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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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由香利の正体・・・

「ただ、それがあったから、光君も救われたんだから」

圭子はフンフンと頷く。

「ルシェールには、本当に感謝さ」

ニケも納得、ルシェールに感謝までしている。

「世界を救った妙薬なんだ」

美紀も満足そうな顔になった。

「本当に光君、危なかったんだ、今でも背筋が震える」

美智子は、真面目な顔になる。

「でも、華奈ちゃんだけ、ニコニコしている」

しかし、楓は、華奈の笑顔に首を傾げた。

「うーん、あの曲も曲名も、わかっていないかも」

由紀は華奈の心を読んでいる。


「でも、そうなるとさ・・・」

春奈は、クスッと笑う。

「納得の前に、わからないってこと?」

今度は、ルシェールの表情が変わった。


「わからないからニコニコしているのさ」

ナタリーも笑いだした。


「仮にわかったとしても・・・」

圭子は、何かをつかんだ、愛の妙薬の真実を読んだようだ。

そして、その圭子の読みと同時に、奈良の巫女集団も真実を把握した。


「華奈ちゃんの心は、口移しと言っても、単なる治療方法となっている」

美智子は、華奈の心を完全に読んだ。


「ああ・・・あの子なら、そうかも」

春奈は、それで納得。

「本当に思う力が強いなあ・・・」

ニケも華奈に感心する。

「華奈ちゃんは、誰がどうあろうと、何があろうと、光君を離さない」

由紀は、警戒心が顔に出た。

「超強敵だね、ルシェール・・・」

ナタリーもため息をつく。

「そうなると、ますます、力を出さないと」

ルシェールは笑顔から真顔になった。


「でも、それがありながら、光君は由香利さんに反応したんだよね」

春奈は、華奈よりも、光の由香利への反応の速さに、少し疑問を感じている。

今まで、光の意外な行動には、必ず阿修羅の意思が盛り込まれているからである。


「そうだねえ・・・光君というか、阿修羅が呼び寄せる人は、何等かの意味を持つよ」

圭子はずっと由香利を見ている。

その圭子の表情が、少しずつ変わっていく。


「そうですね、学園内でも、どういうわけか、ポイントポイントで由香利さんが光君の隣に登場しています」

春奈も、今までのことを思い出している。

まず、ボクシング部とのバトル、野球部のキャプテンとのもめ事、野球部前顧問との一件、他にもお弁当の差出など、いろいろあるが、光は由香利の前に出ると、とにかく顔を赤らめてしまう。

由香利は確かに学園内でも有数の美少女であるけれど、光の反応の強さも格別。

光の、その反応の格別さゆえ、春奈、華奈、由紀も、由香利には一目置いて来た経緯がある。


「確かに、何等かの強い力を持っているね」ニケ

「歪みをピシャッと糺すような・・・」美智子

「背筋が一番、通っている」美紀

「深く大きな力も感じます」ルシェール

「そうだねえ・・・一度、話してみるのも、いいかなあ・・・」

圭子が、そうつぶやいて、由香利を見ていた時であった。


「私の話題ですか?うん、この由香利の存在を忘れてもらっては困りますよ」

突然、由香利が巫女たちの話に入って来た。

いつのまにか、踊りの輪から抜け出している。


「え?」

その由香利を見ていた圭子の表情が変わった。

「もしや?」

圭子の声が低くなった。

圭子の声の低さに反応して、他の巫女集団も背筋を伸ばしている。


「はい、圭子さんの思う通りです」

由香利は、にっこりと笑った。


「はい、本当に助かります」

圭子は、頭を下げた。

その圭子の姿に、他の巫女集団も驚いて頭を下げている。


「でも、まさか・・・本当に・・・あの?」

「伊勢の大神の?」

圭子の声が震えた。

圭子の声の震えに、奈良の巫女集団も緊張している。

ルシェール、ナタリー、ニケも震え出した。


「そんな・・・震えなくても・・・」

由香利は、にっこりと笑った。

「それよりも、光君を早く休ませましょう、愛の妙薬も一時的なもの、そろそろ身体が揺れて来ています」

確かに光の顔が蒼くなっている。


華奈も心配そうに光の身体を支えている。

結局、由香利の言葉で、全員が納得した。

コンサート後のパーティーはお開きとなった。


再び刑事の運転するワンボックス車で帰ることになった。

光は、案の定、助手席に座り、ぐっすりと眠りの世界。


「うん、かなり賢くなった」圭子

「華奈が隣にいないと、よく眠れるのかな」美紀

「お母さん、どうして意地が悪いこと言うの?ピアノ弾いている時、光さんうれしそうだった、あれは華奈が隣に座っているからなの、助手席に座らせてあげたのは、そのほうが広いから、光さんだけが私の愛情を知っている」華奈


「どうして、そう何でも自分に利益誘導するのかな・・・」

美紀は呆れ顔をするけれど、言葉はそこまでだった。

美紀もすぐに寝てしまった。

とにかく、大聖堂前の闘い、クリスマスコンサート、そして打ち上げパーティーで疲れ切っていたのである。

ただ、それについては全員同じ、運転手以外は五分も走らないうちに全員が寝てしまった。

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