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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
214/419

第214話特性丸薬を嫌がる光

それでもすき焼きなべは豪華だ。

「うん、これ光君のお母さんのレシピ」春奈

「本当に懐かしい味」美紀

「お肉も多いなあ、お豆腐も美味しい」ルシェール

「この独特の甘辛のタレは、奈良では出来ない」楓

「後で、レシピコピーして、光さんと二人鍋さ」華奈

「うん、鍋なら入れるだけなんだけど・・・」ルシェール

「野菜切ったり、タレも自家製だよ」春奈

「じゃあ、当分無理だね」楓

「また、裏切られた」華奈

「そういいながら春菊の下に肉隠しているし・・・」美紀

「いや、あとで光さんにどうぞって・・・」華奈

「その半分以上は自分で食べるくせに」楓

様々、攻防戦が繰り広げられる中、光は黙々と食べている。


・・・が・・・


「はい・・・光君」

突然、楓が光のお皿に、黒い丸薬をのせた。


「・・・え・・・これ・・・」

光は、ものすごく嫌そうな顔になる。


「え・・・じゃないでしょ」春奈

「このために楓ちゃんがわざわざ奈良から来たの」美紀

「無理しても飲んで」ルシェール


「・・・口移しでも・・・」

華奈は言いかけたが、途中で止まった。

ものすごい目で春奈、楓、ルシェールからにらまれてしまった。


「うん、飲まないとだめ、圭子叔母さんに言うよ」

全員からの、この言葉が殺し文句であった。


光は目をつぶって必死に丸薬を飲み込んだ。

「うん、楓しか出来ない特性丸薬さ」楓

「先祖伝来の秘法では?」美紀

「うん、でも母さんは作らないの、面倒だから」楓

「作るのにどれくらい?」春奈

「うーん、材料を春日野で探してきて、煮込んで一週間」楓

「毎日飲むと、かなりな滋養強壮になるらしい」美紀

「ああ、史さんが前に飲んで、すごくハイになったっけ」

「でも史さんは、体力は凄かったから、当たり前か」美紀

「光君なら、毎日飲まないと」ルシェール

「うん、ハツラツとした光君を見たい、子供の頃みたいな」美紀

「へえ、そんなにハツラツとしていたんだ」春奈

「そりゃそうさ、ピカピカに光っていたもの」美紀

そんな話の中、光は必死に楓特製の丸薬を飲み込んだのである。



すき焼きパーティーも終わり、ルシェールと美紀、華奈の母娘は帰って行った、

家の中には、光と楓、春奈の三人となった。


「うん、江戸の味もなかなか」楓

「そうだね、奈良とか関西とは違うけれど、元気が出る味さ」春奈

「うん、野菜の味も違うから、少し濃い目の味付けになるのかな」光

「どっちが好きなの?」楓

「うーん、どっちも好きだよ。区別はない」光

「まあ、夏までは毎日、お昼はフルーツクリームサンドだったのにね」春奈

「え?マジ?」楓

「うん、お菓子でお昼だった、面倒だと食べない時もあったらしい」春奈

「でも、それって光君が悪いの、健康と食生活に意識が無さすぎる」楓

あまりのケンマクに、光はまたしても反発が出来ない。

結局、毎朝春奈の目前で苦手な丸薬を飲むことになった。



楓は午前中まで光の家にいて、それから帰った。

光と春奈が井の頭線の駅まで送る。

「とにかく、クリスマスコンサートには必ずたくさん引き連れてくるから」

楓は、少し涙目だった。


「たくさんって・・・圭子さんとナタリーと・・・まさか私の母?」

春奈は、顔が蒼くなるけれど、それでも笑って楓を見送った。

光は、柔らかな笑顔になっている。


「これで、後は軽音楽部のコンサートと、合唱部のコンクール、それからクリスマスのコンサートだね」

春奈は、帰り道で光の顔を見た。

「そうだね、一つ一つかな」

光にしては、まともな応えである。

軽音楽部のコンサートと言っても、合唱部と音楽部とのジョイントコンサート、それに会場は学園のホールになる。


「練習は明日から?」春奈

「うん、だいたい練習をしながら、いろいろ趣向を凝らしてって感じかな」光

「へえ・・・楽しみ」

春奈は、少しうれしかった。

光にしては、まともな応えの連発になっている。

久しぶりに平穏な日曜日を過ごすことが出来たのである。


その日の夜、春奈のスマホが鳴った。

春奈の母、美智子からである。

「あ・・・何?何か用?」

春奈としては、いつも叱られている母美智子である。

どうしても、警戒心が先に立つ。


「あなたね・・・」

母美智子は、最初から険悪な声である。、

「・・・何よ・・・」

春奈としては、母美智子の指定通り、漬物系をしっかりと送ったはずで、そんな険悪な声で電話されるなんて、予想外である。

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