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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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察知された気分転換計画 紅白談義

「春奈さん・・・また、御茶ノ水でいいかなあ」

光は、少し恥ずかしそうな顔をしている。

ただ、春奈としては、気分転換が出来ればいいし、銀座とか新宿、渋谷、吉祥寺よりは人が少ない、御茶ノ水や神保町もいいかなと思った。

何より、大都会ではないし、学生街の雰囲気が気に入っていた。


「うん、わかった、早速だね」

春奈としては、「邪魔者」特に華奈が登場するまでに、何とか早く出発したいと思った。

そうでもしないと、華奈とて巫女力で、今日の「芸能プロダクションとの一件」を察知しているに違いないし、いつ登場してくるかわからない。

また、もう少し間が開くと、ルシェールや由香利、由紀までも登場するリスクが発生するのである。

「そうだねえ、お昼に考えているお店は、あまり人が多くは入れない店だから、早くしないと・・・」

光にしては、素早く立ち上がった。


しかし、光と春奈が、玄関を出た瞬間である。

ブルーのワーゲンワンボックス車が玄関前に停車した。

そして、ソフィーが降りて来た。


「もう、春奈さんも、光君も少しは、政府の警護ってことを自覚してください」

「だいたいね、この観音様の巫女の力を見くびってもらっては困ります!」

「もう、光君の行きたいお店は、観音力でわかったし、本当に十人も入れば満員ですよ」

「それに、調べたところ、値段は安いけれど、関東風ラーメンの超名店じゃないですか・・・」

「ほんと、自分たち、二人だけなんて、フラチな発想はやめてください」

「私だって、ニケの作った、お魚ごってりラーメンも美味しいけれど、たまにはすっきり系の元祖関東風醤油ラーメン、本当に興味ありますし」

ソフィーは、少しキツメの目で光と春奈を見ている。


ただ、春奈としても、光から言われた「一番古くからの付き合い」という、言葉に自信がある。

観音様の力を帯びたソフィーに対しても、一歩も引かない。


「要するに、ソフィーも一緒にラーメンを食べたいってこと?」

「だったら、そんな回りくどいこと言わないで、一緒に行きましょうでいいじゃない」

「それに、ここで問答していると、華奈ちゃんとか来ちゃうよ」

「本当に急がないと・・・」

ただ、春奈の言葉はそこで止まった。

前方から華奈が「猛ダッシュ」してくる姿を見てしまったのである。


「まあ、いいや、みんなで行きましょう」

光から、特に春奈にとって「拍子抜け極まりない」言葉も飛び出した。

結局、いつものルシェールがソフィーに変わっただけ、ブルーのワーゲンワンボックス車で御茶ノ水神保町に向かうことになった。


春奈は、本当にがっかりしていた。

「これは後で絶対、ルシェールから責められる、ああ、美紀さんにも責められる・・・まったく観音様の力って、圭子さんみたい、何でも見抜かれちゃう」

「もう、まったく光君と、しんみりと醤油ラーメンって、オツな世界が、フイになってしまった」


ただ、その想いは、一部光も共有しているようだ。

「それにしてもね、こんな車で行くような高級店じゃないですよ、普通のラーメン店です」

光は、少し恥ずかしそうな顔である。


「いいの、食べてみたいしさ、奈良って美味しいラーメンの店はない」春奈

「うん、お母さんの作るラーメンは、あまり美味しくない」華奈

「じゃあ、華奈ちゃんは、美味しいラーメンを作れるの?」ソフィー

「・・・えーっと・・・ネギを切るぐらい」華奈

「それは、ラーメンを作るってことじゃないって・・・」

またしても、春奈は、呆れてしまった。

ただ、華奈の料理に関する能力の低さは、ある意味「安心する」・・・しかし、その母、美紀の落胆の表情も、本当によくわかったのである。


「ところでね、光さん」

春奈のアキレの表情など、何ら関心が無い華奈が光に声をかけた。


「え?なあに?華奈ちゃん」

光は、案外やさしい態度。

それが、ソフィーと春奈には、少し気に入らない。


「本当に、今朝大変だったね、大丈夫?」

華奈もさすがに巫女のはしくれ、芸能プロダクションとの一件を感じていたようだ。


「うん、お正月の前に片付けたくてさ、それでソフィーにも苦労させちゃった」

光はソフィーにお礼を言った。

「ああ、当然の仕事だからいいよ、私もあの人たち大っ嫌いだったし、いいチャンスさ」

ソフィーは、運転しながら笑っている。


「うちの母さんも、演歌とか懐メロって嫌いだって、だから紅白って見ない」華奈

「そうだねえ、もともと全ての世代が見たいとか聞きたい曲となると、特に歌謡曲じゃ、ないかなあ」光

「ああ、紅白って舞台の演出と、衣装?そんなのばかりにお金をかけて・・・最後は年寄りの演歌歌手の威張りたい放題、それがわかっている大人は、見なくなるさ」春奈

「うん、それでね、もう声が出なくなっているような、人が必死に声を張り上げるんだけど、高音は伸びないし、低音は響かないしって、音程もメチャクチャ、ビブラートで微かに音が当たる程度って合唱部の人が言っていたよ」華奈

「うん、そんなんで昔の栄光だけが頼りで、演歌歌手って威張り散らすらしい、それでもバックのプロダクションの力が強い、って裏社会にも強いつながり、ああ、そのものか・・・他の歌手も、放送局も何も言えない」ソフィー

「特に演歌以外は認めないような、演歌歌手のゴウマンさ、押しつけがましさが嫌だなあ」

光がそんなことを言っていると、車は既に靖国通りを走っている。


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