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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第211話神田明神参拝

「へえ・・・ここが聖橋かあ」春奈

「うん、あそこに見えるのが湯島聖堂、江戸時代の東京大学」光

「ふーん、生まれていないからいいや」

相変わらず華奈の言葉は、苦し紛れである。

「こっちに曲がると、湯島天神、学問の神様を祀っている」光


「でも今日は、神田明神様だよね」春奈

「あれ?ルシェールが見える」華奈

「わっ・・・急がなきゃ」

光は焦った顔になった。

どうやらルシェールと楓は先に着いているようである。


「まあ、どうなることやら、でも楓ちゃんが来てくれると助かるなあ」

春奈は、少しホッとした。

何より懐かしかった。

そして焦って歩く光より、早く歩いている。


・・・が・・・しかし・・・


「こらーーー遅いぞーー」

春奈のホッとした顔も、懐かしさも一瞬で消え去った。

楓が光に怒っている。


「だいたいね、メールの返信もなく!」

「光君、都内に住んでいるんだから、私より先に着いていてお迎えしてくれるのが当たり前なの!」

「本当に、ずっと離れていて心配でしょうがなかったんだから」

「来年になったら一緒に住むよ、春奈さんにはちゃんとお礼をしてどこかに移ってもらってね」

これには、春奈、華奈、ルシェールも、口あんぐりとなった。

そして三人とも、懐かしいというより、少しムッとした顔になっている。


「・・・そもそもね、都内の大学に合格してからでしょ」春奈

「たまたま新幹線の関係で早く着いただけ、東京と御茶ノ水って、ものの五分」ルシェール

「楓ちゃん、言い過ぎ、やはり私じゃないと光さんの繊細な心を癒すことが出来ない」華奈


「で、甘酒・・・」

奈良町出身都内組の三人女性の、「ムッとした顔」に気づいたのか、さすがの楓も話題転換を試みる。

「いや、そういうのは、しっかり神田明神様に参拝してからだよ」

光にしては、本当に久々のまともな応えであった。



それでも神田明神では、全員が神妙な参拝となった。

何しろ江戸の守り神、総鎮守である。

江戸に鎮座して千三百年近くの歴史がある。

江戸時代には、将軍様から江戸庶民にいたるまで江戸のすべてを守護した。

今もなお、神田、日本橋、秋葉原、大手町・丸の内など百八の町々の総氏神様として、東京都心を守っている。

また、神田祭りは江戸三大祭として、かなりの賑わいを見せる。

本殿の参拝を終えて裏の様々な摂社を回る。

小唄塚や神輿、銭形平次の碑などがある。


「神輿ぐらいしかわからないや」楓

「小唄とか、銭形平次とか、春奈さんの世代?」華奈

「この・・・まったく大して変わらないくせに・・・」

春奈とて、神輿しかわからない。

最後に、えびす様と大黒様に参拝をする。


「これはきっとご利益がある」楓

「そうだね、学校帰りにおやつが一品増える」華奈

「え?どうして?」ルシェール

「毎月のお小遣いが増える」楓


「・・・」

まさに「子供」としか思えない楓と華奈の発想、春奈は本当にがっかりした。

そもそも神様にお参りをすれば、お小遣いが増えるという発想そのものが、幼い。

これでは、神妙な参拝もあったものではない、神田明神に申し訳ないと思うが、この娘たちに言っても理解はしそうにない。


「さあ、お嬢さんたち、甘酒飲みましょうか?」

春奈は、それでも、この中では一番年上、リーダーシップをとらなければならない。

「うん、せっかくだから磯部焼もつける」華奈

「ところてんは?太らないけど」ルシェール

「・・・ここまで来て意地悪な・・・ルシェールのせいで食べられなくなった」楓

「いや、ルシェールは楓ちゃんとは言っていませんよ」

言い終えて、春奈はニンマリとする。

ようやく反撃開始である。


「華奈ちゃん、慌てて飲むと口の中、火傷するよ」春奈

「そうですね、火傷してからだと、美味しいものが食べられなくなる」ルシェール

「・・・二人の年増が私たちを子ども扱いするんですが、楓さん」華奈

「ほんと、性格が悪い、これは若さへの妬みさ、きっと」楓

そう言いながら、楓も華奈も、もう一品はあきらめた。

ルシェールの「ところてんは、ふとらない」が強く二人の心に響いてしまったのである。

どういうわけか、ところてんを楓と華奈が嫌いだったこともある。


「ふん、大人の味覚の勝利さ」

春奈は、甘酒が終わり、いつの間にかところてんを食べ終えている。

しかし、舌まで「亀」の光は、甘酒を半分も飲んでいない。


「さて、亀とガキ娘はともかく、奈良まで発送をしないと」

春奈は、奈良の圭子と母美智子からのファックスを見ながら様々注文する。

「葉唐辛子、青じそ、塩昆布、わ・・・芝崎納豆・・・こんなにお豆大きいんだ」

様々、ブツブツ言いながらも手際よく注文を店の人に伝える。


「とにかく、少し余分なくらいに送らないと、あの性格の悪い母親たちに、何を言われるかわからない」

結局、ルシェールと協力して、店頭に置いてある漬物系は、たいてい送ることになってしまった。


「でも、この間の葉唐辛子美味しかった」

そう思いながら、春奈と光の食事用に数種類の漬物を買っている。

「冷蔵庫に隠しておいて、華奈なんかにあげない」

「どうせ、こんな江戸風味の粋な味なんか、お子ちゃま華奈にはわからないから、いいや」

「少しは、光君と二人きりの幸せが必要さ」

そう思うと、また「出し抜き感」が発生、途端にニンマリとした顔になった。

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