現地調査終了と光のスマホ操作能力?
しかし、ソフィーは言葉を途中で遮った。
「あくまでも、周辺住民の不安の声を受けての調査です」
「何しろ異常に武器を持ち込んでいる、何が目的なんですか?」
「先生のテロ組織を刺激するなという発言は意味不明でしたが、先生自身がテロリストなんですか?」
受付がますます震えあがるような厳しい指摘をする。
すると、別の受付が、真っ青になり、何か大きな紙包みを持ってきた。
「ああ、申し訳ありません、これで・・・」
別の受付がソフィーに紙包みを渡そうとする。
しかし、ソフィーは受け取ろうとしない。
「ふん、全く馬脚も重ね重ねだねえ・・・」
ソフィーの目が恐ろしく光った。
と同時に、紙包みが破けてしまった。
百万円の現金束が数束床に広がっている。
「これも見逃せない、議員さんの事務所でねえ・・・不祥事の宝の山だ」
ソフィーはこれも写真を取り、メール転送をしている。
「まあ、あんたたちは、今日のところは大丈夫さ」
ソフィーは再び目を光らせた。
そして、そのまま光と政治家事務所を後にした。
「へえ、記憶を消しちゃったんだ」
光はソフィーの顔を見て、不思議なことを言う。
「うん、今日のところはね、誰かが来て、倉庫まで案内して、気がついたら現金が床に広がっていたぐらいかなあ」
「明日の先生の国会質問の本当に直前、数秒前ぐらいに思い出す」
「まあ、その時が楽しみさ」
「でも、国会質問も出来るかどうか・・・」
「それから圭子さんたちは、あちこち知りあいの神社仏閣経由で、様々な関連会社、銀行、マスコミに、工作を開始したよ、まあ、巫女にとって裏情報を仕入れる、仕込むなんて巫女稼業のイロハさ、敵にしてこんな恐ろしい敵はいない」
ソフィーは意味深な顔で笑っている。
「それでさ、運転手の始末は任せてくれる?」
光はソフィーの顔を見た。
運送会社と政治家事務所はおそらく決着がつく。
光としては、直接の関係者はその運転手であり、どうしても自分が始末をつけたいと思っている。
「うん、それは任せる・・・」
ソフィーは光の目に恐ろしいものを感じている。
「ただ、光君自身が犯罪者になっちゃだめだよ、それだけは約束して」
ソフィーは、どうしてもそのことを確認したかった。
光もそれは理解しているようだ。
「うん、そんなことはしない、ただ始末は厳しい」
ソフィーの懸念を否定しながらも、光の表情は厳しかった。
光の家とソフィーが戻ると、美味しそうな匂いが漂っている。
しかし、キッチンには誰もいない。
「あれ?どこかなあ」光
「もしかして自分たちだけで食べちゃったとかさ」ソフィー
光とソフィーが、首を傾げていると華奈が二階から駆け下りて来た。
「ほらー!待っているんだからさ、さっさと二階に来てよ!」
「もうね、楓ちゃんがお腹減ったって大騒ぎ!」
「それにさ、光さん、どうしてメールを読むって出来ないの?」
「ソフィーもソフィーだよ、抜け駆けするんだったら、ちゃんと光さんの面倒見てよ!」
「全く二人して出かけてばかり!アヤシイよ、まったく!」
「私なんか一度も、二人して出かけてないし!」
光とソフィーが呆れる中、華奈は母美紀により強引に二階に連れ戻された。
「ああ、メール入っていた、三つだ」
少しウロタエ顔の光がスマホを見ている。
「いくら何でも三つはわかるよ、どうしてわからないの?」
ソフィーもこれには呆れ、光のスマホを奪ってしまう。
「ああ、そうか、マナーモードかあ・・・バイブもないの?」
ソフィーは光が気づかなかった原因を把握した。
華奈にまで叱られた光が、可哀そうになった。
しかし、光の次の答えで「可哀そう」は一変した。
「うん、そのマナーモードとね、バイブの変更って、全くやり方がわからない、っていうか買ってから説明書も何も読んでいないし」
光は必死に、電話、メールに出ない「言い訳」を説明するけれど、ソフィーは本当に怒り顔になった。
「光君って、本当に呆れる!」
「政府から緊急メールあったらどうするの?」
「高校二年生、来年は三年生だよ、機械が苦手な老人世代じゃないんだよ」
ソフィーの怒りで光は、ますますウロタエ顔が加速した。
「もう、しょうがないなあ・・・」
「これだから、おっとり春奈さんとかルシェールには任せられない」
「華奈ちゃんはそもそも論外、楓ちゃんはいとこだから対象外、由香利さんと由紀さんも、今までそんな光君を放置してきたウカツさは否定できない」
「全てソフィーが手取り足取り指導だよ」
ソフィーは言い終えてスッキリしたのか、ニンマリ顔になっている。




