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勇者と共に

完結です☆

王宮の舞踏会から一週間が経った頃、我が家とパーラメント家は王宮に呼ばれた。


私とノアは当事者ではあるが、まだ未成年と言う事で、まず親だけが呼ばれ国王陛下と話し合いが行われた。


国王陛下と話し合いなんて疲れるだけだし、こちらから要望なんてまず出せないし、私は行かなくていいと答えた。


ノアは色々要望書を書いて兄様に預けたらしい。


そして今日は王宮に私とノアが呼ばれた。


またドレスを着たが、今日は舞踏会ではないので派手ではなくきっちりした物だ。ノアも派手すぎない正装の服を着ている。


王宮に着くと、謁見室に通されるかと思ったが、ティールームの様な部屋に通されソファーに座り待つように言われた。


暫く待つと国王陛下と王太子殿下が来られた。



「待たせてすまんな」



国王陛下が言われ、私達は立ち上がり礼をした。



「楽にしてくれ。細かい事は両家に話してあるが、ここではまずそなた達に謝りたくてな。この場に来て貰ったのだ、この度は我が娘が度重なる迷惑をかけた。すまん」



国王陛下は私とノアに頭を下げられた。


ノアは頷き、私を見た。私はノアに頷いた。



「陛下、頭を上げて下さい。謝罪は受け取らせて頂きました。私も、ミランダも大丈夫です」



私も陛下を見て頷く。



「このような場でしか謝る事も出来ん」



陛下が王太子殿下を見る。



「私からも謝らせてくれ、この度は妹が迷惑をかけた。すまない。そして、ここまで君達を巻き込んでしまった」



ノアは頷き、私も頷く。



「王太子殿下、私もノアも分かって協力をしました。要するに、初めから私達は餌だったのでしょう?第三王女がちゃんと立ち直るか、知りたかったのでは?そして黒い噂がある、男爵家にも繋がりが無いか知りたかった。まあ、国王陛下や王太子殿下が私達に慰謝料くれたり、婚約を大体的に発表する時からおかしいなと思ってました。孤児を拾った事は偶然ですが、きっと色々都合が良かったのですね?」



ノアは私の手を握りにっこりと私を見る。


王太子殿下は下を向き、すまん、と言われた。



「いえ、怒っているわけではないですよ。私の前の婚約をご存じでしょう?我が家だけでは婚約破棄は無理でした。だから王太子殿下も後押しして頂きましたし、感謝しているんです」



ノアは私をうっとりと見つめている。



「ミランダ、恰好良いね。可愛いし、素敵だよ」



ノアはいつでも何処でも通常運転だ。



「うん、ノア有難う。国王陛下、王太子殿下、ここに私達を呼んだのはなぜですか?謝る為だけではないでしょう?」



陛下は顎を触られる。



「流石、ロナウドとジェフリーの孫達だな。今回ここに二人を呼んだのはな、ミランダ令嬢に叙爵(じょしゃく)を考えてるのだよ」



私が目を丸くする。



「叙爵ですか?私が?」



国王陛下は頷く。



「この度の件の功労だな。教会の汚職を暴いた事、子供達の保護、男爵家の人身売買を暴いた事、これらの功労だ。まあ、男爵家の人身売買は孤児を保護出来た事で防いだという事になっている。それでな、リンツ子爵の本家の伯爵家を復活させようと思うのだよ。ただし、ここで陞爵(しょうしゃく)ではなく叙爵と言ったのはな、リンツ家も残したいのだ。リンツ家も古い家柄で、勇者の妹、戦乙女と言われた方が祖なのだ。なのでミランダ令嬢は成人の儀の後に女伯爵となり、リンツ子爵家の位はリンツ子爵が暫くは引き続き頑張って貰おう。まだ引退には早いだろうしな。二人の子が出来れば、二人の子にそれぞれリッチモンド伯爵、リンツ子爵を継がせると良い」



私はノアを見るとノアは頷いている。



「えっと、私いきなり伯爵なのですか?そして、女性が爵位を継ぐのは余程の理由に限る、ですよね?」



王太子殿下が資料を見せる。



「本当はね、君の家には伯爵の爵位があるのだよ。それを二代前の陛下が王家に預かってる形になってるんだ。だから今回は返す形だね。そして功労も一緒に発表すれば皆納得はする」



国王陛下が頷く。



「その資料を見ての通り、昔、リッチモンド伯爵領で山火事があり、その後も災害が立て続けに起きたのだ。そして運悪く、勇者の直系のリッチモンド伯爵家も巻き込まれ皆亡くなった。そして、子爵家に養子に出ていたロナウドの祖父が一人助かった。但し、子爵家は伯爵家を継ぐ力が無く王家と話し合いの末、伯爵の爵位を王家預かりにして、時が来れば返す事になっていたのだ。勇者の家系だ。潰すわけにはいかなかった。災害も防げるものでもなく、子爵家には何の咎もない。今の子爵家ならば問題無いと思う。貴族の多くも、勇者の末裔のミランダ嬢の気を見ておる。血筋の事を出せば女性で継ぐ事も過去にはある。何も文句は出んよ」



「えっと、ノアは良いのかな?ノアが婿養子になって継ぐはずだったんだよ?いいの?」



ノアは私の手を握りニコリと微笑む。



「僕はミラと一緒なら、何処でも良いよ。伯爵で領地があるなら領地経営を僕が頑張るよ、そうしたらミラと一緒にずっといれるかな?」



私は国王陛下と王太子殿下を見る。



「謹んでお受けいたします。というか、知らなかったの私だけでしょう?」



私がジロリとノアを見ると、ノアはニコリと笑った。



「僕もはっきりと知ったのは今だよ」



王太子殿下も国王陛下も頷かれる。



「ああ、両家に打診はしてあるがな。本人達の希望で頼むと言われた。まあ、若い女伯爵だ、色々大変だろうが、二人とも成績も優秀と聞く。今後も国の為に宜しく頼む」



国王陛下が言われ、私とノアは頭を下げた。


話し合いも終わり、二人で王宮を出て行こうとすると王太子殿下が来られた。



「今日は二人とも有難う。ちょっと歩かないかい?」



綺麗な薔薇が咲いているよ、と言われ、王宮の薔薇庭園に連れていかれた。



「二人とも、第三王女や元婚約者の浮気相手がどうなったかは聞かないんだね」


「もう、関係ないですから。それに罪を決めるのは私達の仕事ではないです」



ノアがそう言い、私も頷く。



「そうか、でも、君達の耳に入るなら、私の口からにしたいと思ってね。煩い小鳥の話は何が真実か時々分からなくなるんだよ。まず、妹だが北の塔に幽閉された。今の所は、と付け足しておこう。時期が来れば毒杯を賜るだろう。もう誰も庇えないよ。第二妃は離縁され、貴族位も剝奪され平民として修道院へと行かれる事になった。表向きはね。今は落ち着かれているよ。罪を見つめられてるのかな。あと、浮気相手のリリアだがね、リンツ嬢は気付いてたのかな?妊娠は嘘だったんだね。君の元婚約者の気を引きたかったのかな?彼女は鉱山で働く事が決まったよ。男爵家皆だね。期間は十五年。人身売買の仲介役をしていたからね。裏の繋がりも検挙出来たし、そちらは皆死ぬまで鉱山送りだよ。後、君の元婚約者の家は爵位を一つ落とし、子爵となるよ。領地も半分没収となる。まあ、脱税等色々分かってね。君の元婚約者は平民になる道を選んだようだよ。商人になり身を立てる事を選んだようだね」



私は頷き、ノアを見た。



「今回の事は本当に申し訳なかった。何か助けがいる時は言ってくれ。借りは返す」



王太子殿下はそう言うと、暫く庭園でデートをしていくと言い、と言って王宮に戻られた。


ノアは、じゃあデートしよう、と私と手を繋ぎ薔薇のアーチをくぐる。



「ねえ、ノア。ノアは何処から何処迄知ってたの?」



私はノアの手を引っ張りノアの瞳を見る。



「僕も全部は知ってないよ。王太子殿下が言われた事の半分位。でも、ミラが女伯爵になるんじゃないかと思ったのは舞踏会の前位かな」


「え、そんなに前だったの」



ノアは私の手を握りもう片方の手でゆっくりと私の髪を撫でる。



「うん、子爵家の歴史を勉強していたからね。リッチモンド伯爵家の事は知ってたんだ。そして勇者の末裔の事も。家に帰って、兄上に王家預かりの詳しい事情なんかも聞いたよ。だから、今回の事で、ミラが女伯爵になるんじゃないかって思ってた」



優しく撫でる手は私の頬に移り、頬を優しくぷにぷにと触る。



「僕はね、ミラが勇者でも天使でもなんでもいいよ。ただ、ミラを守る力が僕に欲しいんだ。その為にはミラが女伯爵を持っている方が守りやすいと思うんだ。ミラ、大好き。気を変態王女に放ってたのも素敵だったよ。今度は僕に守らせて。僕の全てでミラを守るよ」



私はノアにぎゅっと抱き着いた。



「ノア、ノアにはいつも守られてるよ。私もノアが大好き」



私が上を向き背伸びをして、ノアにちゅっとキスを送りそのまま抱き着いた。


暫くして上を見ると、口元を押さえてぷるぷる震えるノアがいた。



「一緒に頑張ろうね」



私がそう言うと、ノアはふわりと私を抱きしめた。



「何処までもお供しますよ。僕の勇者」



ノアは優しく私の頬を触りゆっくりとキスをした。

お話、完結致しました。

初めは短編で書いたお話でしたが、自分でも読み直し手直しと続きが書きたくなって出来た作品です。


続きも書くかもしれません。


ミランダとノアのその後の話ですね。


番外編にするか第三章にするかは未定です。


では、お付き合い下さり有難うございました。


また皆さまにお会い出来ますように☆☆☆(o*。_。)o





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