王都
「サポポン、ここは?」
「ここは王の都です!王国の要とも呼ばれています!」
「教えてくれてありがとう。ところでサポポン、私、この世界で使える通貨はある?」
お金、大事。
「はい!主様は今、金貨100枚、銀貨300枚、銅貨500枚持っています!」
「じゃあ大事に使わなくちゃね」
私は今、麻布で出来たローブを身に纏っている。
服装とかで怪しまれて追放、だなんて避けたいからね。
「取り敢えず…腹拵えだね」
「すみません、これはいくらですか?」
私は露店にて、蒸された穀物(じゃがいもに似ている)に指を指した。
「これかい?これは銅貨3枚だよ」
店主のおば様に銅貨を渡し、穀物を受け取った。
「ありがとうございます」
「お嬢ちゃん、冒険者かい?」
「え?あ、まぁ…はい…」
頷くと、おば様は穀物を袋いっぱいに詰め、私に渡した。
「えっ。こんなにもらっていいんですか…?」
私が聞くと、おば様は「内緒だよ」と言って、口に人差し指を当てた。
「さっ、早くお行き。気を付けなさいね」
「…ありがとう、おば様」
おば様に礼を言い、私は歩みを進めた。
「うーん、美味しい…」
もぐもぐと穀物(多分じゃがいも)を頬張っていると、人だかりが出来ていることに気が付いた。
「?」
カバンに穀物を入れ、人だかりの方へ行く。
どうやら、何かを売買する市場が来ているらしい。
「…人?」
どうやら、それは奴隷市場らしい。
どんどん売れていく奴隷らしき人達。
ふと、私はある青年に目が奪われた。
「綺麗…」
その青年は、綺麗な銀髪、ルビーのように輝く真紅の瞳を持っていた。
しかも、めちゃくちゃ私の好み。
どタイプ。
けれど、彼の目は、酷く澱んでいて、光がなかった。
「…助けなきゃ」
私は金貨を握りしめ、彼の元へと向かった。
「すみません、彼を買いたいのですが」
「…お前みたいな小娘、端金しか無いだろう」
ハンッ、と私を嘲笑う奴隷商人。
「…そうですか」
(コイツ、ムカつく!!)
イラッとしたので、私は金貨10枚を叩きつけた。
私の行動にどよめく周囲。
「きん、か…!?」
「これのどこが端金ですか?…さ、行きましょうか」
「…!」
青年の手を取り、私は裏路地へと走った。