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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
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第197話カタリ派の悲劇

「・・・と言いますと?」春奈

「はい、今日の朝のような、小物をあちこちに出現させるかもしれません」マルコ神父

「小物と言っても、普通の人間からすれば悪魔です、出現すれば必ずパニックになります」校長


「いったい・・・どうすれば・・・」

春奈としても、どうしたらいいのかわからない。

「おそらく、阿修羅が考えていることは・・・」

マルコ神父が十字を切った。

必死に何かの呪文を唱え、祈っている。


「・・・おそらく呼び寄せて、一気にカタをつける」

春奈は、そう考えた。

夏のコンサートでの阿修羅の戦略である。

「・・・そうでしょうね・・・」

校長も春奈の心を読んだのか、頷いた。


「そうなると、結界をもう一度張りなおさないと・・・危ない」春奈

「わかりました、いろいろ当たってみます」校長

「いろいろとは・・・?」春奈

「全ての善なる教会と寺社です」校長

「みゆき先生、御安心なされてください、この校長のエクソシストとしての高名は世界中の関係者で知らない人はいません」

マルコ神父は、力強く言い切った。


「わかりました・・・」

春奈も、校長の全てを知っているわけではない。

しかし、奈良町からの長い付き合いのマルコ神父と、校長を信じようと思った。

「それでね、春奈先生・・・」

校長の顔が真顔になった。


「はい・・・」

その真顔さに春奈も身構える。

「大変残酷な話です、ただ今回はその時の黒幕が来るので・・・」マルコ神父

「・・・と言いますと、カタリ派の時の話ですか?」春奈

「はい、少し解説いたします」

校長とマルコ神父によりカタリ派虐殺の講義が始まった。



「カタリ派は、中世の南フランスにあったキリスト教の一宗派です。

そして、その地方は、当時のヨーロッパでは最も裕福でした。

他の都市に見られるような階級の違いや、農奴のような悲惨な階級もなく、都市は自由にあふれていました。

法律も古代ローマの法律、ローマ教会の自由を否定する法ではありません。

民衆は教養にあふれ、文化や商業は目覚しい繁栄をみせていました。

宗教においても寛容であり、イスラム教、ユダヤ教も、こだわりなく仲良く暮らしていたのです。


しかし、悪魔に魅入られたローマ教会は、力を持つもの、財産を持つものを全て、自分達の標的にしたのです。

ただ、同じ地域に住むカトリック教徒もカタリ派に対しては、その宗教心の篤さに高い評価を行っていて、ローマ教会が攻め込んできたときも、隣人を売るようなことは出来ないといって・・・自ら死を選んだカトリック教徒もいたぐらいです」

校長先生の話が続いた。


「カタリ派の人気が広がることは、当時のローマ教会にとっては驚異でしてね、何しろ、自分達以外の権威を認めることは自分たちの否定につながり、危険このうえないことなのだから・・・」

マルコ神父も続いた。


「そして、ローマ教会は、カタリ派に対する誹謗や破門を始めました」

「キリストの教えをおとしめている、人食いの儀式をしている、イエスの存在を否定している・・・もちろん、全く根拠はありません」

「しかし、どんな誹謗中傷や破門を行っても、カタリ派の人気は衰えない、カトリックの聖人といわれた人でも、公にカタリ派を弁護する人さえいたのだから・・・」

校長の顔が厳しくなった。


「そして、ついに一一七九年、アレクサンデル三世が宣言しました、カタリ派を教会の敵とし、カタリ派に立ち向かう十字軍の兵士になれば二年間、いかなる罪を犯しても無罪であると・・・」

マルコ神父が言葉を続ける。

春奈の顔が少しずつ蒼くなった。


「しかし、ローマ教会がどんなに呼びかけても、人気の高いカタリ派相手では満足な兵力が集まらない。」

「業を煮やした教皇イノケンティウス三世は、ついに、一二〇四年、教皇特使に命じ、カタリ派の教会を全て破壊し、財産を奪う命を出しました」

「そして、このカタリ派征伐の十字軍に参加するものには、免罪と永遠の救済を約束し、異端者すなわち裕福なカタリ派とその支持者の土地と財産を全て与えると・・・」

「そして、あのおぞましいアルビジョア十字軍の三十年にわたるカタリ派の大虐殺が始まったのです」校長は、ますます厳しい顔になった。


「特にカタリ派が多かったベジェの街の大勢の市民が殺され、サンナゼール大聖堂だけでも一万二千人、トゥールーズの司教は一万人を殺した。ベジェの公の死者数は二万人、実際は六万から十万人、結局アルビジョア十字軍は南仏全体では約百万人を虐殺したのです」

「その上、子供や女性にも容赦はなかった、死体でさえ、女性は辱めの対象になった」

マルコ神父の身体が震えている。


「十字軍がベジエの街に入ったときに、どうやってカトリックとカタリ派を見分ければよいのかという質問が、教皇の特使アルノーに寄せられました」

「教皇特使アルノーの言葉は、全て殺せ、見分けるのは神である」

「その言葉で、カタリ派だけでなくローマ教会に属するカトリック信者もその地方に住むというだけで、虐殺や辱めを受け、土地や財産も全て没収されました」

校長は、震える春奈の顔を見た。


「うん・・・春奈さん・・・このアルビジョアの十字軍から益々カトリック教会は弾圧を重ねるようになっていきます、そして、この教皇特使アルノーはやがて、ローマ教皇にまで出世します」

マルコ神父はここで、口を閉ざした。

「その・・・おぞましい念を持った者が、今度、日本に?」

春奈の顔が蒼白になった。

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