第97話光の手に「鍵」そして「よからぬもの」
「え?」
運転手も驚いて肩をビクンと震わせる。
「・・・どうして、わかった?」
校長の顔が青くなった。
校長は、光から七時半に監視カメラの話を聞いて、即座に、柔道の指導を通じて警察と関係が深い坂口氏に相談をかけた。
そして、坂口も警察も本当に即座に対応して「刑事のタクシー」を手配してくれたのである。
「あ・・・はい・・・首元に柔道着の跡があって・・・」
「運転も普通のタクシーの運転手よりは、慎重で」
「時々・・・道を変えています」
光は特有のぼんやりとした話し方をしている。
「よくわかったなあ・・・」
運転手から声がかかった。
「あ・・・はい・・・」
「それから柔道つながりで、坂口さんとも親交が深いとなると・・・」
「だから多少わかったことを話しても大丈夫ですね」
光が運転手に言うと、運転手は肩をすくめている。
既にタクシーはホテルの地下駐車場に入った。
そして、ホテルの地下駐車場で祥子と晃子をおろした。
光は、刑事の運転するタクシーで校長と自宅に帰ることになった。
「大丈夫です、ホテルにも警護をつけましたから」刑事
「そうですか、それならとりあえず」光
「ところで、光君」
刑事の声が低くなった。
「はい・・・ピアノですか」
光も声を落とした。
「うん、どこまで・・・」刑事
「ピアノの響きそのものが変」
「おそらくピアノのどこかに、異物・・・と思って探しました」
「そうしたら、この鍵・・・」
「そしてピアノの下にもおそらく異物」
光の手に確かに何かの鍵がある。
「異物とは・・・」
校長も声を落とした。
「おそらく・・・」
光の目が、一瞬異様に光った。
「うん・・・」
刑事も真剣な顔である。
「何か・・・よからぬもの」
光は、そこまで言って口を閉じた。
そしていつものぼんやりとした顔に戻っている。




