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第一章「故―ユエ―」 3

黒髪の少女が俺の前に居る。

俺は直感的に思った


コイツがつきみや 姫神ひめのだ。


「お前、月ノ宮姫神・・か?」


勇気を出して(会ったばかりの子供に声をかけるのは変質者だと思ううが)俺は言った。

すると少女はびっくりしたような、納得したような顔で


「うん。姫だよ」


と小さく言った。

それと


「お兄ちゃんはみかどって人?」


「はぁ?」


帝?? 誰だそれ??

俺は晴栄はるてるだ。

まぁ、こいつが姫神ってヤツである事は間違いないだろう。

だが、俺は帝ではない。

コイツは帝って奴を探してるのか?


「帝じゃないの?」


考えていると少女が

不安そうな顔で俺の顔を見上げていた。


「・・・俺だ。」


少し悩んでからおれは答えた。

とにかく俺はこいつを親父の所に連れて行かないと

ハゲになってしまう。

少女にうそをつくのは良心が痛むがこの場合しょうがない。


「ママァ!! この人帝だってぇー!」


「え・・・?」


ママ、だって?

見たらそこには確かに30代前半くらいの女性が立っていた。

その人は俺を見て


「早く急ぐのよ」


唐突に言った。

俺があっけにとられていると


「早くしなさい!! もう11時よ。あと1時間!!」


時計を見るとその通りだった。

あと1時間で俺の髪の運命が決まる。

そんな理由で少女をお母さんの前で誘拐同然行為をするのはどうかと思うが

俺はただ、


「分かった」


と叫び少女をおぶり家へ走って行った。




***



田島崎たじまさき



「お、親父ぃぃいいぃいい!!!」



家の前まで着て叫ぶ。

鍵がかかっていて、俺は少女をおぶっていて手が使えないから。

っていうか俺が寒い思いをしてる間親父はこたつでぬくぬくしてんのかよ・・・。


ガラッ


「うるせぇよ!! 聞こえるっつ・・」


親父は少女を見て、言葉を止めた。

3秒くらい、いやもっとかもしれない。

少しだけ親父はシーンとしていた。

だが


「お、おい。早く、家の中へ お母さんも!!」


気がついたら後ろには少女のママさんが居た。

俺、誘拐犯じゃなかった・・。

変な安心感を持った俺はとりあえず全員家の中へ入った。


「ほう、貴方が月ノ宮の・・・」


「はい。時間に間に合って本当によかったです。」


一階では親父が少女のお母さんと話しをしてる。

少女はとりあえず俺の部屋に居ることにした。勿論俺も。

ていうか何しゃべればいいんだよ・・。

コイツ、7、8才?? 位か?


「ねぇ帝?」


「・・・悪いが俺は帝じゃない。」


「え?帝じゃん」


「だから違うって」


「だって見た瞬間ピーンってきたもん」


なんだそりゃって言おうかと思ったけどやめといた。

俺も同じだからな。

あっちにも何かあるのかもしれない。


「ねぇ、姫眠いの。寝てもいい?」


「・・・別にいいけど、じゃぁ毛布持ってきてやるよ」


すくっと立ち上がり、俺は別室にある毛布を取りに行く。

昔使っていた子供用のサイズの小さい毛布を見つけ出し、部屋に戻る。

と、少女は驚くことに寝ていた。

いや、寝ていた事より・・・・


「はぁああぁぁあぁぁぁぁ!?」


俺はあまりのことに叫んでしまった。

もう、腹の底から。

ていうか俺これで今日叫ぶの何回目だろう。


「うるさいなぁー。どうしたの帝?」


少女は起き上がり、寝ぼけながら俺に言った。

その起き上った姿は、


「だってお前・・・

      

         成長してないか?」



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