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借金まみれの貧乏令嬢は麗しの侯爵子息の幼馴染に愛されていました【連載版】  作者: サトウアラレ
2章

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シュガーパイと作戦

私が学園のお昼時間に、ノアとアイリーンに街での様子を説明すると、ノアは思い切り沈み込んでしまった。


アイリーンは口元を隠してはいるが、笑いたくてしょうがないようだ。



「ミランダ。パーラメント様の噂、何か悪意があるのではないかしら。私も少し、調べても宜しいかしら?お母様に相談して宜しい?」



「うん、いいよ。もうこれ以上悪く言われる事はないと思うから。魔王の上はないでしょ。あ、大魔王になるかな。ノアも気にする事ないよ。アイリーンも私もノアが良い奴だって知ってるよ。私もちゃんと皆に言ったからね。信じて貰えてないかもしれないけど。アレックスの噂もあって、全部が嘘ではないんだよ。まるっきり嘘じゃないから説明が難しいんだ」



アイリーンは頬に手をやり、考えながら私にお菓子を進めてくれた。


今日のお菓子はシュガーパイだ。食べやすい様に一口の大きさにしてある。


ノアは落ち込みながらもアイリーンが進めたシュガーパイを受け取り、私に食べさせだした。



「酷いよ・・・。僕は遊んでる暇なんてないくらい勉強と剣の稽古をしているのに。それに今は子爵家の歴史も勉強しているんだよ?将来どの仕事に付いたら一番ミラと過ごす時間が長いか考えなくちゃならないし。給料は安くても駄目だし、だからと言って家を長く空けるような仕事も駄目だからね。難しいよ」


「ノア。心配しなくても、私も働くから好きな仕事をしたらいいよ。私は冒険者ギルドに登録もしてあるからね。時々狩りに出て稼いでもいいね。サブロウ先生からも、もうすぐ免許皆伝と言われたし、師範代になる予定でもあるんだ。だからノアは好きにしていいよ」



ノアは私に食べさせながらがっくりと肩を落とす。



「僕が時間作ってもミラが忙しくなったら意味ないんだよ?でも、ミラにも好きにして欲しいし。はあ、ミラが可愛すぎて辛い・・・」



ノアが溜息を吐き、ふうっと髪をかき上げ私の頭に自分の頭をこてんと置いた。

その時、近くのベンチから、「ふーーー!!頂きました!ふーーー!!」っと声が聞こえた。


アイリーンが目をパチリとさせて、そうですわ!と言った。



「ちょっと、貴女達、そう、そこの貴女達よ。少し宜しいかしら?」



アイリーンは「ふーーー!!」っと言っていた女子生徒二人を呼んだ。

二人はビクリとしたが、アイリーンは高位貴族、呼ばれればこちらに来るしかない。


おずおずと来た女子生徒の一人は見覚えがあった。



「あ、会長さん。久しぶり、元気?」



私がノアのファンクラブ会長に声を掛けると会長は私の前に跪き綺麗なカーテシーをした。



「麗しの勇者ミランダ様にお声を掛けて頂き、誉れ高い事です」



アイリーンがファンクラブ会長に声を掛ける。



「突然ごめんなさいね。やっぱり、貴女はパーラメント様のファンクラブ会長さんね。お名前を窺って宜しいかしら?」


「ポーレット様、ご機嫌麗しく。私は二年のキャサリン・ダンドと申します。こちらは副会長の同じく二年のエリー・バイデンです」



もう一人も礼をする。



「そう、ダンド子爵令嬢とバイデン伯爵令嬢ね。突然ごめんなさい。会長と副会長と言うのは丁度いいわ。少し貴女達にお聞きしたいのよ、こちらに座って頂ける?」



二人はオロオロしていたが、座ってくれた。


そこで、街でのノアの噂を話し、二人は何か知っているかを聞くと、烈火のごとく怒りだした。



「なんと卑劣な言い方でしょう。ノア様はそんな色恋にかまけ、遊ぶ暇等あるような方ではありません。勤勉であられ、空いてる時間は全てミランダ様の事となっております。この噂は悪意が感じられます。誰か意図的に流したものではないでしょうか?」



アイリーンが頷き、ノアは恥ずかしそうにしている。


「恥ずかしがってるノア様・・・。御馳走様です・・・」と小さなつぶやきが遠くから聞こえたが会長さんがそちらをにらむとぴたりと声は止んだ。


会長凄いな、隠密スキルを持ってる私だから聞こえたと思うのに、会長も持ってるのかな。



「やっぱり、貴女達も思う?前までミランダがアルバイトに言ってもこんな事言われていないのよ。ミランダとの婚約が決まってからよ。まあ、色男くらいは前から聞くかもしれないけれど、魔性や、魔王は無いわね。誰か、意図的に流してるのではないかしら?貴女達はこういう情報に詳しいのではなくて?もし協力して頂けるのなら、パーラメント様の絵姿を我が家の絵師に描かせてファンクラブ限定で寄贈するわよ?」




・・・・・・。




・・・・・・・。




・・・・・・・・。




ぶあっ!!!!!!!




アイリーンが言葉を終えた瞬間、一瞬辺りは静寂に包まれ次の瞬間に凄い気迫が溢れ出た。


これはサブロウ先生との稽古で習った。気だ。


会長と副会長の周り、そして数名の女子生徒からも同じような気が溢れている。


二人はアイリーンの元に跪き、「なんなりとお申し付け下さい」と礼をした。


凄い。


アイリーンが一瞬でノアのファンクラブを手中に収めた。遠くにいるノアファンクラブ達の子も、こちらに向かって礼をしている。


でも、ノアの絵姿勝手に渡すって言ってるけどいいのかな?


ノアも困った顔をしてアイリーンを見ている。



「パーラメント様。この間の休みに我が家の絵師がミランダの絵を数枚描いておりますの。とても可愛らしく絵が描けておりますのよ?パーラメント様の絵姿に協力して頂ければそちらをパーラメント様に差し上げますわ。シェフと一緒にお菓子を作るミランダ、水遊びをするミランダ、ドレスアップをしたミランダ等ですわ。宜しければパーラメント様を見つめるミランダを新しく描いて貰っても良いですわね」


「是非」



ノアもアイリーンに礼をした。私は勝手に自分の絵をノアに渡され面白くなくて、ぷくっと頬を膨らませアイリーンを見つめた。


アイリーンは膨れた私の頬を触りながら、ミランダの頬は世界一ね、と言い、



「ミランダ。この間、隣国から珍しい果物が我が家に届いたの。我が家のシェフがそれでジャムを作ってお菓子を作ってくれるそうよ。まだミランダも食べた事が無い物よ。王都でも食べた事ある人は少ないんじゃないかしら?ミランダがパーラメント様に絵を気持ちよく渡してくれたら私もそのジャムで作ったお菓子を沢山上げるわ」


「うん。問題ないね」



私はアイリーンに頬を触られながら答えた。

誤字報告、大変助かってます。



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― 新着の感想 ―
[良い点] アイリーンさまの人ころがしスキルが高い……!
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