髪に手を当て、少し照れたように言う。


「ユーリ……大丈夫。

 また伸びるから」


「おい!

 だから普通に変装用だって言ってるだろうが!」


「はいはい、そういうことにしておく。

 だが最近、セリナのことになると耳が暴れてるぞ?」


慌ててユーリが猫耳を押さえる。

カイルは笑いを堪えている。


「カイル、作戦会議中だ。ふざけるな!」


カイルは無視してウィッグを見る。

桃色の長髪。セリナと同じ色。


「……似合わねぇだろうな」


ため息。


「カイル」


セリナが近づく。


「ごめんなさい……

 私のせいで……」


「おいおい、違うぜ」


カイルが、ぽんとセリナの頭を撫でる。


「俺たちは仲間だろ?

 仲間のために女装くらい、安いもんだ」


笑って言う。


「それに俺……

 結構、美人かもしれないぞ?

 やばいな、変な趣味に目覚めそうだぜ!」


「……ありがとう、カイル」


セリナが、微笑んだ。


・ ・ ・


「作戦は以上だ。それと――」


ユーリが、パーソナルシールドを配る。


「これを装着しろ。レーザーを数発は防げる」


「了解」


全員が装着する。


「武装確認」


ユーリがレーザーガンを構える。

レオンがレーザーブレードを抜く。

カイルも小型レーザーガンを腰に。

そしてセリナは――震える手でレーザーガンを握っていた。


「セリナ」


ユーリが、その手を包み込む。


「お前は撃たなくていい。俺が全部やる」


「でも……」


「いいか」


セリナを真っ直ぐに見つめる。


「お前の仕事は――」


一拍。


「俺の傍にいることだ。

 それだけでいい」


「……はい」


セリナが小さく頷いた。


「時間は?」


「あと二時間半」


カイルが端末を確認する。


「なら急ぐぞ」


ユーリが全員を見渡す。


「行くぞ」


船を出る。


カイルがウィッグを被った。


「……うわ、マジで似合わねぇ。

 っと思ったけど、結構イケてねーか?!」


鏡を見て笑う。

だが、遠目には確かにセリナに見えた。


「フードを深く被れ」


「了解」


廃工場へ向かう。


夜。

暗闇の中、不気味に佇む廃工場。


「……」


全員が緊張を高める。


「レオン、裏口へ」


「ああ」


影のように消えた。


「カイル、十分後に正面から入れ」


「了解」


時計を見る。


「俺とセリナは屋上へ」


ユーリがセリナの手を引く。


階段を上る。

暗い。


ユーリが先を歩き、セリナが後ろをついていく。


(怖い……)


でも――

ユーリの背中。


(大丈夫……ユーリがいる……)


屋上。


ユーリが腕を広げ、胸を張る。


「え?」


「早く!」


「はい?」


「早く抱きつけ」


「え!?」


半重力凧カイトは一つしかない。

 俺がお前を抱いたまま飛ぶ。早くしろ!」


セリナは固まりながらも、そっとユーリに抱きつく。

ユーリは素早くハーネスを連結した。


顔が近い。

胸が触れる。

鼓動が重なる。


「い、行くぞ」


(ユ、ユーリと……抱き合ってる……)


「おい、聞いてるか?」


「え? なに?」


「行くぞ」


「あ、はい……」


半重力装置が起動し、体がふわりと軽くなる。

ユーリはセリナを抱きしめたまま、夜空へ跳んだ。


暗闇の中、二人のカイトは風に乗り、工場屋上へ近づく。


着地。

ユーリがカイトを格納する。


セリナは、まだ目を閉じたまま強く抱きついていた。


ユーリは声をかけようとして――

そのまま、抱きつかれた状態を一瞬だけ堪能する。


「あ!?」


セリナが到着に気づき、離れようとする。

だがハーネスが繋がれたままで、少し離れたところで止まり、

反動で再びユーリに抱きついた。


「きゃ……」


顔が近い。

赤面。

猫耳も、ぺたりと伏せてしまう。


「セリナ……動くな。今、外す」


ユーリがハーネスを外す。


「もう大丈夫だ」


セリナは、ゆっくりと離れた。

赤面を見られたくなくて俯く。

ユーリも気まずそうに目を逸らす。


どれほど沈黙しただろう。


「下を見ろ」


セリナが、出窓から下を見る。


中央の広場。

崩れかけた柱に――


ソフィが、縛られていた。


「ソフィ……!」


思わず、小さく叫ぶ。


ユーリが、すぐに口を塞ぐ。


「静かに」


「……ごめんなさい」


セリナは涙を堪えた。


その時。


正面入口から、カイルが入ってくる。

フードを深く被り、桃色の髪がわずかに覗いている。


「……」


中央へ進む。


周囲に、殺気。


三つの人影が、闇からゆっくり現れた。


一人は柱の陰。

一人は背後。

一人は正面。


完全包囲。


正面の女――

「セリナ」に変装していた暗殺者。

コードネーム・マスク。


「よく来たわね」


カイルは、黙ったままフードを深く押さえる。


「一人で来たのね。偉いわ」


距離を詰める。


「さぁ、フードを取りなさい。顔を見せて」


その瞬間――


カイルはフードを押さえたまま、

全速力で包囲の隙間へ走った。


「……!?」


マスクが目を見開く。


「速い!?」


背後と柱の陰から、二人がレーザーガンを抜き、連射。


「……!?」


(し、死ぬ――)


カイルは、軌道を変えて紙一重で回避。


そして、放置されていた室内移動用エアバイクへ飛び乗り、起動。


急浮上。

狭い工場内を、限界速度で駆け抜ける。


「くそっ! 逃がすな!

 ハーピー、追え!」


マスクの叫び。


ハーピーと呼ばれた女は銃を収め、別のエアバイクで追跡する。


コンテナをギリギリで避けながら、

二台は広い工場内の組み立てラインへ突入した。


「くそ、令嬢のくせに派手な運転しやがる!

 いいだろう!

 天才パイロットの私から逃げ切れると思うなよ!」


ハーピーがアクセルを吹かす。


カイルも、全力で加速。


(ばーか!

 俺の運転は宇宙最速レーサー並だっつーの!

 天才ってのは俺のことだ!

 追いつけるもんなら来てみろ!)


「オラクル!

 隔壁操作でターゲットを逃がすな!」


コードネーム・オラクルの女が無言で頷き、

コントロールルームへ走った。


・ ・ ・


「カイルが動いた!」


ユーリが低く言う。


「俺たちも潜入する。

 隙を突いて、各個撃破だ!」


セリナは、強く頷いた。

プロの暗殺集団との対決が始まりました!


一応コードネーム別に整理するとこうかな?


マスク:♀……リーダー格で変身が得意?

ハーピー:♀……凄腕パイロット?

オラクル:♀……凄腕ハッカー?



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