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阿修羅様と光君  作者: 舞夢
188/419

第188話由紀のお願い

「うーん・・・これについては、完敗」

「でも、少しミニにしたから、そこで反撃の一歩さ」

「何より若さと健康美がある」

華奈も、なんとかして言葉で返したいけれど、口の中にご飯が一杯で、対応が出来ないのである。



それでも三人そろって仲良く登校をする。


「ところでさ、音楽部と軽音楽部って、一日おき?」春奈

「うん」光

「私も軽音楽部で、出たいなあ」華奈

「もう少し、上手になったらね」春奈

「・・・その言い方、直接的過ぎ」華奈

「うん、でもそうかなあ、無理かなあ・・・」光

「・・・光さんまで・・・」

華奈は涙ぐむ。


「光君、優しいけど音楽は厳しいかも」春奈

「その厳しさも、華奈は好きさ」華奈

何を言われても、華奈は決してめげない。


そうこうしていると、学園についた。

いつもの学生たちのざわめきが広がっている。


「ああ、そうだった、最初の話なんだけど、光君」春奈

「え?何ですか?」光

「今日はどっち?」春奈

「ああ、月曜日だから、軽音楽部と思った、校長先生と祥子先生も入って、コンサートの打ち合わせをやるとか」光

「ふーん、楽しみだなあ」春奈

「・・・何とかして、音楽室に入り込まねば・・・」

華奈は、懸命に作戦を考えている。


光がいつもの通り、ヨタヨタとクラスに入ると、早速、隣の席の由紀が話しかけてくる。

「ねえ・・・光君」由紀

「え?」光

「ちょっとお願いがあるんだけどね」

由紀は少し顔を赤らめている。

「何、出来ること?」

光は由紀の顔をじっと見る。

ますます、由紀の顔が赤くなった。


「あのね、文化祭の時にね、合唱部も出るんだけど、ピアノか指揮をお願いしたいの」

由紀は顔を赤らめながらのお願いである。


「へえ・・・由紀さん、合唱部だったんだ、知らなかった」光

「うん、光君、帰宅部だったから知らないと思うけど、実はそうなの」由紀

「うん、いいよ、出来ることならするよ」光

「うん、軽音楽部と音楽部と合唱部の掛け持ちで大変だけど、お願い」由紀

「うん、将来的に音楽で暮らすことになるから、問題ないさ、たまには合唱でもいい」光

「わあ、ありがとう!祥子先生にも言っておく。部員も喜ぶなあ・・・」

由紀は、本当にうれしそうな顔になった。


一限目が終わり、由紀は早速合唱部部長浜田と祥子先生に相談をかけた。

「そうか、その手があったね・・・」

祥子先生は、音楽部顧問と合唱部顧問を兼任している。

特に合唱部は、全国大会にいつも出場するほどの伝統を持っている。

ただ、音楽部のコンサートは夏で、合唱部のコンクールは秋のため、特にスケジュールもかち合わないので、祥子自身には、それほど負担ではなかった。

しかし、将来、音大に進み、音楽の仕事を目指す光にとって、演奏機会を増やすことは、全く問題がないし、むしろ奨励するべきことである。


「あとは、軽音楽部と合唱部の音楽室を使用する順番ぐらいかな」

「音楽部も、考えて見れば、一日おきでなくてもいいかな」

「合唱コンクールの指揮を光君にさせるのも、いいかも」

由紀と浜田からの相談を受けた祥子は、うれしそうな顔になった。

そして、その足で校長に相談をかけた。

「光君も、音楽部、軽音楽部、合唱部と掛け持ちですが、やらせてみたくて」祥子


「ああ、彼がやると言うならば、いいでしょう」

校長も特に否定はしない。

「多少体力が心配ですが、春奈先生にも相談して、ケアをします」祥子

「そうですね、クリスマスのコンサートもありますしね」校長

「校長先生もクリスマスのコンサートには?」祥子

「ああ、行きますよ、せっかくの光君と音楽部の演奏ですし」校長

「あ・・・それでですね、校長先生・・・」祥子

「え?何でしょう」

校長は、不思議そうな顔をする。

「最後にサプライズをしたくて・・・」祥子

「え?サプライズとは?」校長

祥子は、校長の耳元でささやいた。

途端に校長が笑顔になる。


「それでは、よろしくお願いします」

祥子もうれしそうな顔で、校長室を出て行った。


「・・・ふぅ・・・」

一人きりになった校長の笑顔が少し曇った。

「そのサプライズの前に、いささか・・・やっかいな仕事だ」

「・・・今度は本気を出さないと・・・」

校長は、十字架を握りしめている。


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