表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏切りの街  作者: 広之新
6/7

潜入する

 街の終りまであと2日となった。その日も私は地下の職場で作業を続けていた。今日の私は昨日までの私とは違う。いつもと同じくただ無感情に端末を操作しているように見せかけているが、その心の内は一筋の希望に胸が躍っていた。だが彼と私の企みを奴らに気付かれてはならない。

 今頃になって軍事衛星カーツのコントロールを取り戻そうと、米軍のサイバー部隊がこちらのコンピューターにハッキングを仕掛けてきた。だが奴らに監視されている私は手を抜かず、すべてをはね返した。今となってはいくらサイバー部隊でもどうにもならないはずだ。もう2日しかないのだから。もう私以外、カーツを止めることはできないのだ。

 土橋局長も清水主任もこの状況に満足そうな顔をしていた。他の人たちもやり切った顔をしていた。


 土橋局長:もうこれで我々を邪魔する者はいない。計画は9割9分終わった。後は結果を見るだけだ。ふんぞり返った世界の政府に目にもの見せてやる。ダークアーミー万歳!

 他の人たち:ダークアーミー万歳!


 私以外の人たちは万歳をして立ち上がって拍手をしていた。私は一人、椅子に座ってその光景を呆然と見ていた。


 清水主任:ではこれで解散だ。後は地下で落ち合おう。集合場所は・・・


 その日は早く仕事が終わった。というよりもうこれで終わりになった。私もすぐに帰された。仕事が終わったがまだ利用価値があると踏んだのだろう・・・私は奴らに始末されることはなかった。思った通りだ。

 私は雑居ビルを出て帰るふりをして、辺りを警戒しながら公園に向かった。そこではバッグを持った彼が約束通り、私を待ってくれていた。


 彼:どうだった?

 私:仕事が終わって解散したわ。もうあの場所に集まらないみたい。

 私:そうか、それは好都合だ。じゃあ、昨日の打ち合わせ通りに今からそこに行こう。


 私と彼は奴らに見つからないように気をつけながら、またあの雑居ビルに入り、地下2階まで下りた。すると目の前には頑丈な鋼鉄の扉が立ちはだかっていた。そこはセキュリティーが厳しく網膜認証システムもある。出勤時間が終わった私が侵入できるはずもない。彼はその扉に取りついていろいろと調べていた。でも彼ががんばってもこれを開けることはできないだろう。


 私:認証システムがあるのよ。もうこの時間では入れっこないわ。

 彼:大丈夫だ。僕に任せて。


 彼はバッグから何かの機器を取り出し、慣れた手つきで認証システムに取り付けた。しばらく彼が操作すると滑らかに扉が開いた。私は驚いて唖然としていた。


 彼:開いた。さあ行こう!


 彼は扉から部屋の中を見渡してから慎重に入って行った。どうして彼がそんな物を持っていたのかを聞くにも聞けず、私はただ彼の後に続いた。


 彼:君のデスクは?

 私:あそこよ。


 私は端末のおいてあるデスクを指さした。


 彼:じゃあ、早速頼むよ。僕は見張っているから。


 私はそう言われて、端末を操作して軍事衛星カーツのプログラムに侵入した。プログラムを書き換えて地球への落下を防ぐのだ。彼は扉の方へ行き、外を見張っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ