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転生したら俺が最強だったのに妹ばかりが権力を握ってしまうのだが  作者: 混凝土
第1章 スレイフィール王国編
5/9

4話 魔法

若干遅れました……

 


 ■ ■ ■



 とある郊外の小道。そこに三つの人影があった。


「まったく……なんだって俺達がこんな辺境まで足を伸ばさなくちゃならん……」


「まぁそう言うなよカト。辺境とはいえ、ここらだって立派な【アルサム・カーレィ領】だぞ?」


 ぶつぶつと小言を漏らす金髪小柄な男を、対照的に黒髪大柄な男が宥める。


「確かにフラスさんの言う通りですけどぉ~?所詮カーレィ家なんてこんな辺境しか領地にできない雑魚貴族ですよぉ~?」


「ちょっ……おまっ、ルイス!?そんなことあんまり言うもんじゃないぞ!?」


 黒髪改めフラスは、爆弾発言をする中性的容姿のルイスに叫ぶ。


「そうは言ってもさぁ~?このスレイフィール王国じゃ最底辺の貴族じゃん?別に誰も文句言わないでしょ~??」


 ルイスはあっけらかん言う。


「いやまぁ確かにそうだが……」


 ルイスの指摘にフラスは唸る。


 事実、ルイスの言に嘘偽りはない。

 このスレイフィール王国は貴族制の国である。国王を筆頭に貴族、平民、自由奴隷の順に身分が低くなっていく。

 しかし、同じ貴族であったとしてもその権力・軍事力には大きな差があるのだ。そして、先程出てきたカーレィ家というのは最底辺の貴族であった。


「まぁまぁフラス?生憎ここには俺らしか居ねぇんだ。そこまで神経質になることねぇよ。それにあのお優しい領主様がその程度で手を出してくるとも思えねぇよ」


「お優しい」というのは皮肉だろう。要するに甘いと言いたいわけだ。そうフラスは捉えたがあまり食い下がるのも面白くない。聞き流すことにした。


「んなことよりよ?俺たちゃ何処へ向かえばいいんだ?フラスは知ってんだろ?」


「あぁ。特に決まった行き先がある訳じゃない。情報を集めつつ目的を達成しろとしか言われてないからな」


「ふえぇ〜。要するに丸投げですかぁ~?流石カーレィ家ですねぇ〜」


「そんだけ信頼してくれてるってことにしとこうぜ?俺達三人をさ。いや、この場合信頼してるのはフラスだけか」


 軽口の連発に苛立ちながらもフラスは説明を続ける。


「最近この辺で密猟者、要するに盗賊の行動が活発化してきてる。んで、さっき言った目的ってのはそいつらの討伐。或いは捕獲ってところだな」


 フラスは自分で説明しながらも、確かに完全に丸投げされていることを再認識した。まぁカーレィ家の人間はこんなもんだから今更だが。


「それでぇ〜?どうしますかぁ~??フラスさ〜ん??」


 やる気がなさそうなルイス。

 もっとも、フラス以外の二人はカーレィ家直属の部下ではなく、別の貴族の部下である。

 それを考慮すると、やる気が出ないのも頷けてしまう。

 ならばどうして、別の貴族の部下が共に行動しているかということになるかもしれないが、何らおかしいことではない。

 カト、ルイスの主人である貴族もカーレィ家程ではないにしろ、あまり力のある方とは言い難い。

 詰まるところ、自分より下とはいえカーレィ家に貸しを作れば、いざというときに役立つことがあるかもしれない。そういった考えからの派遣であった。

 カト、ルイス両名の心境としては、自分の主人より劣った貴族のことを敬うなど有り得ないことなのだった。


 そんな二人の状況を理解しているフラスは特に気にせず方針を伝える。


「とりあえずはこの辺の村で話を聞いてみるしか無いだろう。たしかこのまままっすぐ行けば狂猫族(ビーストキャット)の村があったはずだ」


「あぁ~。あのD区ですかぁ~」


「あんまり虐めてやんな。俺たちの主人だって似たようなもんだしよぉ?」


「まぁ~それもそうですけどねぇ~」


「ん、んん。じゃあさっさと行くけど良いか?」


 これ以上皮肉を聞いてられないフラスは咳払いで強引に話を切り上げさっさと進む。

 その後を二人は渋々ついて行くのだった。



 ■ ■ ■



 ーーごめん、なさい……もう私たちには……こうするしか…………ーー


 そんな声が僅かに聞こえた気がする。この声は……あぁ。確かフゥか。ふむ。と言うことは昨日のことも含めてやっぱり夢じゃなかったらしい。まぁ分かってはいたが。

 俺は初めての盗賊との死闘で、まだ寝たりないと叫ぶ身体に鞭を入れ起き上がろうとする。

 ……も、起き上がることが出来ない。なんだろう?やけに身体が重いようだ。俺はよく分からないまま目をこすって確認してみる。


 その先に。


 俺の腰の辺りにまたがっているフゥの姿があった。

 いや、これでは説明不足だろう。俺の上に乗っているフゥの両手には短剣が握りしめられていた。

 なるほど。そりゃ乗っかられてたら重いわな。それになんだかこれ某ゲームの双剣みたいだし……


 って違うそうじゃない!?何考えてんだ俺は!?これ絶対フゥ俺を殺す気だよな!?


「ソウマ様……」


 フゥは悲しそうな表情で俺の名を呼び……



 容赦なく俺の首筋がかっ切られた。


「痛ってえぇえぇぇ!!!」


 部屋には俺の元気な叫び声が響き渡った。俺はしばらく悶絶してしまう。

 そんな俺の大声に起きた生稀(ふき)は「あにぃ。朝からうるさい。」と眠そうに目をこすりながら抗議してくる。

 おい生稀!?今の俺の状態分かってんのかよ!!?


 そんな俺の心の声を聞いてかどうかは知らないが、生稀は核心を突く。


「あにぃ。あのとき心臓を貫かれても死ななかったのに今更出血多量なんかで死ぬの?」


 ……たしかに……


 俺はなお続く痛みを感じながらも生稀の言うことに思案する。確かに普通ならとっくに死んでいてもおかしくない……はずなのに何故か全く死ぬ気配がない。


「なぁ。生稀。俺ってどうしちゃったのかな……?」


「さぁ??」


 そんな俺の悲しい疑問もあっさりと生稀に切り捨てられてしまう。

 ……ま。いっか。いや良くはないが。

 今はとりあえず俺から飛び降りた、かなり面白い顔をしたフゥをどうにかしないとな。

 そう思った俺はとりあえず身体を起こす。……と同時に襲ってくる激痛。

 俺は呻く。何故か死なないとはいえこの激痛は如何ともしがたい。というか俺どうしたら死ねるんだろうな?寧ろ死にたいのに死ねないと絶望する日も来そうで怖い。


「あにぃ。うるさい。話が進まないよ?」


「そ、そんなこと言ったって……」


 俺は激痛を堪えつつ生稀に応じる。


「……はぁ。もうちょっと隠したかった。のに。」


 そんなことを呟いた生稀はひょこひょこと俺に近づいてくる。そしてそのまま俺の傷口にそっと手を当てて……


 なんだろうか。少し暖かみを感じた。


「そ、そんなはず……」


 何故かフゥは驚いている。しかしその反応は正しい。俺自身しばらくすると驚いてしまった。


「な、なぁ生稀?これって……」


「ん。魔法。昨日フゥに教えてもらった。」


「「はああああぁぁぁ(はいいいいぃぃぃ)!!??」」


 あっけらかんと応える生稀に対して、本日何度目かの俺とフゥの絶叫が共鳴した。

色々中途半端ですがいったん此処で切ります。

この先は一気に進めたいので!

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