役所とマスコミの関係
「全く・・・お恥ずかしい限りで・・・」
車内で刑事が頭を下げた。
「本当に、馬鹿丸出しって感じ」由紀
「どうして、あそこまで馬鹿?威張るの?」華奈
「まあ、おそらく親が大新聞社のお偉いさんってことからなのかなあ」由香利
「それが、そこまで威張らせる?」
春奈は首を傾げた。
「ああ、すみません、案外警察もそうなんだけど、役人の社会はね、マスコミには警戒をするんですよ」
刑事は苦々しい顔になった。
「うん、特にねA新聞みたいな大新聞社が、変な報道・・・つまり合っていても、合っていなくても、役人に都合の悪い報道をすると、途端に野党が国会などで追及をして来る」
「特に大新聞が報道するスキャンダルって、認知度が高いし、事実の有無に関わらず時間をかけて政府を追及出来る」
「特に政権が強くて、政策の批判が出来ない時は、野党はそういうスキャンダルとか、政治家とか官僚の言葉狩りをするんだ、政策と関係ないことでもね」
ソフィーが刑事に続いた。
「何も悪いことをしてなくても、書き方で悪いイメージを発することが出来る」
「しかも、大量に、即時に、世論操作も簡単」
「事なかれ主義の官僚社会にとって、マスコミは天敵、出来れば敵に回したくない」
刑事はため息をついた。
「ああ、今でもいるかなあ・・・」
校長が何かを思い出したようだ。
「例えばレストランの紹介記事でもね、取材して記事にするから、食事代タダにしろっていうような、記者・・・」
校長は少し笑っている。
「へえ・・・タダになるんだ、いいなあ・・・」華奈
「なんか・・・公私混同?」由紀
「普通は会社の経費だよね」由香利
「華奈ちゃん・・・将来は食べ物専門の記者?」春奈
「・・・う・・・読まれた」華奈
華奈が大笑いされる中、警察署が見えて来た。
「さあ、バトルだね」ソフィー
「うん、その言葉を聞いちゃうとね・・・」
光の目が恐ろしく輝いた。
若い警察官と新聞記者、光たちの一行は警察署に入った。
まず、若い警察官がおそらく、その上司なのか年輩の警察官に事情の説明をしているようだ。
年輩の警察官は、若い警察官の話を聞きながら、チラチラと光たちを見ている。
ただ、少しずつ年輩の警察官の表情が変わって来ている。
「ふん、気がついたかな」
刑事がつぶやくと、年輩の警察官が窓口まで、出て来た。
ただ、若い警察官は、上司の席の前で、未だにせせら笑い、立っている。
「もしやかと思いましたが・・・」
年輩の警察官は、丁寧な言葉づかいになった。
刑事とは旧知らしい。
「ああ、久しぶりだな、元気そうでよかった」
刑事は、年輩の警察官の肩をたたこうとするが、止めた。
「あの若い警察官によりますと・・・」
年輩の警察官は、刑事の顔色をうかがう。
刑事の顔も厳しくなった。
「ああ、それはともかく、あいつには、俺の身分は、まだ言うな」
「それから・・・ここの女性と、この学生は・・・」
刑事が年輩の警察官に耳打ちをした。
途端に年輩の警察官の身体が硬直した。
「まず、警察署長を交えてからかな・・・その中であの阿呆には明らかにしよう、ほら、待たせられる状況とか、人たちじゃないぞ」
刑事は、今度は年輩の警察官の背中をたたいた。
弾かれたように年輩の警察官は、若い警察官など見ることもなく、警察署長に内線をかけている。
刑事の言った通り、即座に警察署長の部屋に全員が通された。
新聞記者は入ろうとしたが、止められた。
ただ、そこで、すぐに引かないのが、特にA新聞社の特徴になる。
「報道の自由、国民の知る権利を警察が、無視、蹂躙するんですか!」
「このことは、明日の朝刊に掲載し、テレビでも大きく報道させますよ!」
警察署内にいる全員が、驚くような声で騒ぎ立てる。
「どうします?」ソフィー
「通すわけにはいかない」
光は、厳しい顔になった。
突然、両腕を開き、胸の前で両手を合わせた、合掌のポーズを取った。
「わ!いきなり!」
ソフィーの笑顔と同時に、新聞記者の姿は、どこにも見えない。
新聞記者は、「どこか」に飛ばされてしまったらしい。




