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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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銀座にて(10)事件の真相、地蔵菩薩の後始末

演奏が終わった途端に華奈は、光に抱き付いて泣き出してしまった。


「あーーー緊張したよーーー」

本当に大泣きになっている。

その姿を見て、再び群衆から大拍手がおこっている。


「ふん!光君、抱きしめているし、気に入らない!」春奈

「あれはしがみついているから、しょうがないだけさ、事務的な対応」由紀

「それにしても泣き過ぎ!だからお子ちゃまなの!」由香利

「私のほうが、もっと上手に抱きつくことができます」ルシェール

「ほら、アンコール来ているよ、なんとかしないと大変」

文句を言い始めた巫女はともかく、ソフィーは不安気な顔になった。


「ほら、合唱部!」

春奈は由紀に声をかけた。

「え?私?でも、そんなこと言っている場合じゃないか」

由紀は、華奈ほど遠慮はない。

遠慮などしていると、華奈の動きが心配でならない。

そのまま、ステージにあがってしまった。


「うん、由紀さん、ありがとう、助かる」

光は華奈をピアノの横の椅子に座らせた。

華奈は腰が抜けたような放心状態になっている。


「これで最後にするけど、あれでいいかなあ」

光は由紀の顔を見た。

由紀もすぐにわかったらしい。

にっこりと頷いた。


最後の曲のイントロが始まった途端、春奈は光の意図を理解した。

「うん、これも阿修羅の光の浄化の曲だ」


ソフィーもわかったらしい。

「ヒア・カムズ・ザ・サンね、わかりやすい」


由香利とルシェールも我慢できなくてステージに上がってしまった。

由紀と上手にハーモニーを作っている。


「そうなると、ここにいるわけにはいかない」

ついに晃子もステージにのぼった。

光を含めた音楽神の伴奏で、「ヒア・カムズ・ザ・サン」の女性コーラスになった。


「うん、出遅れたか」春奈

「でも、聞いているのもいいよ、みんな上手過ぎる」ソフィー

「でも、本質は阿修羅様じゃなくて、あれは光君の音楽性だね、それに音楽神たちが喜んでいる」

ミカエルも、楽しそうに聞いている。



演奏が終わると、ステージ全員が群衆から大拍手を受けた。


「これはマスコミ沙汰になるかなあ」春奈

「ああ、なるかも、でも正体不明で申し込んだから大丈夫」ソフィー

「また、どこかの芸能プロダクションが来ると面倒だしね」春奈

「うん、そんなことやっている場合じゃないし」

ソフィーは演奏を聞きながらいろいろ調べていたらしい。


「つまりね、ミカエル」

ソフィーは天使長ミカエルが「期限付きで」乗り移っている警視総監に説明を始めた。


「ここの管内の某署長がね、競馬ですごい借金を背負っていてね、その肩代わりをしたのが、あの国際テロ集団だった」

「だから、いろんな悪いことを管内でやっていても、捜査も検挙もしなかった」

「まあ、悪い事と言っても、まだ人を殺めるとかの行為はなかった」

「まあ、ストーカーから始まって、政権崩壊に関わるデマとか集会の扇動、微妙なスレスレの行動で、しかも同時多発だったから検挙も難しかった」

「ただ、今日の銀座での行為は、下っ端の警察官たちには知らされていなかったらしい」

「下っ端の警察官は、署長からとにかくテロ集団だけは、大目にみろと指示されていたし、現場についてみたら、テロ集団が倒されている、だから光君たちが機関銃以上の危険な武器を持っていると思って取り囲んだの」

「実態は神の力で倒したんだけど、普通の人間から見れば、素手で機関銃を持った人間を倒している、警察官の疑問も当り前さ」

警視総監はずっとソフィーの説明を聞き、頷いている。




演奏を終えた光たちは、少し戸惑っている。

何しろ、光たちの演奏が本当に良かったらしく、夥しい群衆に取り囲まれているのである。


「あらら・・・」ソフィー

「特に若い女の子が多いなあ、気に入らない」春奈

「これじゃあ、ステージから動けないなあ」ミカエル

そんな状態の中、空から美しい鈴の音が聞こえて来た。


「あら、お久しぶりだこと」

ソフィーは空を見上げると、地蔵菩薩が空に浮かんでいる。


「ほー・・・さすがだなあ」

ミカエルも、その姿を見とめた。

「お見通しなんだ、やはりお地蔵様だなあ」

春奈が、お地蔵様に手を合わせると、地蔵が頷き、再び錫杖の鈴を鳴らした。


「へえ・・・すごい」ソフィー

「みんな、何事もなかったように、歩き出したよ」春奈

春奈の言葉通り、平穏な銀座に戻っている。

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