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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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官邸での特別対策会議 阿修羅、観音菩薩、天使長ミカエル出現

首相が、まず立ち上がった。

少し緊張気味に話し出した。

「光様とソフィー様、いや実態は阿修羅様と観音様、本当に日本いや世界は緊迫の度合いを高めております」

「是非、御力をお貸しください、私たちも拙いながら全力でサポートを行います」

光とソフィーの正体は、特別対策室にいる全員に伝えられているのか、全員が一様に光とソフィーに深々と頭を下げた。


「わかりました、それでは・・・」

光の目が輝いた。

そして、両腕を左右に開き、その後両手を胸の前で合わせた。

阿修羅の合掌の形の完成と同時に、光は阿修羅に完全に変化した。


「それじゃあ、私も」

ソフィーは一旦両手で自分の顔を覆った。

そして両手をその顔から話した途端である。

ソフィーの顔は明るく輝き、その明るさは眩い光となって特別対策室全体を照らした。

全員が目をつぶり、ようやく目を開けた時にはソフィーの全身が輝いた。

まさに、この世に現れた十一面観音様そのものの姿、全身がまばゆい光輪に包まれている。


「それから、ミカエルも」

阿修羅が末席に座る警視総監に声を掛けると、警視総監は頷き、そのまま天使長ミカエルに変化した。


「え?警視総監まで?」

官房長官がうなった。

首相も相当驚いた顔になっている。

警視総監が天使長ミカエルの力を帯びているとは、首相と官房長官を始め、他の閣僚他全員が把握していなかったようだ。

一様に、天使長ミカエルを見て、驚き、そして頭を下げた。


「ああ、最近、警察関係の不祥事発覚が多いだろう、だから一時的に乗り移ることにした」

天使長ミカエルが重々しい声で、話し出した。

「国民を守る警察が、国民を逆に虐げる、悪の手先と化している」

確かに、品川、渋谷、銀座の事件は本当に警察の信頼を失墜させている。

首相以下、全てのメンバーが天使長ミカエルの言葉に頭を上げることが出来ない。


「今はその話ではない、頭を上げてよい」

「悪辣なる闇の神との戦いの話だ」

阿修羅のその言葉で、頭を下げ続ける首相他全てのメンバーが、ようやく、その頭を上げることが出来た。


阿修羅の右隣の席が開けられ、天使長ミカエルが座った。

観音様は、阿修羅の左隣に座っている。


「それでは、決戦の日と場所を述べる」

阿修羅の目が鋭く光った。

天使長ミカエル、観音様を含め、特別対策室のメンバー全員が阿修羅の次の言葉を聞こうと、阿修羅の唇を注視した。


「決戦は明日、三月三日、場所は富士山麓」

「ここにいる天使長ミカエル、観音様、天神アポロも戦闘に参加する」

「それから八部衆は既に現地で戦闘態勢になっている」

「金剛力士二体は都内の警備を行う」

「日本国内の全ての神には国民を護る旨、指示を行った」

「阿弥陀様からは絶対のお護りを行うとの申し出が、この阿修羅になされた」

「何としても、この美しい国、浄土の日本を護らねばならない」

「首相をはじめとして全ての閣僚とやら、細かな指示は観音様から行う。決して指示を違えることのないように」

有無を言わせないような絶対的な強さと光を帯びた阿修羅の言葉がそこで終わった。


阿修羅の変化も終わり、光がぼんやりと座っている。

変化の後、疲れてしまったのか、少しずつ光の身体が揺れてきている。


天使長ミカエルが光の身体を支えたことを確認し、観音様が指示を行った。


「これから、悪神及び悪天使の全てを富士山麓に誘導するため、日本国内の様々な場所に諸神仏の力により結界を張ります」

「それにより、国土国民の被害は相当程度軽減されます」

「それでも、出来うる限りの外出は避けるよう、国民に指示を行いなさい」

 観音様の言葉も重い。


誰もしばらく言葉が出せなかった。

ようやく首相が質問を行った。


「実質的な意味での戒厳令となりますが、わが日本は自由主義の国、中には従わない国民もあります、そういう国民が外出などを行った場合は」

首相の頭の中には、どんな状態でも自由に遊び呆ける人、何が何でも政府の方針に反対をしたい人たちのことが浮かんでいる。

首相としては、その人たちも含めて守りたいと考えている。


その問いに対して天使長ミカエルが答えた。

「阿修羅様のお考えは、固まっている」

「救う対象と滅ぼす対象は異なる」

「特に聞きたいと思う滅ぼす対象とは・・・」


ミカエルの声が大きくなった。

「他者に対して、謙虚な心を持たずに攻撃、破壊、収奪の悪心を持つもの、慈愛の心がないもの、お前たちも含めて、人間に例外はない」

首相をはじめとして全てのメンバーが、再び頭を下げている。


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