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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第67話阿修羅の障壁

華奈は再び、全身が震えた。


「わっ・・・」


「何、あれ!」


光を中心として、ほぼ二mの半径で透明でオレンジ色の壁が出来上がっている。

壁は透明であるけれど、ボクシング部員は、その壁を越えて光に近づくことが出来ない。

そして拳がオレンジ色の壁に触れると、そこで動きが固まってしまう。

まるで身動きが出来なくなっている。


「え?」

「何だ?」

「どうしたってんだ!」

「腕が動かねえ!」

「脚も無理だ!」

ボクシング部員たちから、声があがる。

とにかく、そのオレンジ色の透明な壁が、動きを阻んでいる、いや絡めとられてしまう。


「まあ、穏便にとの約束だから、地蔵さんからも怒られないように・・・」

光は合掌を解いた。

そして、オレンジ色の透明な壁の前で固まっているボクシング部員の所に進んだ。

光は、ボクシング部の一人ひとりを、人差し指で、その顎をつつく。

すると、全員が同じようにヘタヘタと力なく座り込んでしまう。

全員が腰を抜かしてしまった。

そして全員が茫然とした顔、中には失禁している者もいる。

刃物を持とうが、まるで関係が無い。

つまりボクシング部員たちは、光には、何も手出しが出来なかったのである。


茫然と座り込むボクシング部員たちを、そのままに光は華奈のロープとさるぐつわを外した。


途端に華奈が光の胸に抱き付いている。

緊張がほぐれたのか、大泣きになっている。

「光さーん!、ごめんなさい」

「あーーー怖かったよーーー!」

何度も同じ言葉を繰り返している。


春奈は、途中のボクシング部員全員が光に襲い掛かる場面から見ていた。

「ふーん、阿修羅って、あんなことも出来るんだ」

「阿修羅が約束守ってくれたな。まあ怪我人が出なくよかった」

本当にホッとしている。


・・・が・・・しかし・・・

ホッとした顔の春奈は、ムッとした顔に変化する。


「それにしても・・・」

「抱き付きすぎだ、許せん!」

春奈は光に抱き付いて離れない華奈が、本当に気に入らない。


「華奈ちゃん・・・」

ものすごく低い声。

本当に気に入らないので、華奈を強引に引きはがしにかかる。


「はい・・・」

少し抵抗しながら、華奈は光から腕を離した。

そこでペロっと舌を出す・・・計画的かもしれない。


校長の姿が公園に見えた。

春奈は、座り込むボクシング部を校長に見せる。

阿修羅の力と思われる状況は語らなかった。

ボクシング部は、未だ全員が茫然とした状態である。

ただ、刃物を持ったままの部員もいる。


「集団で襲う、しかも刃物を携えてですよ」春奈

「警察は・・・今、各部で夏の大会があるので・・・マスコミも・・・」

校長は苦悩の顔になる。

確かに刃物を持って襲えば刑事罰、それがマスコミに流れれば、各部の一年間の苦労が水の泡となるし、私学である学園の評判は地に落ちる。

来年の学生募集にも多大な影響が出るし、校長の進退問題にもなる。


そんな話をしていると、新たな変化が起きた。


「あれっ・・・」

春奈は光の次の動きに目を見張った。

光は刃物を持ったボクシング部員の手から、一つずつ刃物を取り上げている。

そして一か所に集めた。二十個ぐらいのナイフやカッターになった。

しかし光は、キャプテンの手に握られていたナイフは、何故かそのままにした。


光は再び両腕を横に伸ばし、胸の前で合掌をしている。

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