異世界転生…ってやつですか!?
「ん……?」
ぱちり、と目を覚ますと、そこは見慣れない場所だった。
「ここ、は……?」
私が呟いたと同時に、ポワン、と、目の前が光った。
「えっ、なに!?」
光の中から、煌びやかな服装の女性が現れた。
「えぇっ!?」
「黒音叶さん、この度は転生、おめでとうございます」
「…転生?」
聞き慣れた単語が、女性の口から放たれる。
「え?私、死んだんですか…?」
声が震える。
お願いだから、嘘と言って。
私の願いも虚しく、女性は「はい」と頷いた。
「そ、んな…」
へなへなと床に座り込む。
だって、こんなの、あんまりだ。
まだ推しのグッズも届いてないし、ライブだって参戦出来ていない。
なのに、なのに…っ!
女性は落ち込む私を見かねたのか、口を開いた。
「…こちらの身勝手な都合で転生させてしまい、申し訳ございません。叶さんには、転生する際にお好みの設定を付けることが可能になるよう手配いたします」
「…分かり、ました……」
「私のことは、女神とでもお呼びください」
女性──女神様──は、ふわりと微笑んだ。
「…女神様」
「はい、どうしましたか?」
ゆらりと私は立ち上がり、女神様の手を取った。
「?」
きょとん、としている女神様。
私は、恐らくスキルや外見の設定らしき画面に、次々と文字を打ち込んだ。
「…女神様、これで転生させてください」
「え、えぇ…分かりました」
少し戸惑っている女神様をよそに、私はコロンビアポーズをした。
こうして、私は異世界転生をすることになった。