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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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奈良公園そしてクラシックホテルへ

「うわーーー!すごいねえ」由香利

「鹿さんも、こんなにいるんだあ・・・」由紀

「ほんと、何年ぶりかなあ、こんな綺麗な桜を見るの」美紀

「お団子も美味しいし、桜もきれいだ」楓

「私はおまんじゅうが美味しい」華奈


様々、桜に見とれる中で、ルシェールが突然光の腕を組んだ。


「わ!踊るのかな!あれも懐かしい」圭子

「うん、可愛かったあの頃を思い出す」ニケ

「ねえ、歌っちゃおうよ」奈津美

「え?あれ?」美紀

「そうさ、歌がないダンスなんか」美智子

「ちょっと待って」

ナタリーは、ギターを持って来ていた。

そしてナタリーのギター伴奏で、母親世代が歌い出してしまった。


「・・・ウィンナワルツ?」春奈

「青きドナウだあ!」ソフィー

「見ている場合じゃない!」由香利

「由香利さんの次に私ね!」由紀

「じゃあ、その次」楓

結局、ほとんどが踊りに加わっている。


ただ、華奈だけがためらっていた。

華奈にとって、料理と歌と踊りは「鬼門」なのである。

うなだれてしゃがみこんでしまった華奈を、光が手招きをした。


「ほら、さっさと!踊るだけなんだから!」

美紀が華奈のお尻を叩いた。

華奈は顔を真っ赤にして光と腕を組んだ。

「はあ、あの子も全く成長が無い、子供の時と全く同じ」

美紀は、本当に呆れ、落胆している。




圭子が予約した宴会場は、古都奈良において歴史と格式を誇るクラシックホテルだった。

明治四十二年に奈良公園の高台に創業し、関西の迎賓館とも称されてきた名門ホテルである。


「うわ!すっごいレトロだけど、品格がある」由香利

「横浜の山下公園前のホテルもレトロだけど、ここは木材をふんだんに使っているから、また趣が違う」由紀

「ねえ、皇室の写真がたくさんあるよ、やはり格式だねえ」ニケ

「興福寺の塔も良く見える」ソフィー

ホテルに入るなり、巫女たちは大騒ぎである。


圭子がフロントの前に立つと、支配人が出て来た。

「はい、圭子様、お久しぶりです、準備は整ってございます」

支配人は、丁寧に頭を下げた。


支配人は奈津美にも面識があるようだ。

「奈津美さん、伊豆の旅館も経営順調なようで、うらやましい」

奈津美も支配人に笑顔で応えている。

「いやいや、支配人のアドバイスが本当に参考になりました、今度伊豆に来たら是非」

さすが奈津美である。支配人にお礼を言いながらも、営業は欠かさない。

そんな和やかな雰囲気の中、一行は宴会場に入った。


「へえ、菊の間って名前なんだ、名前からしてレトロだ」由紀

「クラシックな雰囲気、上品な私に合うなあ」華奈

「・・・それはともかく、シャンデリアがすごい」美紀

「明治建築の粋って感じだね、史兄さんにこの雰囲気の一部屋お願いするかなあ」奈津美

「立派な暖炉だね、それにこの部屋に入っているだけで、心が落ち着く」ソフィー

様々、ひそやかな会話が交わされるが、どうにもいつもの巫女連中ではない。

とにかく、珍しく豪華な場所にいるので、固くなっているのである。


そして特に、候補者巫女の世代の口数が少なくなって来た。

圭子から小声で告げられた「光君が何か言うかもしれない」という一言が気になっている。

そして特に候補者にとって一番の関心事は、「何より光の今後、光との今後」である。

それが「光の言葉」として「どう表現されるのか、光が誰を選ぶのか、あるいは選ばないのか」、不安で仕方がないのである。


そんな状態の中、まずオードブルが運ばれて来た。

ということは、フレンチのコースとなる。

本当に美味なのか、あるいは緊張のためか、全員が黙々と食べている。


オニオングラタンスープが運ばれて来た。

「うわっ!美味しい!」

それでも華奈は、緊張感が続かない。

「こんな美味しいスープ飲んだことない」

本当に幸せそうな顔になる。


「そうだねえ、深みがあるねえ、味の宝石みたいだ」

圭子も緊張した雰囲気を和ませたいのか、笑顔で華奈に応えている。


次にメインとして、国産牛のフィレステーキ、エリンギが添えられ、ソースは仏産のマスタードソースである。

しかし、ここでも美味のためか緊張のためなのか、なかなか会話がはずまない。

特に候補者たちにとって焦れた雰囲気の中、食事が進んでいる。


「さて、奈津美さん、本当のメインはデザートだね」

圭子は、奈津美に声をかけ、立ち上がった。

奈津美も、立ち上がり圭子と宴会場を後にした。

楓も二人の後を追った。

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