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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第49話登校を強行する光

「え?まだ、だめ、今日は寝ていなさい」

春奈は驚くけれど、光は首を横に振る。


「ああ、もう大丈夫です」

「かなり治りました」

光は、笑顔になっている。


「ふーん・・・」

確かに、顔の腫れは、ほとんどない。

半袖の腕も、腫れが減ったように見える。


「大した回復力だなあ」

春奈は、これも阿修羅の力かと思うが、まだ学校に行かせるには少し心配。

学校に行けば、また柔道部に絡まれるかもしれない。

絡まれるのが仕方ないにしても、もう少し回復してからのほうがいいと思う。


「昨日の茶粥、ありがとうございました」

「美味しかった」

光はにっこりと笑う。


「いえいえ・・・もう一度作るから」

春奈は、光の笑顔が眩しかった。

そして見た瞬間、全身が震えてしまった。


そうなると今度は春奈のほうが、顔が赤くなった。

それも恥ずかしいので光から顔をそらせて、また茶粥を作った。

夏の日差しも強くなっているので、少し塩分を強めにした。

光は、本当に美味しそうに、全て食べてしまった。



「それでも、少し気だるそうに見えるな」

光自身は大丈夫というが、電車の中で見る横顔は少し気だるい顔に見える。

その気だるい顔も、光の美形を引き立てるのか、見つめてくる女性が多い。

「これも、面倒かな」

春奈は、面倒に思うけれど、直接手出しをされなければ、「対処」はできない。

しかし、手出しも対処も、どうしていいのか、春奈自身がよくわからない。


春奈は光と一緒に校門に入った。

予想通り、光は、一斉に女子学生に取り囲まれる。

春奈は、女子学生たちを避け、何事もなかったかのように、校舎内に入った。


「光君、大丈夫?」

「まだ、顔が少しやつれている」

「もう一日休んだほうがいいよ」

「うん、そしたら私が送っていく」

「いや、私・・・」

いろんな声が光に浴びせられるけれど、光は少し微笑んだだけ。

いつもの通りヨタヨタと歩き、自分のクラスに入った。


光が自分の席に座ると、由紀がさっそく話しかけてくる。

「ねえ、本当に大丈夫?目がトロンとしている」

しかし、光はもともと、そんな感じ。

いつもぼんやりとした顔で、特に変わりがない。


「春奈先生とは何もなかった?」

由紀の次の質問は、光には意外なようだ。

「え?春奈先生?えっと・・・」

光がちょっと考えている。


「え?何かあったの?」

由紀だけではない。

周囲の女子学生全員が光の次の言葉に注目する。

何しろ、春奈先生は男子学生憧れの美形、スタイル、雰囲気も優しい。

その春奈先生と光が一つ屋根の下で一夜を過ごしたということなので・・・


「うーん・・・お世話してもらった、本当にうれしかった」

光は、「おっとりと」応えている。

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