表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
阿修羅様と光君  作者: 舞夢
356/419

光復活計画?

ようやく近鉄に乗り込めた光は、ずっとうつむいている。

それに対して、春奈たちは、いろいろ考えている。


「つまりね、楓ちゃん、寂しくて仕方がないのさ」春奈

「私たちは、会おうと思えば毎日会えるけどねえ・・・」ルシェール

「お花見って言っても、まだずっと先だよ、可哀そうな気もする」ソフィー

「一度、東京とか来てもらおうか?」華奈

「暖かいところがいいなあ、来てもらうにも」春奈

「となると、うーん・・・都内もまだ寒いよ」ソフィー

都内組の巫女たちは、様々、「楓のご機嫌取り」を考えていけれど、気になっていることがあった。

都内組の巫女たち全員に、楓から言われた言葉である。


「いい?春奈さんもそうだけどさ、光君のお嫁さんになりたいんだったら、もっと光君の内面に入り込まないと無理だよ」

「光君は、お母さんの亡くなった原因が自分にあるって、もう、ずーっと自分を責め続けて来たの、自分のミスでお母さんを殺してしまったとね」

「本当は違うんだけど、光君は、自分を責める人だから、乗り越えるのは難しい」

「ましてや、死んじゃったお母さんのことだし」

楓の言わんとすることは理解出来た。

母親の死を自分の責任と思う光の心の内部まで入り込む、あるいは心を開かせる、それが求められると言うのである。


「とにかく、思いっきり泣かせないとだめかなあ」春奈

「心の苦しさを全部吐き出させるの?」ルシェール

「光君の心の氷を溶かずのか・・・」ソフィー

「うーん・・・もしかすると・・・きっかけ程度だけど、リスクもあるなあ」

華奈は、何か思いついたらしい。


「え?華奈ちゃん、何?」

春奈は華奈の次の言葉を促した。


「うん、光さんと菜穂子叔母さんが食べていたケーキ、光さん本当に美味しいって食べていたよね」華奈

「ああ、レシピあるかなあ」ルシェール

「探してみようか?」ソフィー

「でも、同じように作れるかなあ」

春奈は腕を組む。


「光君に食べさせるにも、慎重さが必要だよ、下手に作って逆効果もあるかも」

ルシェールは少しためらっている。

「今でも、意識の中に残っているケーキだよね」

ソフィーも難しそうな顔になる。

「奈津美叔母さんなら、わかるかなあ・・・」

華奈は、光の叔母奈津美を思い出す。

巫女たちは「思い出のケーキ作り」を真面目に話し合っていた。


都内に戻り、ルシェールはソフィーが送り、その後華奈を送り届けた光と春奈が自宅に戻ると、家の前に立っている金剛力士の阿形から声をかけられた。

何か頼み事があるらしい。


「何だい?奈良に帰りたいのかい?」

光は阿修羅の口調に変化した。


阿形はその言葉を軽く受け流す。

「全く性格が悪い、そんな簡単に帰るわけないだろう」

「阿修羅はともかく、光君が心配だ、光君がしっかりするまで護る」

阿形は胸を張った。


「ところで何だい?頼み事ってさ、とにかく寒いから中に入りなよ、早くしないと光君、風邪ひいてまた、寝込むよ」

光は阿修羅に変化した。

そして、金剛力士を家に招き入れた。


「それでさ、頼みっていうのはね」

リビングのソファに座った阿形は、春奈が淹れた紅茶を飲んでいる。

「うん、なかなか美味しそうに飲むなあ」

そう言いながら阿修羅も美味しそうに紅茶を飲んでいる。


「あのさ、この時代の相撲を生で見たい、できれば立ち会ってみたいんだ」

阿形の眼が輝いている。

「ああ、そうか・・・でもな、相撲って言ってもね、いろいろだよ」

「光君が立ち会ったボクシングとか柔道とかレスリングも、昔で言えば相撲さ」

阿修羅は少し考えているようだ。


「うん、いろいろあるのは聞いている」

「できれば全部見たいなあ」

阿形は阿修羅の顔を見た。


「・・・となると、全部お願い出来るのは・・・坂口さんかなあ」

阿修羅は坂口の顔を思い浮かべた。

坂口なら格闘技界全般に顔が広いし、頼みやすい。


「うん、頼むよ、任せた、春奈さん、美味しい紅茶ありがとう」

阿形は阿修羅の言葉に満足したらしい。

春奈にもお礼を言い、再び警護のため、外に出た。

阿修羅の姿も消え、光に戻っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ