表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

時計

作者: あっさん。

ふと思い付いたからメモ代わりに。

世界には時計が溢れていた。


人には人の。


猫には猫の。


犬には犬の。


全ての生き物の胸元には時計がついている。


種によって時計の針の進みは違うが、全ての種が刻一刻と生きては死に向かっていた。


ある日地球を作った神様が地球の時計を見て言った。


「人が増えすぎているせいで、針の進みが早まっている」


右から左に進んでいた時計の針。


人類の時計だけが左から右へと進むようになった。


世界中の人々は驚き戸惑う中、老人達は歓喜した。


「針が戻るということは若返るということだ!なんと素晴らしいことだろうか!これぞ神の奇跡だ!」


刻一刻と戻る命の針。


生まれたばかりの赤子が退治の状態に戻ってゆっくり死んだ。


「針が戻るとはこういうことなのか!神はなんと残酷な事をするのだろう!」


死んだ我が子を手に涙する親達の声が虚しく響く。


日々死んでいく命。


日々若返る老いた命。


喜びと悲しみが混じり合う混沌とした世界。


「これは天罰なのだろう」


世界の片隅で誰かが呟いた。


街には捨てられ死に絶えた赤子がゴミの様に転がっている。


少年少女は希望もなく座り込んでいる。


喜んでいた老人達も30代、20代、10代と若返るにつれ恐怖に震えた。


自分達も最後は赤子になって死ぬのだと。


「神よ、針の進みを戻して下さい!」


世界中の老人だった若者達が神に祈った。


来る日も来る日も。


飽きることなく、諦めることなく。




そして人はいなくなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ