第76話華奈の自称お嫁さん宣言!
光と春奈、華奈は一緒に学園を出て、光の家にいる。
今日は、奈良から楓が上京する日である。
「この炎天下に、光君のことを、心配して出てきてくれるんだから」春奈
「まあ、心配でしょうがないのかな」華奈
「いろんなお話出来るね、あれからいろいろあったもの」春奈
光が相変わらずぼんやりと聞いていると、玄関のチャイムが鳴った。
「わっ・・・出なきゃ・・・」
光にしては珍しく素早く玄関を開けた。
といっても、後ろから出てくる春奈や、華奈と大差がない。
「うん、お待たせ!お久しぶり」
玄関を開けると同時に、楓の明るい声が飛び込んできた。
「わーっ、楓ちゃん、懐かしい!」
どうやら旧知の華奈も大はしゃぎになる。
「あら!叔母さんまで!」
春奈は、雅の後ろに立つ圭子叔母さんの姿を認めた。
光も驚いている。
「ああ、楓だけだとさ、ちょっと不安だしね」
圭子叔母さんは、汗を拭き拭き笑っている。
「そんなことないって、たまには東京見物したいって言っていたでしょ」
楓が反発するけれど、圭子叔母さんは笑っているだけ。
普段は光一人だけの家が本当ににぎやかになっている。
「はい・・・少しは上達したのかな」
楓が光の入れたブレンドを美味しそうに飲む。
結局、この家の光が全員に珈琲を淹れることになった。
それも、インスタントではなく、豆から挽いた。
電動ミルではないので、少し時間がかかった。
「うん、なかなかいける味」圭子
「私には淹れてくれなかった」春奈
「まあ、そんな状態じゃなかったね、光さん」
華奈は懸命にフォローする。
「うん、美味しいけど、華奈ちゃん」
楓が華奈の顔を見る。
「けどって?」華奈
「あまり甘やかしてはいけないよ、まだ早い」楓
「まだ早いって?」
春奈は二人のやり取りがよくわからない。
「あはは、あれか・・・」
圭子が笑い出した。
「あれって?」
春奈は圭子の顔を見た。
「うん、小さい頃ね・・・」
圭子が華奈の顔を見た。
途端に華奈の顔が真っ赤になる。
「華奈ちゃん、大人になったら光君のお嫁さんになるって宣言したの」
「それも、楓と私のいる前でね」
圭子も楓も笑っている。
「うん、華奈ちゃんってね・・・」
「私に逢うたびに、光君の心配ばかりしていてね、従妹の私が妬けちゃうぐらい」楓
「へぇ・・・そうだったんだ」
春奈が華奈の顔を見る。
「でも、その時、光君は?」
春奈は、一応興味がある。
どうしても、聞き出したくなってしまった。




