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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第5話奈良に到着、春奈先生と圭子叔母さん

京都駅で近鉄に乗り換えた。

ちょうど特急に乗ることが出来た。

すんなり快適に午前中に近鉄奈良駅に到着である。


が、しかし・・・


「うわっ・・・」


すんなりと快適な旅が一瞬にして吹き飛んでしまった。

駅を出た瞬間、灼熱の太陽である。

いつものように、頭がクラクラしてきた。

しゃがみこみたくなる衝動も感じている。

こういう場合は、どうしてもアーケード街つまり屋根のある商店街を通らねばならない。


「まあ、光君、本当に弱々しい」

「奈良の血を引いている私として、恥ずかしいことこの上ない」

「また倒れられても困るから」

そういって、春奈先生は腕を組んできた。


「え?」

光はまだ倒れていない。

それなのに腕を組まれると、かえってそのほうが恥ずかしい。


「いいの、誰も見ている人いないって・・・」

春奈先生は全く気にしない。

どんどん、まるで光を引きずるように歩いていく。

しかし、ここは東京ではないし、確かに誰も知らない人ばかりである。

その意味では気にすることではないが・・・


「ちょっと恥ずかしいんですが・・・」

光は、オズオズと小声である。


「はぁ?」

「聞こえないな、恥ずかしいの?」

春奈先生は、ますますお構いなしである。

「それとも、私のこと、オバサンと思っているんでしょ」

そういいながら、腕の力を強めてくる。


「そんなこと思ってない」

光は、反発しようと思ったけれどできなかった。

反発したところで、どう見ても主導権は握られっぱなしである。

奪い返すことは、万に一つあり得ない。


春奈先生と顔を真っ赤にした光は、アーケード街を抜けた。

左に曲がれば、興福寺である。

しかし今目指すのは、元興寺界隈、つまり叔母さんの家である。

まだ、約十分は歩かなければならない。

春奈先生と腕を組んでいる気恥ずかしさも加わり、光にとって難行苦行の行程である。


「まあ、しっかり歩こうね」

途方にくれるが、また歩き出すしかない。

アーケード街が続くが、春奈先生は全くその道を歩く意思はないようだ。

わざわざ曲がって炎天下の猿沢の池の横の道を歩いていく。

「さてさて、光君の試練かなあ」

春奈先生はケラケラと笑うし、光の難行苦行に対する恐れなど、何も考えていない。


「試練過ぎる」

光がそう思った瞬間である。


「あれーーー」

「春奈ちゃん?」

「そして、光君?」

春奈先生と光の前に一人の女性が立っている。


「あーーー」

光は、再び本当に恥ずかしい思いに包まれた。

立っている女性は、父の姉つまり、今夜泊めてもらう圭子叔母さんなのである。


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