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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
367/419

銀座にて(7)神軍VS国際テロ集団、警察に責められる光

その街宣車の拡声器から演歌が止み、突然、大音量でスピーチが始まった。


「おい!この平和ボケしたエコノミックアニマルの汚らしい日本人ども!」

「それから、こんな、虚偽と虚飾と汚濁にまみれた日本なんぞに来る、外国人ども!」

「たかだか千数百年の歴史しかもたない日本め、日本以上の虚飾と汚濁、殺戮好き、しかも歴史の浅いアメリカの意に従うとは、何事だ!」

「多国籍軍とやら・・・ああ、あの恐ろしくも理不尽な十字軍にも似た軍に、憲法違反までして、支援をするなど、まさに嘘つき!二枚舌の国」

「日本は憲法において、侵略の罪を認め、全ての戦争に加担しないと、自ら決めたのではないのか!」

「それなのに、自衛権などと二枚舌を使い、自衛隊などという軍隊を持った」


「そのうえ、人道的支援などといって、海外派兵まで行っている」

「いいか!我が神は日本の歴史の浅いチンケな神とは異なり、太古からの神だ」

「その神は、嘘つきと虚飾と汚濁は好まれない」

「それから抗弁は無用だ、既に我が神の判断は降りている」

「それ故、今から、手始めとして、この銀座を破壊する」

「それから、今目の前にある街宣車と同様の街宣車が銀座の周りを全て固めている」

「だから、お前たちには逃げ場はない。日本における最初の見せしめとして、我が神による地獄の苦しみを受けるがいい!」

「これは、我が神による鉄槌と考えよ!」


スピーチが終わった途端、街宣車から機関銃を持った迷彩服、黒いマスクをした男たちが飛び出して来た。

銀座四丁目の交差点だけではない、あちこちの街宣車から同じように機関銃を持った男たちが、飛び出して来たらしい、夥しい群衆の恐怖の叫び声が、銀座の街全体に響き渡っている。


「これ・・・やばいよ」春奈

「阿修羅さんたち、どうするのかな」由香利

「危険極まりないです!」ルシェール

「あ、でも、え?あれー?」

由紀は、神々の変化を見た。

そして華奈が「阿修羅さんたち、すっごく大きくなっている!」と叫んだ瞬間である。


銀座の街全体が眩い光に包まれた。


そして阿修羅たちの神軍団と、街宣車から飛び出してきた男たちとの戦闘が始まった。



「すごい!みんな強いなんてもんじゃない!」春奈

「ああ、カルラとガブリエル、アポロは空中からの攻撃だし、阿修羅たちは不思議な武器を持って、コテンパンに倒している」由香利


「こんな光眩しくても見えるのが、巫女の特権だなあ、普通の人には機関銃を持った人たちが素手の光君たちと闘ってバタバタ倒れていく姿しか見えないはず」由紀

「ほんと、軽くひねり倒しています!」ルシェール


「あ、でも街宣車に火がついたよ!」

華奈の声が震えた。

「え?もしかして自爆テロ?」

春奈の声も震えた。


「あ・・・でも、サカラも空を飛んだよ」

由香利は、羽が生えて空を飛ぶサカラを見ている。


「あれ?雨が降って来た、でも二月なのに冷たくないよ」由紀


「あーーーサカラって雨を呼ぶ龍神かあ、それで街宣車の火を消すんだ、なかなか、お顔も可愛いなあ」

華奈の声が最後だった。


結局僅かな時間で、自爆テロ集団は退治され、街宣車の火は消え、夥しい戦闘員が街宣車の前に横たわっている。


光たちもいつの間にか、変化から戻っている。

ソフィー、カルラ、アポロも天から降りて来た。


「ああ、お疲れさん」

光が全員に声をかけた。


「いや、久々に気持ちがよかった」カルラ

「ああ、阿修羅だけが、こういう思いをしていたんだ、それがズルいって思っていた」キンナラ

「なあ、上手いものを食べてさ、特権あり過ぎさ」サカラ

「それは、阿修羅様の人気の高さ故」

ソフィーも笑っている。


「あれ?でも」

春奈は、首を傾げた。

「うん、警察官がたくさん走って来るよ」華奈

「すごく厳しい顔しているけど」由香利

「既に拳銃を構えています」ルシェール

「何やら、面倒だなあ」

由紀は顔をしかめた。



由紀の不安は的中した。

警察官たちは、光たちを取り囲んだのである。

まず。若い警察官がいきなり怒鳴った。

そして怒鳴ると同時に、光の胸ぐらを掴んでいる。


「おい!問題のある街宣車はともかくな!」

「中から出てきた男たちが全員倒れているじゃないか!」

「確かに機関銃を全員持っているが、お前たち何をしたんだ!」

「しっかり答えないならば、暴行傷害現行犯で逮捕、連行するぞ!」

その怒鳴り声は、銀座四丁目で様子を見ていた人々に全て、聞こえている。

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