僕の天使 ノア視点
やっと、作者の名前の所から作者ページに行けるようになりました・・・。
僕とミランダが初めて出会ったのは、お互いが赤ん坊の頃だった。
勿論僕はその頃の記憶は無いけれど、その頃から僕はミランダが好きだったと、母上は言っていた。
きっとその通りだと思う。
ハイハイが出来るようになったのはミランダが先で、僕はミランダに置いて行かれまいと一生懸命にずりずりと着いて行っていたらしい。
歩けるようになったのもミランダが先で、僕は一生懸命にミランダの後を追えるように歩こうとしていたらしい。
僕がミランダを好きだと意識したのは六歳の時だ。
ミランダは五歳になると弓を引いていた。六歳になった僕達は狩りに出かけた両親をミランダと屋敷近くの広場で待っていたが、はぐれた羽兎が僕の前に飛び出した。
羽兎は凶暴な魔物ではない。今なら分かる。でも、六歳の僕にはとても恐ろしくみえ、しりもちをついた僕は逃げれなかった。
メイドが駆け付けるよりも先にミランダは僕の前に飛び出し弓を引いた。バシュっと音がしたかと思うと、ピーっと羽兎の声が聞こえ、もう一度弓をミランダは射った。
「もう大丈夫だよ、一矢で仕留めれなかった。下手くそだね」
羽兎を掴み、にこっと笑うミランダはキラキラと輝いていて天使だった。
羽兎をメイドに渡すと、僕をぎゅっと抱きしめてくれ、泣き止むまでよしよしと頭を撫でてくれた。
僕はこの瞬間にミランダの事が好きだと意識したんだ。
僕はミランダと結婚したいと、その日に母上や父上に言ったけれど、二人からは困った顔をされただけだった。
じい様から、「我が家からミランダの家に婚姻の申し込みをすればミランダの家は断れん。儂はディーンの兄弟子でもあるからな。あいつは儂から言われれば断らんよ。家格も我が家が上だからな。ミランダの気持ちを大事にしてやりたいと思う。お前は三男で婿養子に行くのが一番だ、それも丁度よすぎるんだ。騎士になるか、王宮文官か、お前が自分で身を立てれれば一番なんだが。ミランダの家に今申し込めば跡継ぎが生まれた時にわだかまりも残る。ミランダがお前を望めば良いが、お前からは何も言うな。まだ早い」と言われた。
僕はショックで、部屋にこもり泣いて過ごした。
ミランダの家とも仲が良いし、問題ないと思っていた。
ミランダ以外と結婚なんて絶対嫌だと思った。
そんな時、母上と兄上たちが部屋にやって来た。
「ノア、少しお話してもいいかしら」
僕が頷くと三人はベッドで泣いている僕の周りに皆が座った。
「ノア、ミランダちゃんが好きなの?」
母上はゆっくり話し掛けられた。
僕が頷くと、一番上の兄上が僕の頭を撫でた。
「ミランダは可愛いよ、強いし、面白いし、凄いと思う。でもな、ノアは好きって言うだけじゃ駄目だ。そんなに好きなら、ふさわしい男にならないと」
二番目の兄上も僕の側に来て手を握った。
「ノアがミランダと結婚出来たら僕らも嬉しい。ノアは母上に似て可愛い顔をしているから不安なんだ。ミランダなら安心だ、でも、ミランダに選ばれるためにノアは努力をしたらどうかな」
母上もにっこり微笑む。
「私もミランダちゃんはとても好きよ。淑女らしくないと言う人もいるかもしれないけれど、まだ子供。それに、リンツ家の家風は武芸に秀でている事ですもの。それなら、彼女は弓をあの年で引けて凄いわ。お転婆だけど、マナーはしっかりできているし、所作も綺麗だわ。きっと素敵なレディになるでしょう。ノア、貴女はミランダちゃんに選ばれるために頑張ってみなさい。ここで諦めるのなら、貴方の婚約者を早く決めてしまうわよ」
僕は自分に婚約の打診が来ていることに驚いた。
どこかで僕を見掛けた人が婿養子に早めに打診をしたらしい。まだ、お互い幼く、お茶会等どうですか?という程度の物や家格が下の家ばかりなので、僕の返答次第で全て断ると言ってくれた。
「全て断って下さい。僕はミランダに選ばれるように頑張ります。勉強も剣もじい様が言うように頑張る。ミランダを守れるように努力する。だから、婚約者を決めないで」
僕は泣きながら母上に訴えた。
母上は僕の頭を撫でながら僕に言った。
「貴方は素敵な人に恋が出来たのね。自分を高める人に出会えた事に感謝しなければ。貴方に来ている話は全て断りましょう。我が家より家格が上の家は皆嫡男がいらっしゃるし、無理な婚約話は来ないはずよ。しっかり頑張りなさい」
兄上達も応援してくれた。
そこから僕は十年、一生懸命努力を重ねる。勉強もミランダより出来るようにと頑張れば、常に十番以内に入っているミランダよりも上に行く為には五位以内に入らなければならないし、将来の事を考えれば王宮文官か、王宮の秘書官を目指す事が良いかもしれない。遊ぶ暇等ない程僕は努力を重ねる事になるが、ミランダに突然婚約者が現れ、僕は一週間寝込む事になる。
家族も驚き、色々調べてくれ騙されたように結ばれた婚約だとは分かったが我が家でどうする事も出来ないと、じい様も言われていた。じい様も最近のリンツ家の現状にショックを受けているようで、考え込んでいた。兄上から、婚約解消もありえる、まだチャンスはあるぞ、と言って貰い僕もまた頑張る事になる。
ただし、家族には次に何かあったら、ミランダに告白だけでもさせて欲しいとお願いし、じい様も頷いた。
これからさらに一年、僕はミランダを見守る事になり、第三王女まで出てきて我が家でも話し合いが行われる。僕がミランダに告白するのはもうしばらく先になる。
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