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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第45話光の家の前で、春奈先生と女子学生の鉢合わせ

「まあ、これじゃあ、下着を替えるのも痛いね」

「お風呂も当分無理かな、この暑いのに」

「でもさ、これって、どう考えても本人の不注意、無神経」

同情など全くしていない冷静な春奈の「診察」である。


春奈が、そんなことを考えながら光を見ていると、春奈の携帯が鳴った。

「誰だろう・・・」

春奈が携帯を見ると、奈良の圭子叔母さんである。


「はい・・・春奈です」

春奈が携帯に出ると、圭子叔母さんの笑い声が飛び込んできた。

「あはは、光君熱中症でしょ!きっとそうなると思った」

何故か、圭子叔母さんは光の状況を把握している。


「それでさ、春奈ちゃんに頼みがあるんだけどね」

圭子叔母さんのいきなりの頼みである。


「はい・・・」

春奈はなんとなく予想がついた。


「本当に悪いけれど、二、三日泊まって光君の面倒見てくれないかな」

「うん、それ過ぎたら雅を行かせる」

圭子叔母さんは、それでも、すまなそうな声である。


「あはは、それはわかりました」

「この状態では、外に出せないですし」

「少しだけ面倒を見ます」

春奈としては、親戚の男の子の面倒を「ちょっと見る」くらいの気持ちである。

でも、春奈にとって光は気になる男の子。

圭子叔母さんに頼られたことも嬉しかった。

圭子叔母さんには、子供の頃からお世話になっていたのである。


さて、春奈は、光を見続けているうちに、心が浮き浮きとしてきた。

「何か、見飽きないなあ、この子」

「うーん・・・親戚だし、年齢が離れすぎているのが癪だなあ」

春奈は、どうでもいいことまで、考えている。



ということで、春奈は、圭子叔母さんの頼みを受け入れ、二、三日光の面倒を見ることにした。

となると、少々の泊まるにあたっての着替え他必需品を取りにいかなければならない。

光の家と春奈の家は、私鉄の路線こそ井の頭線と京王線で異なるけれど、直線距離で言えば、五キロも離れていない。


「多少の荷物になるから・・・」

春奈は、物置に置いてある自転車で往復することにした。

相変わらず真っ赤な顔をして、眠り呆けている光を見て、玄関を出た。

物置から自転車を引っ張り出し、前の道に出ると、誰か歩いて来る。


「あれ?あの子たち・・・」

近づくにつれて、春奈は歩いてくるのが光のクラスの女子学生であることがわかった。

「ここに来るのかな・・・」

春奈は、何となく予想がついて、玄関の前で待った。


「あれ?春奈先生?」

予想通り女子学生たちは五、六人、光の隣の席の由紀が、春奈を見て驚いた顔になる。


「あれ?貴方たちこそ、どうしたの?」

おそらく光のことが気になって訪ねて来たとは思うが、一応確認してみる。


「先生こそ、光君の家から出てきて、しかも光君の自転車乗って、アヤシイんですが・・・」

由紀の顔が真っ赤になった。


春奈は、まさか光の家から出てきて「アヤシイ」と言われるとは思っていなかった。

ただ、言われてうれしいものもある。

ついつい、ちょっとニンマリである。

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