いいなずけ?
「あの~…近いんですけど。」
「えっ、あぁごめん。空が見たくてつい。」
「いえ。」
この人、空が好きなのかな?
空が好きな人めったにいないからなぁ。でも、クールすぎて話しにくい。
まぁ、別にいいけど。
私は、暇さえあればずっと空を眺めている。
空は人間みたいに感情を表している様だ。
お日様が出ている時は、嬉しくて笑っている。
雨の時は、悲しくて泣いている。
雷がなった時は、ものすごく怒っている。
私はそこが魅力的で好きだ。
「佐奈、一緒帰らへん?」
「あれ?もう放課後?」
「また、空ばっかり見ったんやろ?」
「うん。」
「ほんまに好きなんやね~。」
「うん。もちろんだよ。さて、帰ろっか。」
「うん。」
帰り道、雷と途中で別れ、私は空広場へ向かった。
今日も独り占め。
1番星が輝いている。
「星さん。今日も1日楽しかったよ。星さんは何をしてたの?楽しかった?」
たまに、こうやって星に話しかける。
返事は無いけど、別にいい。
少し暗くなってきたな。
帰ろう。
「ただいま~。」
「おかえりなさい。」
リビングに行くと、もう1人いた。
「お客さん?いらっ……何でいるの?」
私が見たお客さんは、黒谷青矢君だった。
でも、何で?
ここにいるの?
「あっ、佐奈。今日から一緒に暮らす事になった子よ。もう知ってるわよね?それと、あなたのいいなずけだから…。」
「いいなずけ!?意味わかんない。」
「父さんはいいなずけは早いと思ったんだが、ママが聞かなくて…。」
「パパは親バカさんだから、可愛い娘をお嫁にいかせたくないのよね~。」
「親バカって…ママ。」
私は、お父さんとお母さんがもめている間に部屋に行った。
「はぁ。頭いたっ~。」
私は、深く眠った。
「これは夢だ」と願いながら。
だけど、願いは叶わなかった。
しかも、もっと最悪な状態。
隣には、青矢君が寝ていた。
何で?
どうして?
頭が混乱してきた。
もう何がなんだか。
「よぉ。起きたか。何口をパクパクさせてんだ?」
「何で…ここに?」
声がでにくい。
「一緒に眠れって、お前の母さんが…。」
「お母さんが?」
あの親どっか頭のネジ取れてるんじゃないの?
「ん。これから一緒の部屋らしい。」
一緒?
一緒って、寝るのも、勉強もって事だよね。
もうダメ。
今日は休みだし、散歩にでも行こう。
「俺、下いとくから。着替えるんだろ?」
「あっうん。ありがとう。」
結構気がきくじゃん。
よし、サッサと着替えて、ご飯食べて出掛けよう。
ご飯も済ませ、出掛けようとした。
だけど、青矢君に捕まってしまった。
「どこに?」