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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
221/419

第221話合唱コンクール(4)断罪

圧倒的な第一位を獲得した光たちは、コンクール終了後、観客席にいた校長に挨拶をした。


「本当におめでとう、さすが小沢先生の力ですね」校長

「いやいや、面白かった、光君もなかなか上手になりました」小沢

「私も胸がスッとしました、本当に合唱界って古くて、閉鎖的で、普通のヴァイオリン弾きだと相手にされないことがありまして」祥子

様々談笑していると、審査委員長が挨拶に来た。


「本当に小沢先生が指揮をなさるなんて・・・思いもしませんでした」

しきりに頭を下げる。


「いや、中には私を知らない審査員もいたようだが・・・」

小沢は今でも、キョトンとしている審査員の一人を見ている。


「すみません、彼は合唱一筋で、他の音楽は何も・・・」

審査委員長は、またしても頭を下げさせられる。


「まあ、そういうものの考え方だから、本当に了見が狭い、これでは世界はおろか日本国内でも通用する音楽家が育たない」

「何より歌っている学生たちの顔が死んでいる」

「おそらくちょっとしたミスを、血相変えて怒るような指導だろう」

「死んでいるものに、どうして生きた音楽が出来るんだ」

小沢の指摘は厳しい。

審査委員長は、頭をあげることが出来なかった。


その上、審査委員長にとって、特に困ることがあった。

いつものお審査委員長お抱えのマスコミだけではなく、小沢が呼んでしまった一般の音楽系マスコミや全国紙まで、たくさん現場を見に来ていたのである。

お抱えのマスコミならば、適当にまず審査委員長の「月並み」な挨拶と、当初から予定されていた「優勝校」、これも審査委員長の関連する学校がほとんどであるが、その学校を取材するだけである。


また、その記事には、審査委員長関連の音楽企業から大きな広告が付き、審査委員長に対する高額の資金供与がある。

しかし、今はお抱えでないマスコミも含めて、小沢の前で叱責されてしまっている。

おそらく、これは音楽雑誌を含めて全国紙に掲載されるかもしれない。

光の高校の圧倒的な第一位によって、旧来の状況が全く変わってしまったのである。


「馴染みの楽器屋さんから聞いたけれど、委員長には、たくさん差し出されがあるみたいだね」

不安を感じる審査委員長の前で、小沢は危険なことを、簡単に、ほのめかしてしまう。


「・・・え・・・そんなことは・・・」

審査委員長の顔が、ますます蒼くなった。

マスコミも懸命にメモしているようだ。


「いや、私も聞きました、というか他の先生もほとんど知っています」

「審査に影響があると困るから、誰も言わないだけ」

祥子も続いた。


「知りあいに国税の人がいるから、調べてもらおうかな」

晃子も更にキツイ一言である。

しかもマスコミたちは、それも必死にメモを取っている。

審査員長は、腰を抜かし、座り込んでしまった。

そしてその会話を、ホール内の全ての高校生と教師、聴衆が聞いていた。



「まあ、いい薬だろう・・・」

ホールを出て、小沢は、厳しい顔から普通の顔に戻っている。

「そうですね、特に審査委員長は音楽家というよりは、音楽を食い物にする音楽屋ですね」

晃子の言葉に祥子も頷いている。


「では、また光君が心配なので一緒に帰ります」

春奈が小沢に声をかけた。

確かに光の顔が蒼い。


「・・・そうだね、少し話をしようと思ったが、この状態では・・・」

小沢も心配そうな顔になった。


「でも、すごい・・・みんな光君を見ている」晃子

確かにホールを出た光を全員が見ている。

そして、拍手に包まれている。


「学生たちも、あるいは心ある先生たちも、これでスッとしたのさ」小沢

「はい、いつも審査委員長のお気に入りの高校だけの受賞でしたから」祥子

「光君は、これから人気が出るし楽しみだな、鍛えがいがある」

小沢も満足そうである。



春奈は光と家に戻った。

多少、華奈が家に入りたいと抵抗したが、ルシェールに連れ帰らせた。


「ふん、明日の朝六時から行くかな」

華奈がつぶやくが、春奈は無視した。

何より、光の「疲れ顔」がひどかったのである。

華奈にかまっている余裕はなかった。


光が寝てから、奈良の圭子に報告をした。


「そうかあ・・・良かったねえ。優勝か、注目されちゃうね」圭子

「うん、でも、その後、体調が悪そうなんです」

春奈は、不安そのものを口にした。

楓特製の丸薬を飲ませたにも関わらず、フラフラの状態で家に着いたのである。


「ああ、それは阿修羅だよ、阿修羅が光君の中で弾けると、かなり精力を使うの」

「だいたい、阿修羅出現の後はそうなっているでしょ?」

圭子は聞いて来た。


「・・・確かに・・・」

春奈も、かなり思い当たるものがあった。

「とにかく、そのクリスマスコンサートまでは、しっかり丸薬を飲ませて、コンクールぐらいで、そんなんだったら、本当に危ない」

圭子の声が震えていた。

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