第191話異変情報と光と春奈の前世?
春奈の携帯に連絡が入ったのは、翌日の夜十時。
「ねえ、春奈ちゃん、ナタリーからの情報なんだけど」
奈良の圭子だった。
時間的にも遅く、春奈も少し不安を覚えた。
「え・・・何か?」
春奈の声も少し震えた。
「昨日ね、いかにも南欧人のカトリック神父が数十人、神戸の港に現れたんだって」圭子
「はい・・・」春奈
「それでね、まずあちこちのカトリックもプロテスタントも含めた教会の前で、何か古い呪文を手分けして唱えたらしい」圭子
「え・・・」春奈
「普通の人の目ではわからないんだけど、うす黒い雲の幕のようなものが、その教会を覆っているみたい」圭子
「・・・それは・・・いったい?」春奈
「よくわからないんだけどね、今、ナタリーは鎌倉のマルコと連絡を取っているので、春奈ちゃんにもってね」圭子
「そこの教会に入った人は何か変化が?」春奈
「うん、すぐにはわからない、だけれど、その人たちの身体の力が失せて、顔も蒼くなっている、ただ気が付かない程度らしい」圭子
「もしかして・・・それって、正を邪に変える・・・」春奈
「うん、よく知っているね、反対呪文に関係あるのかもしれない」圭子
「すぐにわからないということは、少しずつ危険が育つ」春奈
「おそらく、そのクリスマスを標的に」圭子
「神戸から出ることは?」春奈
「うん、あの人たちのやることは、いつも同じ、小物を偵察にして遠巻きに攻めてくる」圭子
「まずは、都内を外して、外側からですか・・・」春奈
「うかうかしていると、いい加減な寺社では、やられる」圭子
「キリストの教会以外にもですか?」
春奈は背筋に寒さを感じた。
「うん、関係ない、人の想いとか念がこもる場所には、必ず取りつくから」圭子
「取りあえずできることは・・・」春奈
「とにかく、光君の周りに結界を張る」圭子
「うーん・・・出来るかなあ」
春奈は不安を覚えた。
「あのさ、光君のクラスの隣に座っている子にその力がある、あの子は信頼できる」
圭子は、突然不思議なことを言った。
「え?圭子さんは、知っているんですか?」
春奈は驚いた。
「あのね・・・私の力は、透視する力、何でも見えちゃうのさ」
圭子は、とんでもないことを笑って話している。
「・・・そうでした・・・見通しの巫女様でした」春奈
「それからね、光君にとって、一番似合う人は、あの子のようなタイプかな」
圭子は、またしても、驚くようなことを言う。
「え?どういうことでしょうか」
春奈は、顔が引きつってしまった。
まさか圭子から、そんな言葉を聞くとは思っていなかった。
「うん、光君と会話が長続きする人、光君の心のストレスを緩和できる人」圭子
「うん、確かに電話している姿は、本当に普通の光君のような気がしています」春奈
「悪いけれど、今の華奈ちゃんでも、ルシェールでも緩和できていない、それは美紀さんも、ナタリーもわかっている」圭子
「・・・」
春奈は、自分の名前が出なかったことに、少し不満を感じている。
年齢差もあるし、教師と生徒という公の立場の違いもあるが、どうにも気に入らない。
「あはは、何気にしているの?しょうがないじゃない、今の世はそうなっちゃったんだから」
すると、突然、圭子が笑い出した。
まるで春奈の内心を見透かしているようだ。
しかし、春奈には、今の世だとか、圭子の笑いの意味が全くわからない。
「あのね、私はあなたの力の系統とは違うから、いろんなことが見えるんだけどさ」
「私たちとか、光君とか史さんを含めてだけど」圭子
「はい・・・」春奈
「何度も生まれ変わっているの、一応男性と女性は同じなんだけど」圭子
「え?」春奈
「だからね、春奈ちゃんが光君の奥さんだったこともあるし、母だったとか、娘だったこともあるってこと、もちろん私も楓も、華奈ちゃんも美紀さんも美智子さんも菜穂子さんもね」圭子
「えーーーー?」
春奈は、腰が抜けるほど驚いてしまった。
「ああ、ナタリーとかルシェール、ニケもそうかな、彼女たちのほうが古いかもしれない」
圭子は、更に驚くことを言う。
「・・・あの・・・もう少し深く読んでもらえると・・・特に私とか・・・」
春奈は、その話で、少しうれしくなった。
ただ、光と、どんな夫婦だったのか気になった。
「え?春奈ちゃんと光君の時?ちょっと待っていて」
圭子は、しばらく黙った。
何かブツブツ呪文のような声が聞こえる。
「うーん・・・ドキドキする」
聞いてみて、もし、変な夫婦関係だったらどうしようと思った。
その当時の光が、万が一、華奈に浮気などしていたら、今の寝呆けている光を、張り倒そうと思った。
ようやく圭子の言葉が聞こえて来た。
「・・・春奈ちゃん、知らない方がいいかも」
圭子は、少し声を落している。




