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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
254/419

豪勢な中華料理を食べながら

「さあさあ・・・おなかも空いたころです、まずは食べながらです」

首相の合図で、中華料理が運ばれて来る。


フカヒレ煮込み、北京ダック、アワビ醤油煮込み、牡蠣五目煮込み、エビチリ、青菜炒め、海老餃子、キノコとホタテ貝炒め、フカヒレスープ、翡翠チャーハン、小籠包他様々な中華の名品が大きなテーブルに置かれ、取り分け係により丁寧に分けられている。


「このフカヒレ・・・味が濃いし、美味なんてもんじゃない・・・」春奈

「北京ダックって・・・こんな高級料理初めて・・・」華奈

「アワビって、どう料理しても美味しんだけど、これは格別」ニケ

「牡蠣の煮込みは・・・本当に滋養強壮だね」圭子

「翡翠チャーハンって、緑色している餡だけど、ヘルシーな感じ」楓

様々、最初は食べながら感想を言っていた巫女集団であったけれど、次第に何も言わなくなった。

とにかく出てくる料理が美味すぎて、食べるのに夢中。

普段は食が細い光も、それでも「人並み」に食べている。


「楓・・・あまり食べ過ぎると・・・」

圭子は楓に牽制をしながら、アワビを頬張っている。

「大丈夫、これぐらいじゃ、まだ若いもの」

楓は何も気にしない。

エビチリがとてもお気に入りらしい。


「あ・・・入れすぎた」

華奈は口をおさえている。

「ほら、小籠包のちゃんとしたのは、口の中に熱いスープが弾けるの、まったくお子ちゃまだから・・・」

美紀は、呆れ顔になるが、ここでも華奈は気にしない。

頬を膨らませたまま、ゆっくりと食べるようだ。

ただ、この状態では会話は無理。


「うん、華奈ちゃんの、あの美味に対する貪欲さはなかなかさ、光君しっかり見習うんだよ」

どういうトバッチリかわからないが、ニケは光の面倒を見る。


「青菜とか美味しいね」由紀

「光君しっかり食べているし、お弁当の参考になる」由香利

「う・・・さすが・・・でも危険・・・」

由紀の由香利への反応も早い。

首相も、思わず苦笑いをしている。




「ところで、食事中で申し訳ありませんが」

首相が語り出した。

にこやかな表情が変わり、真顔になっている。


「光君と、ここにおられる巫女様たちには、本当にお世話になりました」

「夏のコンサートの日には、あの暴力集団を退治していただき、本当に治安がよくなりました、政府の長として恥ずかしい限りですが、手を焼いていたのです」

首相は深く頭を下げた。


「それから昨日のクリスマスコンサートでも被害を最小限に抑えていただき」

「大災害を防ぐことが出来ました」

「どうにも対応が難しい相手でしたので・・・」

「本当にいろいろな、テロ対策を講じてありますが、なかなか難しくて」

「近隣国も不穏な動きが続きまして」

首相は光の顔を見た。


光の目が少しずつ輝き始めている。


「うーん・・・それを言われましても・・・」

光は、少し首を傾げた。

「私は高校二年生ですし、まだまだ社会的な勉強は足りないのですが・・・」

少し引き気味の態度ながら、何か考えていることはあるらしい。


「・・・一般的に・・・」

少し光の語調が変わって来た。

これには、光以外の全員が身構えた。


「まず、基本的に、国を守るということは、国民と国土を守ることだと思う」

「憲法を守ることが、国を守ることではない」

「攻め込む相手は、その国の憲法など考えないのだから」

「ただ、自分たちの国の利益を考えて、他国を攻めるのさ、古くからの事実」

「そこを取り違えてはいかんな、」

全く普段の光の口調とは異なっている。


「まあまあ・・・難しい話はともかくとして、もう少しお食事を楽しみたいな・・・」

突然、由香利が首相と光の顔を見た。

首相は、由香利に少し頭を下げている。

すると光の目の光が消えた。


それで全員が安心し、再び中華料理を食べ出している。


「そろそろデザートかな」

口いっぱいに、チャーハンを頬張りながら華奈キョロキョロとしている。

「・・・もう・・・こんな席で・・・全く・・・」

美紀は華奈のあまりの脳天気さに顔を真っ赤にする。


「確かに中華のデザートも食べたくなったけれどね」春奈

「でも、杏仁豆腐かなあ・・・」華奈

「タピオカのスープかな、あれも好き」由紀

「燕の巣も捨てがたい」由香利

「ゴマ饅頭とかもいいなあ」ニケ

「それを言い出したらデザートは限りなくあるよ」美智子

巫女連中が、ゴチャゴチャと言い出していると、結局話題にあがったデザートは全てテーブルの上に置かれている。

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