第一章「故―ユエ―」 1
「くっそ一体どこに居ンだってんだよ!!!」
俺、田島崎 青栄は雪の降る寒い日、浮かれた赤服爺さんが出て来ると、思える12月25日のクリスマスになぜ一人寂しく走り回っているのか?
それは俺の昔の仲良しさんを探してるからだ。
その仲良しさんは俺の記憶にはない。
だが親父が何故だか知らねぇけど
今年のクリスマスまでに「月ノ宮 姫神」という少女を探し出せと言ってきた。
俺は今中3の受験シーズンまっただかの学生さんだぜ?
んな人探しなんてしてる場合なんてあるかっつーの。
だからずっと放置状態だったら今日の朝親父が
「今日中に姫神さんを探し出せ。見つからなけりゃお前の髪バリカンで切る。」
ってなぁ、それもう探すしかねぇじゃん。
でも少しの不満を言ってやった。
できるだけ嫌味っぽく。
「俺、そいつの顔知らねえし。だいたい仲良かったって覚えてねぇよ。」
うん。もっともな意見だ。
顔も性格も知らない昔会ったことがあるらしい人をどうやって探せって言うんだ。
自分自身は何も覚えていないんだぜ?
だけど親父はあっさり答えた。
「見た瞬間分かる。」
***
どんどん気温が下がってきてる気がする。
今、世の中のカップルは
「きゃ〜ホワイトクリスマスぅ」
とか言ってムカつくぐらいにいちゃついているんだろうな。
もちろん俺には彼女は居ない。
別に自慢じゃないけど人並みにはモテる方だとは思うけど
俺は好きな奴・・・好きな・・・想像??が居るから。
まぁ・・・説明すんのめんどくさいしそういうこと。
「ていうか親父ィィイィイイィ!!! 寒ぃんだって!! 手前も探せよぉぉおおぉ」
公園で少し休憩中。
ココアを自販機で買いベンチに座っている。
ていうか今何時だよ・・・。
無意識に空を見上げてみた。
月。
あぁ、今日は満月か・・・。
公園の中はカップルに溢れ、騒いでいる。
溜息を少し長い深呼吸だと自分に言い聞かせ
また俺は立ち上がり自販機に向かい歩きだした。
すると・・・。
「あ。」
たったひと文字の言葉が重なる。
自販機の前に俺が買ったのと同じココアを抱えた
黒く艶のある髪の少女が立っていた。
次回は黒髪の少女sideです