春奈の超うれしい異変とソフィーの神々しい異変!
「へえ・・・」
「私もまだ候補なんだ」
「何か別の御力ねえ・・・」
春奈は、ほっとしたような、うれしいような、不思議なような・・・とにかく「寂しい気分」は、そこで消えた。
「私が思うにね・・・」
ソフィーは、言葉を選んでいる。
「春奈さんが昨日もらった寒川様の護符かな、それを握ってみてくれる?」
ソフィーの言葉で、春奈は首を傾げながら護符を握った。
すると、突然、春奈の全身が光に包まれた。
とにかく、ものすごい輝きに春奈は、数分の間、包まれた。
そして、その光が消えた。
ソフィーはが春奈を見て、ため息をついた。
「え?何かあったの?」
春奈は、本当に気になった。
ただ、春奈自身は光に包まれたなどは感じていない。
それより、ソフィーのため息が気になって仕方がない。
「春奈さん、幸せ過ぎ・・・もう、全く!」
ソフィーの口から聞こえて来たのは、全く意外な言葉だった。
しかし、春奈には、さっぱり意味がわからない。
「いいから、もう・・・鏡で自分の顔を見て来て!」
ソフィーに促され、春奈は鏡で自分の顔を見た。
すると・・・
「え?何?この顔?わーーー」
「えーーーーー!どうしちゃったの?」
鏡を見た瞬間、春奈は目を見開いてしまった。
「うん、全くいい思いばっかりだなあ、春奈さん、顔もお肌も高校二年生の時だよ」
「だから、光君と一緒に街歩いたら、絶対恋人同士、あーーー全く!」
「こうなると、本当に超強敵じゃない!」
ソフィーは、あまりのことに頭を抱えこんでしまった。
「いやー・・・・恥ずかしいぐらい、お肌もしっとり」
「何か、身体も軽いしさ」
「もう、ルンルンだよ、高校生の時は奈良でイマイチ地味だったけれど、これならいいなあ」
春奈は、もうすっかり上機嫌になった。
「でもさ、みんな御祈祷で特別の御力を授けられていて、私は何だろう」
ソフィーは未だ実感がない。
確かに観音様の御力を使えるけれど、それに付け加えられた御力とは何だろう。
華奈とルシェール、春奈には明らかな変化がある。
ただ、一緒に御祈祷をうけたソフィー自身は何の御力なのか、どうしても知りたいと思う。
「ねえ、春奈さん、何か私、変わって見える?」
ソフィーは、どうにも実感がないので、もう仕方がない。
いきなり、若返ってしまいルンルン気分の春奈に聞いてみることにした。
「え?ソフィー?」
「えーっと、身体つきとか、顔とか変わっていないよ」
春奈は、見たままを言う。
ただ、春奈のソフィーを見る目が、少し細くなっている。
「でもあれ?何だろう・・・」
「ソフィーの全身が眩しいの」
「そうだねえ・・・光輪というのかなあ、オーラっていうのか」
春奈は、不思議なことを言い出した。
「天使の輪ってあるけれど、あれって頭の上がほとんどだよね」
「今のソフィーは、全身が光に包まれている」
「それでね、今、少し笑ったでしょ?そしたら光が強くなった」
春奈は、本当に眩しそうにソフィーを見ている。
「へえ・・・そうなんだ」
「自分じゃわからないけれど・・・観音様の巫女としての力を強くしてくれたんだ」
「それで、その意味は・・・と・・・」
それを考えはじめたソフィーの顔が、少しずつ赤みを増し、ついには真っ赤になってしまった。
そのうえ、心がドキドキするのか、時々胸を押さえている。
春奈は眩しいながらも、その様子をずっと見ていたけれど、とうとう最後までソフィーの心中を読むことは出来なかった。
ただ、観音様の巫女の御力に更に付け加えられた御力であるし、その御力に対応出来るのは阿修羅であって、光ではない。
その意味で、「光をソフィーに取られてしまうわけではない」、春奈には不安な要素はない。
「そろそろ、戻ろうか」
春奈はソフィーに声をかけた。
「ねえ、どんな顔するかな」
ソフィーも光とルシェールの反応が楽しみなようだ。




