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転生したら俺が最強だったのに妹ばかりが権力を握ってしまうのだが  作者: 混凝土
第1章 スレイフィール王国編
2/9

1話 テンプレ

日曜日の0時か18時のどちらかに投稿することにします。よろしくお願いします。m(*_ _)m

※少しグロ要素ありです。

「へへ…ただの小汚い坊主かと思ったが、女も一緒か。まだガキだが顔はそこそこ良いじゃねえか。おい坊主!死にたくなきゃそいつを置いてさっさと消えな?」


 盗賊の一人、御者をしていた細身の男が俺へとニヤニヤとしながら問いかけてきた。そんな盗賊達の様子に対して、生稀(ふき)の様子が相変わらずなのは言うまでもない。俺はそんな生稀のことは気にせず盗賊の様子を観察する。どうにかして逃げなくてはならないからだ。当然だが、まともに戦う気なんてさらさらない。というよりも恐ろしくてそんなこと出来やしないだけだが。


「おい!さっさと応えろよ!!今消えるなら契約呪(フルシュ)を解いてやっても良いぞ?奴隷の身分じゃなくなるんだ。悪い話じゃないだろう??」


 盗賊の内の一人が苛立ちを隠さずに叫んでくる。そんなこと言われても生稀を置いて行ける訳がない。

 そもそも「悪い話じゃない」と言われても、意味が全く理解できない。それは生稀も同じようで、「契約呪(フルシュ)」やら「奴隷」やらの言葉が出たときはより一層興味の色が濃くなっていた。俺にとってそんなことはどうでも良く、ここから逃げられるかどうかだけが重要なのだが…


「おい!!いい加減決めやがれ!!!俺達は全員短気なんでな!早くしねぇと後悔するぜ!?」」


 そう言いながら俺に詰め寄ってくる盗賊の一人。俺の膝は笑い出した。さながら生まれたての子ヤギで自分でもみっともなかった。そんな俺を更に追い込む発言をしたのは意外にも生稀だ。


「あにぃ。ここは主人公最強もののテンプレでいうと、一方的に盗賊を倒す場面だよ?」


 うん。あえて言おうか。「そんなこと出来る訳がない!」と。そんな俺の心中を知ってか知らずか生稀は笑みを浮かべてくる。そんな生稀の様子を見た盗賊達は爆笑していた。


「おいおい嬢ちゃん?そんな坊主に何を望んでるか知らねぇが、所詮嬢ちゃんみたいな小娘の奴隷に落ちちまう魂弱者(ランクルーザー)だ。そんなのが何人居たって何も変わりゃしねぇよ!」


 ん?なんか俺が生稀の奴隷ってことにされてないだろうか?気のせいだとは思うのだが。


「あにぃは生稀の奴隷なんかじゃない。」


「馬鹿言えよ。奴隷じゃなきゃ、なんだってそんな服装なんだよ?それに嬢ちゃんはそいつに我が身を運ばせてたじゃねぇか。」


「それは関係ない。」


 うん。やっぱり何か勘違いされてたみたいだ。というか生稀はよく普通に会話出来るな。俺があの場に居たらまず間違いなく膝に笑われてしまうだろうに。まぁ、俺の反応こそ普通の日本人のそれだと思うが…。


「んじゃあ、あの坊主は俺たちをあっさりとやれるってのか?」


「あたりまえ。」


 生稀が無い胸を張って宣言している。生稀さん出来もしないことを言うのは止めてくれませんか…

 そんなことを思う俺へと一人の盗賊が近寄ってくる。その左手には小刀が握られている。俺はそれを認めると一瞬にして血の気が引いていく気がした。


「坊主!お前は俺らを()()()()()()()()全滅させてくれるらしいからな。俺がまず相手してやるよ。精々お手柔らかに頼むわ。」


 挑戦的な視線を向けてくる盗賊。よくよく見ると、最初に俺の声に反応してきた奴だった。


「いやいや…俺は戦うなんて…」


「知らないね!!」


 そう言いながら小刀を俺の顔目がけて突き出してきた。俺はそれを首を捻りなんとかかわす。…が、相手は戦い慣れた盗賊。突き出した小刀をそのまま方向転換させ、垂直に振り切ってくる。当然かわしきれず、俺の頬は切りつけられてしまった。


「痛ってえ!!」


「あにぃ。ちょっと切られただけで大袈裟。」


 そんな無慈悲な一言。確かにこんな厳つい盗賊たちから見たら大した傷じゃないだろうが、唯の高校生にはかなりきつい。しかも、お前はこっち側の人間だろうが!?


「おいおい…この程度か?いくらなんでも…弱すぎんぞ…」


 盗賊からなにか哀れみの視線を向けられてしまった。仕方ねぇだろ!?こっちは人生の17年間ずっとスポーツとも無縁だったんだからよ!!

 とはいえ、このまま殺されるのは流石に嫌だ。何より生稀が慰みものにされるのはゴメンだ。それの回避は絶対なのである。なのであるが…正直状況は最悪。詰んでいる。

 盗賊はこいつ以外に4人。万に一つ…いや億に一つこいつを倒せたとしてどうにもならない。

 さて、どうしたものか…


 そう考えていた。確かに考えていた。だからといって油断した訳じゃない。尤も、油断云々関係なく同じ結果になったのであろうが。


「アァ…カッ…」


 声にならない叫び。口いっぱいに溢れる謎の液体。俺の胸から飛び出した紅い剣。

 その液体が血液で、後ろから心臓を一突きされた事実を理解するのにそれほど時間を要しなかった。

 後ろを向くと御者の盗賊が腐った笑みを浮かべていた。その手には当然の如く剣が握られている。


「ふっ!」


 御者は勢いよく剣を抜く。そのせいで俺の身体からは大量の血液が吹き出した。

 あ、これ死ぬな…そう思った。激しい痛みで意識が飛びそうになる。

 そしてそのまま意識が………




 飛ぶことは無かった。


 俺は激痛の中で困惑する。死んでもおかしくない出血だった筈だ。仮に血液が残っていても心臓を貫かれて助かる道理は無いのだから。だがそんな思考は直ぐに断ち切られることになる。

 まだ立ったままの俺にとどめを刺そうと、御者が剣を振るおうとしてきていたのだ。それを目にし反射的に相手の腕を掴もうとしていた。何故かわそうとしなかったのかは分からない。考える間もなく身体が動いてしまっていたのだから。

 だがもっと分からないことが起こった。


 ーーバキバキッーー


 俺は相手の腕を握りつぶしていた。


「うでッ…俺のうでガァッッ!」


 耳を塞ぎたくなるほど悲痛な叫びが辺りを覆い尽くす。普通に考えて有り得ない状況だ。普通の高校生に腕を簡単に握りつぶす握力なんてある訳がないのだから。

 だが何故だろう。そんなことはどうでもよく思った。胸の激痛だって続いている。だがそれよりも残りの盗賊の始末の優先。それを実行しなくてはならないと、そう考えてしまう。


「ヒッ…」


 最初に相手していた盗賊に視線を向けると、か細い悲鳴があがった。

 俺は地面を思い切り蹴った。その結果有り得ない加速をしてしまう。

 だが俺は至って冷静だった。そのまま腕を前に突き出す。そしてそのまま盗賊の元まで腕が届き…




 今度は俺が盗賊の胸を貫いた。


「アガッ…カハッ…!」


 貫いた手をそのまま抜くと俺と同じように血が吹き出した。そしてそのまま盗賊はその場に倒れ込む。


 俺の身体は自分の血液と返り血で真赤に染まっていた。

前回よりほんの少しだけ長めですが、もうちょっと長くてもいいかもですね…

1話の長さの調整は中々出来そうにないです…泣

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