光と春奈が同じベッドで・・・
「えーーーっと何だっけ・・・」
「あ?首相のところだっけ?」
「寝ていたいなあ、花粉飛んでいるし」
予想通り、光の反応は「面倒くさい」感情が先に立つ。
「あのね、そりゃね、私だってそうしたいの、でも、公務なの」
ソフィーはますます言葉がきつくなった。
春奈は、少しハラハラして来た。
「ソフィー、そうは言ってもね、光君だって疲れていると思うよ、どうしても明日じゃないといけないの?」
華奈も必死に光を擁護する。
「それにさ、今の光さんの状態で官邸に行ってもね、花粉症の薬で眠くなって寝ているだけだよ、薬飲まなくても寝ているくらいだもの」
華奈の言う通り、光の目はさらにトロン、身体も揺れている。
「やば・・・これでは、光君寝ちゃう、座る位置失敗した」
ソフィーは、光の追及どころではなくなった。
光は次第に身体が春奈の方に倒れていく。
華奈も焦っている。
「私も座る位置失敗した、私が光さんんの隣に座るべきだった・・・」
「でも・・・あーーーー寝ちゃった」
「春奈さん、うれしそうに頭なでているし」
結局光は、春奈の膝枕で眠ってしまった。
起きる気配も全くない。
「もう、これじゃ、しょうがない、とにかく明日八時半にお迎えが来るよ」
眠られてしまっては仕方がない、ソフィーは怒り顔のまま、華奈と帰ることにした。
華奈も文句タラタラである。
「何さ、春奈さん、親指立ててクールサインしたりして、あーーーあの勝ち誇り顔全く気に入らない!」
ただ、それ以上の追及は出来なかった。
何しろ光の疲れ顔は、本当にひどかったのである。
光は春奈の膝枕で、しばし眠った後、目を覚ました。
恥ずかしそうな赤い顔をして春奈を見上げている。
「春奈さん、ごめんなさい、寝ちゃった」
春奈も光の顔を見て真っ赤になってしまった。
「ああ、いいよ、顔見ていて可愛かったしさ」
「自分のベッドで寝る?」
前の言葉は本音、後の言葉は「一応」である。
本当は、このままでもいいと思っている。
「うん、取りあえず寝ます」
光はヨロヨロと立ち上がった。
少し不安に感じた春奈が光を支える中、自分のベッドで寝かせた。
眠るまでの時間もあっと言う間だった、三十秒もかかっていない。
「本当に凄い闘いだったし、こんな体力がない子がそれをやったんだから」
「数日寝たって不思議じゃないさ」
春奈は、眠りの世界に入ってしまった光をじっと見ている。
さて、その春奈も眠くなって来てしまった。
「うーん、私も疲れがたまっているしなあ」
「謝恩会の食事も美味しくて、たくさん食べちゃったしなあ」
「それに、ベッドも広いなあ、ダブル?ちょっとだけならいいかなあ・・・」
「ソフィーと華奈を帰したのは正解だった、フフン、わかりはしないさ」
「ちょっとだけだから・・・」
春奈も眠気を我慢出来なかった。
光のベッドに潜り込み、そのまま眠ってしまったのである。
結局、光と春奈は一つのベッドに入ったまま、朝まで起きることは出来なかった。
春奈が目覚めたのは、午前七時であり、本当に焦った。
「わ、こんなに寝ちゃった、お風呂も入っていないや、朝ご飯も作らないと」
隣で寝ている光は、まだ起きる気配がない。
春奈は、光の髪を少し撫で、そっとベッドから起き上がった。
「光君、もう朝だよ」
起きるとは思わなかったけれど、一応声だけかけて、光の部屋を出ようとすると光の口が少し動いた。
「春奈さん、ありがとう」
「温かかった」
そして光は、また眠ってしまった。
「うーーーードキドキしちゃうじゃない」
春奈は、お風呂をジャグジーにした。
その方が疲れが取れ、血行も良くなると思った。
「温かったって・・・うーん・・・」
何を考えているかわからないけれど、春奈はジャグジー風呂の中で全くの赤面状態となった。
その春奈がお風呂から出て、ようやく起きて来た光が風呂に入っている間に朝食の準備にかかる。
既に時計は午前八時近くになっている。




