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おもてなしタクシー

作者: らいれろ

盗用はご遠慮ください

そろそろ行く時間だ。LINEで今日ご予約のお客様にメッセージを送る。すぐについた既読を確認しハイヤーのエンジンをかけた。

うちの会社は最近話題のおもてなしを売りにしたタクシー会社だ。もとは普通の町タクだったが、大手との差別化を図って予約専門に切り替えた。お客様の要望にあわせて臨機応変に対応を変えていき、また指名して頂くのがこの仕事のやりがいである。

今日のお客様は若い女性らしく、LINEからご予約されている。まずご自宅から美容院にお送りした後高速道路に乗って石川の結婚式場にお連れする予定だ。

「今日はよろしくお願いします」待っていたのはごく普通のOLといった風の女性だ。彼女の抱えていた大きな風呂敷を受け取り、車内にご案内する。「それでは出発いたします」

「本日はお着物でご出席されるのですか?」「はい。行くならそうしようとずっと思ってたんです」「素敵ですね。きっとよい思い出になられますよ」「ありがとうございます」穏やかな会話を続けるうちに美容院に着いた。風呂敷を渡すと、「あの、びっくりなさらないでくださいね」と彼女に言われた。「いいえ。仕事柄そういうことも多々ありますから」と私は笑った。

一時間後彼女は白い見事な着物で立っていた。「おかえりなさいませ」「本当に驚かないんですね」「ええまあ。とても素敵なお姿ですよ」「ありがとうございます」それから車内の彼女は熱心にスマートフォンをいじり出したので、黙ったまま高速道路のゲートを通過した。

「間もなく高速道路を降り、市内に入ります」彼女は窓の外を見ていた。「この辺りはお詳しいのですか?」「昔住んでいたからそれなりには」「本日ご結婚されるのはその時のお知り合いですか?」「……そうです。私の学生時代をめちゃくちゃにしたカップルですよ」「それはそれは。お客様の気合いが入られるのも納得いたしました」「……」「私にできることであれば、何なりとおっしゃってください。しっかりおもてなしさせて頂きます」ゆっくりと彼女の赤い唇が開いた。

はてさて。お客様のご要望に答えてすっかり遅くなってしまった。会社に戻る前に海鮮でも食べて行こう。店の席についたところでふとLINEに通知がきた。『ゴーストのおもてなしタクシーさん、ありがとうございました!おかげさまで念願が叶いました。仲間にもおすすめしてきました。また来世でお会いしましょう』

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― 新着の感想 ―
[良い点] 幽霊専門のタクシーだったんですね。白い着物?この人が結婚するわけではないのに?と思っていたら、意外な展開でした。 [一言] 三題噺のお題は何でしょうか?
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