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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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秘密の和室

「もう、しょうがないなあ・・・」

美紀は、すぐに光の家に入って来た。

ただ、「しょうがないなあ」などと言う顔のわりに、ニコニコしている。

しかし、よくわからないけれど、ミカンの大袋を持っている。


「あ、すみません、急な話で」

光が頭を下げるけれど、美紀はニコニコ顔のまま。


「いやいや、また華奈のワガママだしさ」

「華奈なんかソファで十分だよ、布団なんかもったいない」

「私が光君の部屋で寝ようかなあ、小さいときはそうしたよね」

美紀の本音としては、実は光の家に泊まるのがうれしくて仕方がないらしい。

これには、春奈や他の巫女たちも、頭を抱えている。


「それはね、こういう不穏な夜に大人が一人泊まってくれると安心だけどさ」春奈

「ほんと、母親世代の力は侮りがたいんだけどね・・・」ルシェール

「そもそも、華奈ちゃんが素直に帰らないから、こうなる」由香利

「でも、今夜のことも、楓ちゃんには内緒にしよう」

由紀は、それでも冷静、ブツブツなど言わない。

華奈は、うれしさも半分、複雑な表情を見せ、何も言うことが出来ない。


「じゃあ、ちょっと準備するかなあ、美紀叔母さん、手伝って」

光は、まず美紀だけに声をかけた。

他の巫女連中の目など、何も見ていない、そのまま階段に向かった。


「うん、懐かしいなあ」

 美紀は、ますますニコニコ顔になり、光と階段をのぼりはじめている。


「あ・・・何?この私をスルーして!」

光と美紀に完全スルーされた、春奈は焦り顔で、光と美紀を追って階段をのぼる。

他の巫女も、当然そのままではいられない。

結局、全員が和室に入ることになった。



「へーーー広いなあ!」

「どうして隠していたの?」

「ここだったら、コタツ出して、光さんと二人きりで、シットリできるねえ!」

和室に入るなり、華奈は大声三連発となった。


ただ、華奈の最後の「光さんと二人きりでシットリ」は誰も聞いていないものの、光と美紀以外は全員、和室に入り目を丸くしている。


「ここって、十六畳?すごく広く見える」由紀

「それで、クローゼットもあるからねえ・・・」由香利

「畳の香がいいなあ。障子も落ち着く」ルシェール

「床の間に掛け軸かあ、あれ、香炉もある」春奈


美紀はニコニコ顔のままで話し始めた。

「うん、史さんと菜穂子さんが、いろいろ工夫して作った和室さ」

「基本的には、シンプルそのものの和室だよ」

「木材とかは、選び抜いてある」

「光君が小さな時とか、奈良の巫女連中が都内に来る時は、合宿所、ここで雑魚寝さ」

「夜中までお酒飲んで楽しかったなあ」

そんなことは、何も知らなかった奈良の巫女連中の娘、春奈、華奈、ルシェールは、再び目を丸くした。

由香利と由紀も、楽しそうに美紀の説明を聞いている。


「それでさ、光君、せっかくだから説明してあげて」

美紀は、光に部屋の説明を促した。

光は、少し恥ずかしそうに説明を始める。


「えっとね、父さんと母さんがね、いろいろ仕掛けを作ってさ」

光が壁からリモコンを外し、ボタンの一つを押すと、いきなり壁が開いた。


「えーーー?大きな冷蔵庫?こんなところに?」春奈

「まあ、洋酒がタップリ、泡盛もある」ルシェール

「まあ、雑魚寝宴会用って、史さんが言っていたけれど、光君、その次」

美紀に促され、光が別のボタンを押すと、壁一面が真っ白なスクリーンと化した。


「へーーー・・・これなら宴会しながら大迫力の映画を見られる」由香利

「あら、スピーカーは超高級品、そうなると・・・」由紀

「うん、完全防音室だよ、キーボードもスピーカーの近くにあるでしょ、ここで菜穂子さんがキーボード叩いて、みんなで歌ったのさ」

美紀は懐かしそうな顔になる。


「うん、それでね」

光はまた別のボタンを押すと、違う壁が開いた。

「すっごい本の量だ!」華奈

「楽譜とかCD、昔懐かしいレコードもあるなあ」春奈

壁一面が大量の書籍と楽譜、CD類でおおわれている。

その他、シャワールームや、トイレ、簡単な料理が出来るキッチンも別の壁に隠されている。



「いやーーー知らなかったなあ」

春奈は、反省しきりになった。


「いや、掃除はするけれど、そんなに使う部屋じゃないしね」

春奈の「反省」が心配になったのか、光は春奈をなぐさめている。


「ところで、光さん、コタツお願い」

華奈は、部屋の中やクローゼットを見ても、コタツがないことが気になっていた。

他の巫女からは無視されたものの、「光と二人きりでコタツでシットリ」願望は、心に強く残っている。

少し首を傾げながら、光にお願いをしている。

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