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相対性の世界にて

今回は来途の書いている小説の世界のお話です。実際の来途の文体とは異なっています。

 この世界に生きる人類に与えられた時は平等ではない。スタートラインは同じだが環境は瞬く間に人類を二分する。


 この世界では生まれながらにして与えられた猶予が決まっている。生命が尽きるまでの猶予は個体差はあれど概ねして種族ごとに決まっている。その猶予、つまり生まれながらに持つエネルギーの総量を人類は生命力と呼ぶ。


 生きることは過酷なことだ。ただ日毎に懸命に生きているだけでも生命力は消費され、病や怪我を患ったり激しく活動すれば消耗は大きくなり猶予は短くなる。


 大抵の生き物は個体間の差が顕著に現れるほどに差は生まれない。自然や同じ世界に生きるものたちの脅威から身を守り生きることすらやっとなのだ。


 しかし、生まれつき強大な生命力を持つ上位種は元々の猶予が長くその上脅威も少なくら自ずと与えられた猶予は引き伸ばされることがしばしばある。

 人類は上位種の側ではない。脅威の少ない方ではあるものの隔絶した生命力を持つわけでもない。だが、人類は歴史を繰り返す中で人類の中に上位種を生み出した。


 この世界の人類は二つの分類がある。人類の大半が属する分類を人類、あるいはもう片方と比して下級人類。そしてごく一部の人類のみが属する分類を上級人類と呼ぶ。


 上級人類は人類の英雄の末裔。この世界の理を繰り人類の生活を圧倒的に安定したものにした。英雄たちは人類の中の王族となり世界の理すなわち魔法を始めとしたあらゆる原理や思想、哲学を究め人類をより安定させ盤石な地位へと押し上げることに努めた。

 上級人類の庇護を受ける下級人類は少しでも長く多くの上級人類を守り支え、生き長らえさせることで種族の安寧の為に働いた。すべては人類全体の繁栄のために自然と形成されたものだった。

 しかし、時の流れと共に両者の間にあった関係は風化しそれぞれの生き方だけが残った。


 上級人類が積み重ねた人類の繁栄及び生存のために構築された技術体系はシステムと呼ばれ壁の外側の外敵の侵入を防ぐことと上級人類の生活の補助を主に行う。

 上級人類はより研究に集中する為に最低限の活動のみを行い大半は哲学や魔術や学術といったあらゆる物事の探求の為に思考の海に身を沈め時々その思考が正しいか確認するために実験をする。

 そして、最期に残された生命力の全てを使い生涯を掛けた集大成の実験を行い、実験はシステムに蓄積され人類に還元される。

 システムはより最適化され世代を経るごとに生命力の消費は緩やかになり上級人類の寿命は長期化しシステムに同調するように上級人類は他者との繋がりも情も希薄になった。


 対する下級人類は上級人類が生み出したシステムと体系化された魔術の恩恵を受け外敵から保護されながらも壁の向こうの上級人類とは異なり過酷な日々を命を燃やすように生きては幾度か星が巡る頃には生命力を燃やし尽くす。

 ただ生きるだけでも生命力を消耗する中でも発展を望みさらに命を燃やすことで上級人類とは対照的により短命になっていた。

 刹那的で短い生涯がそうさせるのか、下級人類はみな繋がりを求め先祖を敬い子孫を愛し上級人類とシステムがもたらす学問や魔術よりも実学や芸術、文化に情熱と生命力を注いだ。

 世代のサイクルが早く生まれる命の母数が多い下級人類の中には時々天才と呼ばれるひとつの分野に著しく秀でたものが生まれ文化水準を推しあげてはあっという間に燃え尽きるように消えていく。儚い生命を燃やし閃光のように一瞬の輝きを放つのが下級人類の特徴だった。


 もうひとつの特徴として、下級人類はサイクルのようにある世代が上級人類を羨み自由を求め公平に憧れ反旗を翻し蜂起する。

 しかし、当然ながらシステムに阻まれ、魔術に阻まれ時には守られていることを忘れ外にある脅威に襲われ反乱は成就することはなく下級人類の数を減らすだけに終わる。

 その下の世代は上級人類とシステムに守られていることを思い出し下の世代に語り継ぎしばらくは落ち着きを取り戻すが世代を経るほどに記憶は薄れ再び上級人類に立ち向かおうとする世代が生まれ、同じように容易く阻まれる。

 上級人類は自分が生きるうちに何度か繰り返されるそのサイクルと分かりきった結果に興味を抱くこともない。 


壁に隔てられた元はひとつだった人類の間は遠くなるばかり。互いに理解することも分かり合うこともなく混じり合うこともない。


 ……奇跡のようなイレギュラーが起こらなければ決して。


 しかし、奇跡とは起こるからこそ奇跡であり人を惹きつけ語り継がれ世界は変わる。

 下級人類に生まれた少年ユスティと上級人類に生まれた少年ユゼル。二人の異端児の出逢いは人類の形を変えていく。


果たしてその先の未来に何があるのか。それはシステムでさえ知りえない。

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