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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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ゾンザイな警察官と新聞記者の嘲笑

「・・・若い警官ニヤケているし」華奈

「新聞記者も写真撮っただけ、何も取材していないよ」由紀

「あ、もう帰るみたい・・・じゃあ、何をしに来たのかな」春奈

巫女たちは、怪訝な顔で、警察官と新聞記者の様子を見ている。


突然、校長が警察官の前に立った。

物腰は丁寧ながら、警察官に尋ねた。


「ああ、今回の事故を担当された警察の方ですか。私はここの亡くなったおばあさんの車にはねられた学生の通う学園の校長をしております」

校長は、再び丁寧に頭を下げた。

若い警察官と新聞記者は、首を傾げている。


「どうして、被害者の生徒の学園の校長が、加害者の家の前にいるんだ?」

「訳がわからんぞ、お前・・・」

警察官は、不審な顔から、不機嫌な顔になっている。

言葉も、かなり不躾、ゾンザイである。


「おい、校長、それに、その被害者の両親は、この警察官に、不当な抗議つまり、捜査妨害だな、それを行って、公務執行妨害で、今は留置場だ」

新聞記者の言葉遣い、態度もゴウマンそのもの、清水の両親の状況もよく知っているようである。


「・・・そうですか・・・ただね・・・」

警察官と新聞記者の話を聞いていた校長の目が、キラリと光った。

そして、言葉を続けた。

話し方は、丁寧ながら、迫力がある。


「私が聞いた事故の目撃者たちの話ですと、どうにも納得しかねることも多くありましてね・・・おばあさんが加害者とか、清水君のご両親の公務執行妨害とか・・・」

校長は警察官の目を見据えた。


その不穏な状況は、弔問客にも見られていた。

少しずつ警察官と新聞記者、校長の周りに弔問客が集まって来た。


「おかしいですよ、そんなこと」

「校長の言われる通り、おばあさんは、制限速度で走っていたし、いきなり大サイレンで驚いてハンドルを切り損ねただけ」

「それを見ていた、被害者のご両親が抗議するのは当たり前」

「それを、犯罪者扱いで留置場って、ありえない」

「全て、あの警察官が煽ったのが原因じゃない・・・」

「そもそも、取材する記者と警察官が同じ車ってありえない」

「警察って、特定の新聞社とか、新聞記者に便宜をはかっていいものなの?」

集まった弔問客から、様々ささやき声が聞こえて来る。


若い警察官の顔は、益々不機嫌さを増した。

そして、とんでもない暴言を発した。


「うるせえなあ・・・どいつもこいつも・・・」

「あんな空いている道をトロトロ走りやがって、ここのババアが!」

「おれは、年寄りが大嫌いだ」

「でっかい掃除機で、吸い取って、焼却場で焼きつくしたいぐらいだ!」

「それに野菜の産直市?馬鹿馬鹿しい!」

「そんな泥臭いことやって何になる!」

「老人の手慰みとか、小銭かせいでため込んで・・・ああ、ヘドが出る」

この言葉には、弔問客たちや、光たちの一行は呆れ、怒りを感じている。

ただ、刑事の横に立つA新聞の記者だけが笑い転げている。


そして、その若い警察官は、校長の正面に立ち、


「いいか、そこの校長とやら・・・民間人フゼイで警察に逆らうな!」

「犯罪者の擁護をするのは、犯罪だぞ!」

「文句があるなら、連行するぞ!任意同行を求める!」

「お前だって、公務執行妨害をくらわせてもいいぞ!」

「そもそも、犯罪者を擁護するなんぞ、教育者としての自覚にかけるじゃねえか!」

警察官は、大声で怒鳴った。


A新聞社の記者も警察官に続いた。

「ああ、記事が面白くなった、運転能力のない老人の暴走運転に対する警鐘に加えて、日々懸命に治安を維持する警察官へ反発行為を行い、そのうえ犯罪者を擁護する学園長・・・」

新聞記者は、嘲笑い、校長の顔写真まで撮っている。


集まった弔問客たちからは、呆れ顔や、ヒンシュクの声が上がっている。


「まあ、いいでしょう、任意同行、連行されるんだったら連行されましょう」

突然、ソフィーが校長の隣に立った。

ソフィーに続いて刑事と光も立つ。


「ああ、気にすることはない、みんな校長と知りあいさ、今から署に行こう」

刑事が、若い警察官に声をかけた。

若い警察官は、怪訝な顔でソフィーと刑事を見る。

若い警察官は、ソフィーと刑事の身分は知らないようである。

しかし、光については、せせら笑った。

まるで、小馬鹿にしたような顔で見据えた。


「ああ、来るなら来い!どうなっても知らねえぞ!」

「いつも偉ぶっている教育関係者の泣き顔見るのも、楽しみだ!」

警察官は再び大声で怒鳴り、新聞記者と警察車両に乗り込み、警察署に向かい走り出した。


刑事の運転するワンボックス車も、後に続く。

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