獣の段通
砂漠の外縁に位置する城塞都市ハリングツ。
その郊外の段通職人組合の建物に、夜半、強引に入庫した商隊がある。
商隊を率いるのは、異相の商人エラゴステス。
新たな商材を製作するため、職人を借りたいという。
施設の長デルギンドリは、気が進まぬながらもエラゴステスの計画に乗る。
「その商材は、秘密こそ価値」
そう主張するエラゴステスに、中継倉庫として使っていた都市の東の砦に職人たちをこもらせ、五〇〇の日数を過ごさせることになった。
だが、何者かが彼らを監視する様になり、状況はキナ臭くなる。
ある新月の夜、監視が砦に侵入したところを、商隊の護衛隊長ティグルが仕留める。
監視者は精強で知られた砂漠の戦士、たかだか段通職人を調べるには過剰な人員だった。
砦の警護の内通者から監視者の背後の存在に接触し、エラゴステスはそれがただの美術品であることを証明する。
五〇〇の日がたち、彼らは完成した段通を、都市をすべる帝に献上する。
現帝は破壊的な人物であり、エラゴステスの段通に強い興味をしめした。
「唄を用意してあるのだろう! そこの吟遊詩人に唄わせよ!」
帝の要望を聞いたエラゴステスは、こう答えた。
「唄よりも、一風変わった余興など、如何でしょうか——我らが砂漠を迷い、間違ってこのコブイェックなるこの獣と、出くわした一部始終など」
吟遊詩人の爪弾く琴を伴奏に、エラゴステスは商隊が全滅しかけたその出来事を、語りはじめた。
その郊外の段通職人組合の建物に、夜半、強引に入庫した商隊がある。
商隊を率いるのは、異相の商人エラゴステス。
新たな商材を製作するため、職人を借りたいという。
施設の長デルギンドリは、気が進まぬながらもエラゴステスの計画に乗る。
「その商材は、秘密こそ価値」
そう主張するエラゴステスに、中継倉庫として使っていた都市の東の砦に職人たちをこもらせ、五〇〇の日数を過ごさせることになった。
だが、何者かが彼らを監視する様になり、状況はキナ臭くなる。
ある新月の夜、監視が砦に侵入したところを、商隊の護衛隊長ティグルが仕留める。
監視者は精強で知られた砂漠の戦士、たかだか段通職人を調べるには過剰な人員だった。
砦の警護の内通者から監視者の背後の存在に接触し、エラゴステスはそれがただの美術品であることを証明する。
五〇〇の日がたち、彼らは完成した段通を、都市をすべる帝に献上する。
現帝は破壊的な人物であり、エラゴステスの段通に強い興味をしめした。
「唄を用意してあるのだろう! そこの吟遊詩人に唄わせよ!」
帝の要望を聞いたエラゴステスは、こう答えた。
「唄よりも、一風変わった余興など、如何でしょうか——我らが砂漠を迷い、間違ってこのコブイェックなるこの獣と、出くわした一部始終など」
吟遊詩人の爪弾く琴を伴奏に、エラゴステスは商隊が全滅しかけたその出来事を、語りはじめた。
幕前
2024/10/14 07:00
異相の商人
2024/10/14 12:00
東の砦
2024/10/15 12:00
事の裏側と始末
2024/10/16 12:00
都市国家ハリングツ
2024/10/17 12:00
謁見の間
2024/10/18 12:00
(改)
獣の段通
2024/10/19 12:00
(改)
帝の座
2024/10/20 12:00
獣 -コブイェック-
2024/10/21 12:00
遁走
2024/10/22 12:00
(改)
兵器
2024/10/23 12:00
白兵戦
2024/10/24 12:00
(改)
砂漠の戦士
2024/10/25 12:00
(改)
讃歌
2024/10/26 12:00
エラゴステスの陳情
2024/10/27 12:00
清算
2024/10/28 12:00
幕引
2024/10/29 00:00