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借金まみれの貧乏令嬢は麗しの侯爵子息の幼馴染に愛されていました【連載版】  作者: サトウアラレ
2章

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俺の気持ち アレックス視点

俺が学園の中庭でリリアといちゃついていると、窓のカーテンレースが動いたのが分かった。きっと、ミランダが見ているな、と、俺は見せつけるようにリリアを抱き寄せキスをした。


窓を見上げるとレースのカーテンが閉まり、人影が無くなった。




婚約者のミランダはヤキモチを焼いてるのか、俺の気を引きたいのか、婚約をしてすぐはあちらこちらで俺の事を聞いて回っているようだった。


ミランダは、仲良くしたいのか俺と一緒に話そうとか、勉強しようとか、一生懸命に俺に付きまとっていた。


俺が勉強を断ると、一緒にお出かけをしよう、とデートの誘い迄してきた。出掛けてやっても良かったが、二度程断ると誘われなくなり、その後は俺の周りをうろうろしているだけだった。


しばらくすると、姿を見る事も無くなったが気配は感じ遠くから見ているようだった。さらに時間が経つとそれも無くなったが、クラスメイトから俺が恋人といた近くで婚約者を見たが大丈夫なのか?と聞かれ、やっぱり俺の事が気になるのか、と思っていた。



ミランダとの初めての顔合わせの時は子供っぽいが、可愛い子だな、と思った。

紫のアーモンドの様な瞳が印象的な子だった。

美人になるな、とは思ったが褒めるのは嫌だった。


なぜなら、俺が貧乏子爵家に婿入りするのが嫌だったからだ。


父上が俺の婚約を決め、これで安心だ、と言われた事も腹が立った。成績の事や、兄上と比べられてむしゃくしゃしているのに我が家に借金をしている貧乏子爵家の婿養子。お前ならこの程度だろ、と言われているようだった。


嫌々行った顔合わせも我が家とは比べ物にならない殺風景な屋敷で、ここに将来住むのかと思うとうんざりした。


出て来たミランダも質素なワンピースを着ていた。本人には、なんだガキだな、のような事を言ったはずだ。本当は小柄で可愛いなと思ったが悔しくて言わなかった。


俺のクラスでも、ミランダは女子にも男子にも人気があるのは知っていた。貧乏だが子爵家の一人娘。多くの男子が狙っていたはずだ。


高位貴族でもないのが裕福な平民の男子にも人気の様で、噂だけは聞いていた。


ただ、ミランダの祖父が厳しい人で、中々婚約話は進まないとも聞いていた。俺が婚約者になったのはミランダの家が俺の家に借金があったからだ。



俺が選ばれて婚約者になったんじゃない。



俺の家が借金のある、ミランダの家に婚約の打診をした。ミランダの家がこの婚約を喜んでないのは明らかだ。



幼馴染にノア・パーラメントがいるのも気に食わなかった。

多くの女子生徒からキャーキャー言われ、男子生徒からも人気があり、成績も優秀。剣も出来ると聞く。


俺は一度、ミランダとノア・パーラメントがすれ違うのを見た。


パーラメントが優しくミランダに微笑んだのを俺は見逃さなかった。ミランダもコクンと頷き、それだけだったが、二人だけの時間が確かにあった。


なんだよ、と思った。


無理やり結ばれた婚約でも、あんな奴と比べるなよ。ミランダはあいつよりも俺が好きなんだろ?


俺はここでもまた比べられるのかとうんざりした。それでもミランダは俺の後をコソコソつけているようだった。きっと俺と話したいんだろうが、俺は気にしてないそぶりをした。


時々友人から、お前の婚約者がお前を見てるぞ、と声を掛けられる方が気分が良かったからだ。


俺はいつも誰かに比べられる。俺だけを見てくれる人が欲しかった。


勉強だって、やっても出来ないんだ。他の奴と同じ量やっても、理解できないんだ。努力が足りないなんて勝手に決めるなよ。


俺はもう、自棄になっていたと思う。リリアに誘われるままに一夜を共にした。


父上も、兄上も嫌になっていた。貴族社会に俺は無理だ。貧乏子爵家なんて婿に行ったって、上手くいかない。リリアの側にいるのは楽だった。


ミランダがコソコソしているのも気分が良かった。


そんな時にリリアの妊娠が分かった。正直リリアは遊び相手で、結婚相手ではないと思っていた。だからと言って、貧乏子爵家の婿養子は嫌だ。ミランダの事は嫌いじゃない、好かれているのも気分が良い。


でも、俺にはもっとふさわしい場所があると思っていた。


リリアは妊娠を告げた時、すがるように俺を見た。リリアは裕福な男爵家の娘だ。上に兄がいて、家を継ぐ事は無い。でも、俺はこれだと思った。


ミランダは俺の事が好きで、リリアの事にショックを受けるかもしれない。でも、俺に貧乏な子爵家を建て直すなんて無理だ。


俺はリリアに必死に自分の状況を説明し、二人で男爵の持っている商会で働き、平民になろうと口説いた。リリアはびっくりした顔をしたが喜んでくれた。


その後は、丁度ミランダの家から俺の浮気の事で婚約破棄をされた。厳しいと言う祖父にバレたんだろう。そんな家に婿に言っても上手くいくはずがない。まあ、金は大分払ったようだが、父上が勝手に結んだ縁だ。勝手にしてほしい。リリアの家もミランダの家に浮気の慰謝料を払ったようだが、リリアは問題ないといっていた。


私を選んでくれて有難う、と抱き着かれた。リリアも不安だったようで俺は、こいつも俺と一緒だな、と思った。


ミランダには俺がリリアを選んだ事で悲しい思いをさせるが、これでミランダの家が少しは助かれば良いだろう。


やはり、金がある家がいい。


リリアはその後学園を辞め、出産に向けて準備をした。

俺は苦手な文学や剣の授業はどうにか卒業できるレベルまで頑張り、得意な数学をどんどん勉強した。商人になるなら得意な数学をした方が良いと思ったからだ。


そして、俺はリリアの家の商会の手伝いをしながら学園をすごした。


学園には婚約破棄をしてから、最低限しか通っていなかったから、最近の学園の様子を知らなかった。


だから王宮の舞踏会でミランダとノア・パーラメントが二人でやって来たのには驚いた。


国王陛下にも声を掛けて貰っていた。


周りも微笑ましそうに見ているし、パーラメントの様子は明らかに恋人の距離だった。


俺が呆然として見ていると、友人の一人が二人の婚約を教えてくれた。


俺との婚約が無くなり暫くして二人は婚約したとの事だった。王太子からも祝福された物だと言う。大々的に発表され、俺が知らない事に驚かれた。


なんだよ、それ。


ミランダは俺の事が好きだっただろう?俺との婚約が駄目になったから幼馴染と婚約したのか?それとも、俺の婚約者は皆の憧れから好かれるような女だったのか?


俺が見ているとミランダとダンスをしているパーラメントと目が合った。


ニヤリと笑われ、ミランダを抱きかかえ高く持ち上げくるりと回し、ミランダのドレスが綺麗に広がった。周りから、わあっと歓声が沸いた。

優しくミランダを降ろすと頭にキスをし、キャーっという声が聞こえた。


急に抱き上げられ驚いた顔のミランダが見えたが、パーラメントを見つめる顔は穏やかで、あんなに可愛かったかと思うほど輝いていた。


周りの令嬢達も、ミランダの事を褒めている。


なんだよ、俺から捨ててやったんだ。


その後すぐに両親から帰る事を言われ、俺の家はパーティを早く切り上げ家に帰った。両親や兄は慌てていた。


両親や兄は急いで奥の部屋に入って行った。


こういう時も俺は一人だ。


まあいい。学園を卒業後俺は家を出る。


平民になるが、今日の舞踏会も俺は楽しいと思えなかった。


きっと俺は平民の方が向いている。



俺は自分の部屋で少しずつ荷物を整理している棚を見た。鞄に家を出る時に持っていく物を入れている。


机の上に飾っていたミランダから誕生日プレゼントに貰ったペーパーウエイトは鞄の奥に押し込んだ。


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