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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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連行され取り調べられる光

「あの・・・正直って何をですか?」

連行されるがまま、ずっと黙っていた光がようやく口を開いた。

いつもの通り、弱々しくおっとりとした声である。


「おい、犯人を逃亡させた罪で逮捕してもいいんだぞ!」

「その疑いがあって連行されたことが、何故わからない!」

「お前は馬鹿か!ああ、その制服のバッジだと、あそこの学園の学生か!」

「あそこは優秀な学生しか入れない、となると裏口入学か!」

「お前は受験で不正までしたのか!」

「とにかく地域の名士に、あれほどの暴行を行った犯人を逃しているんだ、罪は重いぞ!」

田中警察官は、ますますいきり立ち、その他の取り囲んだ警察官も厳しい顔で光を見ている。


「そんなことを言われても・・・でも、あれ?」

光はいきなり後ろを振り向いた。


「すごい・・・」

光、春奈、華奈は本当に驚いた。

駐在所の前には、本当に多くの群衆が詰めかけている。

そして、口々に駐在所に抗議の声をあげている。


これには田中警察官をはじめとして、駐在所の警察官も驚いた。


「おい!何だ!何をした!」

田中警察官は、再び怒鳴った。


そして、少し怪訝な顔をしている。

「声が広場に響いている・・・」

確かに田中警察官の声は、駐在所前の広場に鳴り響いているのである。


「ふふ・・・ここに集音マイク」

ソフィーの胸には小さな「集音マイク」らしきものが取り付けられている。

「そして拡声器は、あなたたちが探している彼らが持っているよ」

ソフィーの言う通り、金剛力士二体が、ヤクザ三人をやっつけたままの姿で拡声器を持って立っている。


「おい!お前たちなあ!こんなことをしたら!」

「そもそも地域の親分にあんなことをして!」

「ただで済むと思っているのか!」

黙っていた警察官の中で一番年長のもの、おそらく駐在所の長らしい男が怒鳴った。

ネームプレートには稲葉と書いてある。

しかし、その怒鳴り声も拡声器を通じて、広場に鳴り響いてしまう。

駐在所を取り囲んだ群衆の怒り声も、ますます大きくなっている。


「ねえ、もう、無理よ、さっきの動画も流しちゃう」

ソフィーは自分のタブレットを鞄から持ち出し、動画を流すようだ。

途端に駅前ビルのモニターに「一部始終」が流れ始めている。


「おい!ふざけんじゃねえ!全員逮捕だ!」

田中警察官は、すでに手錠を持ち出した。

一斉に他の警察官も手錠を持っている。

中には、警棒や拳銃で威嚇してくる警察官もいる。


「逮捕だって?ふざけるんじゃないよ!」

「あんたたち、まだ、わからないの!」

「この駐在所前の状況!」

「それに、この状況を引き起こした、あんたたちの不始末!」

ソフィーから本当に威勢のいいタンカが飛び出した。

これには、光も驚いている。


「それからね」

ソフィーは少し声を落した。


「まだ、このバッジがわからないの?」

ソフィーは自分のブレザーにつけたバッジを指さした。


そのバッジを見て、駐在所の警察官全員の身体が硬直した。

特に、怒鳴り散らしていた田中警察官は、既に「失禁」してしまっている。


「公安特別調査員様でしたか・・・」

一番年配の稲葉警察官は、がっくりと膝をついた。


と、同時にスーツ姿の男性が入って来た。

ソフィーとは知り合いのようだ。


ソフィーと光に頭を下げ、ソフィーの隣に立った。

「監察官の大沢だ、お前たち全員、処分する」

警察官の目付け役監察官が登場した。


「全て、この公安特別調査員のソフィー様から、お前たちの職務怠慢、不当な連行、暴言、地域の反社会的勢力との結託、特に田中はパチンコの借金をその、親分とやらに立て替えてもらったりもしているな、その調査報告をいただいた」

「今日の一件に限らず、市民からの苦情も多い、厳重な処罰を覚悟しろ!」

大沢監察官は、特に田中警察官を厳しく見据えている。


「それから、本当に申し訳ない」

大沢監察官は、光に再び深く頭を下げた。

ソフィーに対する時以上に、光に震えている。

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