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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
224/419

第224話資金量豊富な教会

結局、光を取り囲んだ男子学生と審査員たちは、そのまま警察に連行された。

そして、翌日のマスコミでも大きく報道され、その高校の合唱部は結局廃部、審査員も審査員長の関連から脱税が発覚し、高校を懲戒免職となった。


「・・・どうしてニケさん、ここに?」

光はニケと歩きながら、突然の登場の理由を尋ねた。

由紀も不思議そうな顔をしている。


「あはは、そんなの簡単さ、予想通りだもん」

「本当は人がいなかったら、光君にぶっとばしてほしかった、私も見たかった」

ニケは笑っている。

ニケの言葉遣いそのものが、歯切れがいいし、光も笑ってしまう。


「そりゃそうさ、マスコミであれほどたたかれば、逆恨みするのが出てくる」

「それにあの高校は、鎌倉の私の家の近所、光君をここで襲う相談をしている声も聞いちゃったしね」

「それで、事前にマスコミとか警察にも連絡してあったのさ」

「まあ、光君にやっつけてもらうのも楽しみだけど、まあ、あんな小物じゃ意味ないしさ」

ニケはケラケラと笑う。


「本当にニケさんには、子供の頃からお世話になりっぱなしで」

光も頭を下げる。


「何、気にすることないさ、ニケも光君の役に立ちたい」ニケ

「ありがとうございます、助かります」光

「そんなことよりさ、また、ちゃんと食べてないでしょ、怒るよ、そっちのほうは」ニケはポンポンと光を責めてくる。


「・・・ごめんなさい・・・なんか食欲が落ちていて」

光も、ニケには素直である。


「あのね、春奈ちゃんん、本当に悩んでいるよ、ちゃんと食べないって」ニケ

「私もすごく心配なんです、お弁当もやっと食べている」由紀

「まあ、今日はルシェールがおやつを作って待っているって言っていたから」ニケ

「わ・・・フレンチトーストかな・・・」由紀

「ああ、それもあるけれど、サヴァランも作るって言っていた」ニケ

いつの間にか、光の食欲話から、ルシェールのおやつ話に話題が変化した。


これで光はやっと「追及」されずに、大聖堂への道を歩くことが出来たのである。



大聖堂につくと、既に晃子と祥子、そして晃子の音大からの同僚の美佳と圭子が練習をしていた。

奥から、ルシェールとピエール神父が出て来た。


「やあ、ニケ、お久しぶり」

ピエール神父もうれしそうである。

「うん、雑魚は退治してきたよ」

ニケもうれしそうな顔をしている。


「さて、まずは集まったからおやつかな」

ルシェールもにっこりと笑う。


「あれ・・・」

ところが、光が教会の奥を見ている。


「いたんだ・・・」

光は笑っている。

華奈が、お菓子の乗った大皿を持って出て来たのである。


「さて、サヴァランとフレンチトーストにございます」

華奈にしては、うやうやしく、みんなの前にお菓子が乗った大皿を置いた。


「あなたが作ったわけじゃない、あなたは乗せただけ、運んだだけ・・・」

ルシェールも紅茶を入れながら呆れるけれど、華奈は満面の笑みを崩さない。


「まあまあ、美味しくできています、召し上がってください」

ピエール神父の言葉で全員が食べ始めた。


「ほんと、フレンチトースト、プリンみたい」晃子

「サヴァランも香りが、ゴージャス」美佳

「紅茶もなかなか・・・」圭子

「光君、しっかり食べてね、ルシェールの愛情たっぷりです」

ルシェールは手渡しで、フレンチトーストを光に渡している。


「愛情って何さ・・・」晃子

「うん、お菓子と愛情は別」由紀

「いいや、食べている時限りさ」華奈

様々、攻防戦がそれぞれの頭の中だけで繰り広げられるけれど、光は黙々と食べているだけ。

そもそも、攻防戦の存在そのものを、光は理解していない。


「さて、おやつを食べながらですが」

ピエール神父が語り出した。

「今年のクリスマスコンサートは、いつもと趣向を変えることにしました」

「もちろん、いつもの定番の聖歌は演奏を行いますが、オーケストラや合唱のボリュームも厚くなりましたので、アレンジを加えます」

「アレンジそのものは、小沢先生にお願いをしましたので、今後楽譜が届く予定です、今日は練習の打ち合わせが主体となります」

ピエール神父は全員の顔を見た。


「基本的には、私の学園の音楽部、合唱部と晃子さんたちですね」祥子

「はい、後は信徒たちが合唱に加わります」ピエール神父

「かなりな人数になりそうですね」晃子

「はい、そうなると、少々手立てとして・・・」

ピエール神父はニケを見た。

ニケも頷いている。


「学園まで練習のある日ごとに、二台ほど送迎バスを出します、晃子さんたちも学園から乗ってください」

「今日のようなことがあると面倒ですし、楽器の運搬もあります、何より安全第一です」

ピエール神父は、慎重な物言いをする。

しかし、地下鉄を乗り継いで、学園から二十分程度の距離に、練習日ごとにバスを二台出すと言う。


「さすが・・・資金量豊富な教会」

晃子は舌を巻いている。

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