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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第61話校長の高校野球応援に対する考え方

「ごめんなさい、変なところみせてしまって・・・」

祥子先生はようやく怒りをおさめ、光に声をかけた。

光も心配そうな顔になる。


「高校野球ってそんなに、大切なものなのですか?」

光は首を傾げている。

光にとって野球は単なるゲームに過ぎない。

単なるゲームを部活動にしている人たちが、どうして他の部に無理やり協力、しかも炎天下の下で苦労を強いるのか。

特に音楽部はコンサート当日と試合が重なることも考えられ、それを知った上で応援を強いられている。

そうなると、コンサートを目指した一年間の練習が、全く無になってしまうことが、簡単にわかる。


「特にね、高校の野球部の問とか監督ってそういう人が多いらしい」

「高校野球それも甲子園とか勝利至上主義に凝り固まって、他の部の都合など、全く考えない」

「よく音楽教師の間で話をするけど、そういう話題が多いの」

祥子先生は、うんざりとした顔になった。



音楽部室での野球部顧問渡辺の行動は、祥子により、すぐに校長に報告が為された。

校長は、音楽部顧問の祥子を別室に待たせ、野球部顧問を呼び事実確認をした。


「済みません・・・」

野球部顧問は短気ではあるが、素直な性格なようだ。

言葉と行動が過ぎたと反省をしているらしい。

校長はその様子を別室の祥子に伝えるけれど、祥子はそれでも高校野球の応援は出来ない、コンサート目指して熱心に練習をしている部員の気持も努力も無駄にしたくないとのことを言う。


校長自身は、それ程高校野球に興味がない。

そのため、高校野球の応援に音楽応援をするかしないかで、頭を悩ませることもしたくない。

毎年音楽部のコンサートと重なることが多いので、音楽部のOBや音大生に声をかけ、他校に恥ずかしくない程度の応援で済ましていたこともある。


そもそも、日本のプロ野球は、「私設応援団」によるラッパなどの応援があるけれど、それも好きではない。

「もっと一球一球の音を楽しみたい」

校長は六大学の学生時代から、そう考えていた。


「まあ、それでも・・・」

校長は、うなだれる野球部顧問のため、例年通りに音楽部OBに校長名で声をかけることにした。

そうすれば大学生など、多少は集まって来る。

それでも足りなければ、これもまた例年通りにエキストラの音大生を使えばいい。

その旨を伝えて野球部顧問を校長室から戻した。

野球部顧問は、幾分ほっとした顔で校長室から出て行った。

同じことを、音楽部顧問に伝えるが、「一応納得しました」だけ。

なかなか、怒りはおさまりそうにない。

対立はしばらく続きそうである。



さて、光は、祥子先生が校長室に出向いたので、明日の英語のテストに備えるため、校舎の玄関に出た。


「あっ・・・光君」

校舎を出るなり、声をかけられた。

かつてお弁当を持ってきてくれた三年生の由香利が立っている。

相変わらず、校内五本の指に入る美少女。

声をかけられた光は、少し顔が赤くなる。


「あ、お弁当ありがとうございました」

光は、他に言葉が見つからなかった。


「いえいえ、ほんのお礼だよ、美味しかった?」由香利

「あ、はい・・・美味しかったです」

光はそう答えたけれど、あの時は隣の由紀の弁当と交互に食べたので、正直どっちがどっちかわからない。


「全く、どうでしょうかね」

由香利は、笑っている。

どうやら、「事実」を知っているようである。

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